表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

8.

 黄泉の列車は、車体の装飾がすべて黒塗りだった。

 屋根の部分は、パンタグラフの代わりに黄金色の神棚になっていた。

 乗降口には扉がなく、最初から吹き抜けの状態だった。


「大丈夫だよ。乗って!」

 幽霊に大丈夫と言われても、不吉な予感しかない。

 だけど私は、線路の少女を信じると決めていた。

 さっきは信じてあげられなかったから、今度こそ信じたい。

「うん。わかった」


 列車の中は薄暗かった。

 車窓からは、なぜか彼岸花が見えた。

 彼岸花は秋の終わりに葉が伸びて、夏に枯れるはず。

 それなのに深紅の花々は、葉茎に向かって強く反り返っていた。

 鮮やかな赤色が辺り一面に広がっている。


 私は半袖のワイシャツに汗がにじむのを感じた。

 車内は閑散としていたが、やはり年配の方々が多数を占めている。


「ねえ、お姉ちゃん。話したいことがあるんだけど、いい?」

「うん、いいけど。どんな話?」

「私が地縛霊になった経緯を聞いてほしいんだ」

「うん、いいよ。聞かせて!」

 黄泉の列車は動き続ける。

 私と線路の少女を乗せて。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 黄泉の電車に乗っちゃいましたね。 車窓から見える彼岸花…… いかにもな感じです。 無事に戻ってこれますように…… そして少女の過去がとても気になります! 続きも楽しみです(*^^*)
2020/09/01 06:50 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ