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37.華麗なる復活2

「まったく驚きましたわ。クロード様があのように動けるようになるなんて」


 エリーズは未だに興奮を抑えられずといった様子で、盛んにブリジットに話しかけていた。


 ブリジットが口添えしたこともあって、エリーズは間もなく解放されて部屋にやって来た。それに彼女はシモンに騙されて毒を薬だと思い込んで運んでいただけだと早々に分かったからだ。それでもそう装っているだけで、本当はその毒について知っていたのではと疑われたそうだ。同じ理由で、フィリップはまだ詮議を受けているようだった。


「ブリジット様がそれに気付いて、こっそり毒をすり替えていたと聞きましたわ……! どうして私に話してくださらなかったのですか?」


 意気込んで言うエリーズに対して、ブリジットは疲れきっていて人と話すような気持ちではなかったが、しかし問われていることに答えないわけにはいかない。


「あの……そうね。別にエリーズを信頼していなかったというわけではなかったのだけれど。確固とした証拠もなくそんなことをしたと周囲に分かったら、大変なことになるでしょう? もしかしたらエリーズが咎められてしまうかもしれない」


「そのようなお考えでしたか。さすがはブリジット様ですわ」


 気のせいか、先の一件があってからエリーズの態度が変わった気がする。今までもブリジットには好意的であったが、それにブリジットを立てるような言葉が加わった。これから死を待つだけの国王に嫁がさたブリジットを哀れに思っていたが、クロードの回復によって王妃という立場が違ったものになっていくだろうとのことからかもしれない。


「それにしても、シモンには騙されていましたわっ! 気付けなかったのが口惜しいです。クロード様が信頼を寄せる従者であったのに、それを裏切るなんて……!」


「ええ……。シモンが一体どうしてそんなことをしたのか私も気になるわ。以前は、クロード様の従者になれたことを誇っていたのに」


「そうでした、ブリジット様はシモンのいとこでしたね」

「ええ……。こうなった以上、彼を庇うつもりはないけれど」


 つい先ほど、ブリジットはシモンに殺されかけたのだ。怖かったし、このままなにもできずに殺されるしかないのかという絶望感に苛まれた。それを許すような気持ちにはなれなかったが、彼がどうしてそんなことをしたのかは気になる。


「それから、クロード様とも……お話しする機会はあるかしら?」

「なにをおっしゃっているんですか? ブリジット様はクロード様の妻であるのですよ?」

「そうだけれど。親同士が勝手に決めた結婚だし」


 そんな妻をクロードが認めるだろうか。


「お立場的にはそうかもしれませんが、ブリジット様は献身的にクロード様のお世話をしていたではないですか。毎日お部屋に行って過ごし、気分転換のために中庭にもお連れになって。私はそれをやめるように申し上げておりましたが、今考えれば私の戯言など聞き入れずにクロード様の妻としてあろうとしたブリジット様を誇りに思いますわっ」


 大袈裟な言いように戸惑いつつも、淡く微笑みを浮かべた。

 ブリジットは暖炉前の椅子から窓際に立った。

 もうすぐ夜がやって来る。


 なんて長い一日だったのかとため息が漏れた。クロードに毒を盛ったのではないかとシモンに告発され、シモンの陰謀を知り、彼に殺されそうになり、それから声を発することも動くこともできないと思っていたクロードが突然立ち上がり、シモンを捕らえた。城の者が捕らえられ、死神騎士団という者たちが城に押し寄せてきて……。


「ブリジット殿、少しよろしいか?」


 ふと振り返ると、そこにはギーが立っていた。ぼんやりと考え事をしている間に部屋に訪ねて来て、エリーズが部屋に通したようだ。


「あなたは……クロード様の配下の方だったのですね」

「配下、というより昔からの腐れ縁でね。あいつと一緒に居るとなかなかに面白いことが多かったから」


「クロード様の前とはずいぶんと口調が違うようですけれど」

「仮にも国王だからな。立ててやらないといけないだろう。さっきはシモンの奴もいたしな」


 彼の身分は、クロードが率いる死神騎士団の副官だったとは分かったのだが、身分が分かってもどこか正体不明である。掴み所がない、とでも言うべきか。


「今はエリーズもおりますが」


 エリーズはおっかなびっくりギーを見つめている。エリーズは一時ギーに捕らえられて、厨房に他の者たちと一緒に集められたはずだ。


「君の侍女だろう? ならば問題ない」

「えっ、ええ。信頼していただき嬉しいですわ」


 エリーズは上ずった声で頭を垂れた。


「しかし、少し外してもらえると嬉しいが」

「は、はい……。もちろんですわ。ブリジット様、では私は控えの間におりますので、ご用事があればおよびください」


 そうしてエリーズはギーのことを気ぜわしげに見つめつつ、控えの間に行ってしまった。

 ギーに暖炉近くのソファに座るようにと促し、ブリジットはその向かいに座った。

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