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毛並み


 愛犬は長毛種でダブルコートなのでもふもふだった。

 柔らかな毛だった。

 顔の毛は短いので顔はよく見えた。


 だけど骨になるとそんな面影はなかった。

 火って怖いね。

 なくなっちゃうもんね。


 いえ、水も土も雷も……って言い出したら切りがない。


 火葬業者の方が愛犬の年齢を聞くと驚いていた。

 もっと若いと思ったらしい。

 次に口にしたのは「老衰ですか」だった。


 愛犬はずっと服薬していたから、健康だったわけではない。

 去年の11月末までは元気(?)に居間と台所を徘徊していたけどね。

 決して健康だったわけではないのだ。


 それを伝えると、業者の方は言葉を選びながら「それにしては悲壮感がない」とおっしゃった。

 沢山の亡くなった生き物達を見てきた人が言うのだから、愛犬は年のわりには綺麗だったのだろう。


 当然である。

 毎日可愛いと伝えてきたのだから。


 愛犬は年を取ってからトイレで用が足せなくなった。

 しかし、トイレ以外で粗相しても「沢山出たねぇ。よかったねぇ」と言っていた。

 怒っても仕方がないし、そもそも最初から怒る気はない。

 もし怒ったり悲痛な声をあげたら、萎縮してしまうだろう。


 寝たきりになった時にオムツを替える時もそうだった。

「沢山出てよかったねぇ。すっきりしたねぇ。ほら綺麗になったよ。よかったねぇ」と言っていた。

 話しかけながらお世話をしていた。

 なんなら笑いながらやっていた。

 犬だって他の生き物だってちゃんと人間の話を聞いているんだ。

 彼ら彼女らは人間の言葉は分かると思う。

 もちろん人間の赤ちゃんや寝たきりのご老人でもね。

 ちゃんと理解しているんじゃないかと私は思う。


 だから、どんな姿になっても愛のある言葉を言ってあげて欲しい。

 なんだか説教臭くなってしまった。


 というのも、SNSでイラっとする言葉を見かけてしまったからだ。

 その人は自分の家の愛犬が年を取ってきたので○○ばあちゃんと呼んでいたら、どんどん老けてしまったのだそうだ。※あまりにも腹が立ち、読み返していないので細部が違うかもしれない。

 その人は反省しておられたが、もう遅い。

 言葉ってそういうものだからね。

 言霊って本当にあるよ。

 少なくとも私はあると思っている。


 なんだか告げ口みたいになってしまった。

 申し訳ない。


 怒ったのは愛犬を亡くしてすぐだったから、というわけでもない。

 おそらく、存命でも激怒していただろう。


 言葉って怖いんだよね。

 何気なく発した言葉が相手を傷付けているなんてざらにあるしさ。


 なんだか今回は怖いばっかり言っている。


 そう言えば、愛犬は若い頃雷を怖がっていた。

 しかし、年を取ってからは耳が遠くなったのか聞こえなくなったらしく、怖がらなくなった。

 結構な雷鳴がしていても気にせずに寝ていた。

 震えもしなかったな。

 雷に関しては年を取って耳が遠くなってよかったねと言えるのかな。


 何日経っても、元気にやっているかなって思ってしまう。

 元気だといいなぁ。




 読んでくださりありがとうございます。

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