夢
愛犬はまだ私の夢に出て来ていない。
毎日考えているのに出てこない。
夢の中でぐらい愛犬と遊ばせてくれたっていいじゃないかと思う。
でもまぁ、今まで私の夢に愛犬が出てきたのは、数えるぐらいしかないんだけどね。
不思議だなぁ。
実は愛犬が亡くなる一週間ほど前に、愛犬が夢に出てきた。
夢の中で、私は夜中に愛犬の様子を見に行った。
12月から寝たきりになっていたので、気が向いた時に様子を見に行っていたのだ。
その行動が夢に出てきたのだろう。
とてもリアルな夢だったと記憶している。
夢の中の愛犬は立ち上がっていた。
驚いた私は、両親を起こそうと夜中とは思えないほど大きな声で「○○が立ってる!起き上がってるよ!」と叫んでいた。
ここでハッと目が覚めた。
そしてがっかりした。
ああ、夢だったんだ。
夢に決まってるよね。
うん、そうだよね。
愛犬はほぼ骨と皮だけ状態で筋肉がない状態だったので、立ち上がるなんて無理だった。
座るのさえも出来なかった。
全身がぐにゃんとなってしまっていた。
あの夢は私が元気になって欲しいと思ったから見たのだろうか。
それとも?と思うと何も言えなくなる。
2月の始めに愛犬はご飯を全く食べなくなった。
何日も食べなかった。
もう駄目なのかなと思うと入浴時に涙が出て来た。
しかし、また食べるようになったのでホッと安心した頃に夢に愛犬が出てきた。
やはり元気になって欲しいと思ったから、これで元気になると思ったから夢に見たのだろうか。
お別れのために夢に出てきたなんてないと思う。
大体お別れに出てきて一週間以上経ってからだなんて変だものね。
きっと愛犬が夢に出てきたのは、私のそうなって欲しいという願望なのだろう。
先日、母は夢で愛犬の鳴き声を聞いて目覚めたらしい。
愛犬は寝たきりになってから、助けを求めるために夜中にも吠えていたので、その夢を見たのだろう。
それとも幻聴だろうか。
そう言えば、愛犬の吠え声はどんどん小さくなっていた。
2月になってからは私の自室までは聞こえなくなった。
それとも、もっと前からだっただろうか。
悲しい事に、もう覚えていない。
愛犬はまともに「ワン」と言えなくなっていた。
カスカスの声になっていた。
「ハフッ」って感じの声になっていた。
あんなに大きな声で吠えられたのにね。
田舎なので近所でも犬を飼っている家が多く、苦情はなかったな。
まぁ、吠えても長くて数十秒ぐらいだしね。
吠えると言えば、テレビで我が家のチャイムと同じメーカーのチャイムが鳴ったら吠えていたな。
それまで寝ていたはずなのにテレビからチャイムの音がしたら吠えていた。
それを見て家族で笑っていた。
そのチャイムが登場するのは毎週見ている番組のCMだったから、毎週ほぼ同じ時間に吠えていたな。
しっかり番犬をしていたんだな。
と、前向きに考えてみる。
あの大きな吠え声でも小さな吠え声でも懐かしい。
また聞きたい。
声から忘れるっていうよね。
数え切れないほど聞いた声でも忘れちゃうんだね。
やはり、動画を撮っておくべきだった。
何回言ってんだって話だね。
それほど後悔してる。
データも移しておけばよかった。
なんなら、壊れたケータイを取っておけば未来で修理出来たかもしれない。
そうしたらデータも取り出せたかもしれない。
未練がましくてすみません。