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38.すべての解明

 少し前まで幽霊だと思っていて、その存在すらあやふやでであったのに、クロードが復活してから彼も息を吹き返したように生き生きとしている。


「……さて、ざっと事情を説明するか。……クロードがあんな状態になって、死神騎士団は解散を命じられ、我々は散り散りになった。あいつがまとめていた騎士団だったからな、あいつ以外の者には仕える気はない者ばかりだったから、特に抵抗はなかった。ああ、フィリップとシモンはそれでもクロード様の側近くに仕えたいと言って、それが了承されたのだ。それ以外の者の中にもそう希望した者がいたのだが、却下された。多くの者は王都を離れ、俺も放浪の旅に出ようと思ったのだが、王都から遠くにやられたクロードのことがどうにも気がかりでね。それで様子を見にきたと言うわけだ」


 ギーはそこまでを一気に話し、ふぅっと息をついた。


「幽霊だとばかり思っておりましたのに。あの高い塔から飛び降りてもご無事のようでしたし……」


「あれは俺の身体能力のなせる業だと褒めてくれ。まあ、実際にはすぐ近くの城壁にしがみついただけだ。暗がりで見えなかっただろうが」


 それでも、あんな高い場所から飛び降りたことが肝が冷えることだった。死神騎士団の名に相応しく、死をも畏れないということなのだろうか。


「それで、どうにも城の様子がおかしいことに気付いた。使用人の数も警備の数も少なすぎる。まるでここで秘密裏のなにかが行われていて、秘密を知る者は僅かでいいと人数を限られているようだった。だから、もしかして君もその一味かと最初は疑っていた」


「そのようなこと……! 私はただ、なにも知らずに嫁いできただけですわ」


 自分のいとこもいるという場所である。

 ならば心配はないだろうと嫁いできて、まさかこんなことになるとは思ってもいなかった。


「そうだな。随分驚いただろう、まさか自分のいとこがあんなこと……」

「そうでした、シモンと話すことはできませんか? 彼の真意を聞いてみたいのです……」


 その答えはきっと自分をもっと落ち込ませるものだろうことは分かっていたが、それでも直接話を聞いてみたかった。


「それは少し難しい。それより、クロードと話したいとは思わないのか? あいつ、身体が動くようになったことを君にも知らせずに、あんな急に復活するなんて聞いていない。君も驚いただろうし、俺も驚いた。それを知っていれば俺も死神騎士団を再結集なんてさせなかった」


 ギーは苦い顔をして瞳を伏せた。


「なにか不都合なことが? 味方が駆けつけてくれてよかったのでは?」


「……今回のことはシモンだけの企みではないだろう。敵は他にもいる。そうなると、できるだけ内密に事を運びたかった。騎士団の奴らはなにかと目立つ」


 そうか、もう次へと駒を進めなければならないのかと気付いて、ブリジットは自分がこれからどうなるのか分からない不安に襲われた。

 急に出口に出て、明るさに目が眩んで前が見えないような状態であるのに。


「それで、クロードに話を聞きたいだろう? というか、締め上げたいだろう? 回復したなら回復したと早く言え、と。どれだけ献身的に面倒を見てきたと思っていたのだ、と」


「あの、お話を聞きたいのは山々なのですが、どうやってお話しすればよいのか……」

「は? どういうことだ? 今まで通りに話せばいいだろう?」


「その……今まではお返事がないので好きにお話しておりましたが……。考えればずいぶんと退屈なお話を延々と聞かせてしまいましたし、失礼なことも言ったかと」


 ギーは不審げな表情でブリジットを見つめて、やがて顎に手を当ててほほうと頷いた。


「そうか。今までは人形に話しかけていたようなものだからな。急にその人形が動き出したのだ」


「人形なんて……。ですが、似たようなものかもしれません。本当にクロード様のことなどなにも知らずに」


 声の響きも声の調子も、仕草も、想像してものと違った。


 そうして急に立ち上がってシモンを押さえつけたのを見て、彼のことを怖いと感じてしまった。……いや、本当は分かっていたはずだったのだ。彼は逆らう者は許さず、容赦ないやり方で敵を苦しめてきた人なのだ。情けなど通じない、怖い人なのだと。それが突然目前に現れて、戸惑っているというのが正直なところだった。


「いい、いい。気持ちは分かる。クロードの奴には、君が怒ってもう話したくもないと言っていたと伝えておく」


「そ、そんなご冗談を! おやめください!」


 それには答えることなく、ギーは部屋を出て行ってしまった。

 まさかそんなことを本当に言うとは思えないが、万が一と思うと身体が震えた。


(私が怒っているなんて……そんな、恐れ多い)


 今度彼と会うときはどんな顔をしていいのかと考えると、本当に怒っていることにしてもう二度と会わない方がいいのか、なんて考えてしまっていた。

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