10 それぞれの夜
ー男子サイドー
ベンの荷物を運んで飯も済ますと、
寝る前に少しだけ酒を飲む事になった。
そこで、俺はずっと気になっていたことを聞いてみた。
「なあ、なんで魔法使いなのにそんなに鍛えてるんだ?」
ベンは躊躇わずに答えてくれた。
「魔法だけではダメだからだ。」
「それはそうだろうが、ベンほど鍛えているのは珍しいだろ。何が理由があるのか?」
するとベンは少し恥ずかしそうに、
「自分で言うのもなんだが、俺は小さい頃から魔法の才能がかなりあってな。10歳の時には2属性も適正があってその、調子に乗ってたんだ。」
10歳でスキルが使えるは珍しい話ではない。現に俺やリンも親父に鍛えられて剣術や体術のスキルを身につけていた。
しかし、魔法の習得はセンスと知力だ10歳で2属性も使えるのは天才と言ってもいい。
「それでな。村で入ってはいけない森があったんだが、2属性も使えて最強って思ってた俺は入っちゃった訳だ。そこで魔物に遭遇、手も足も出なくてさ死ぬって思った時に助けてくれたのが戦士の冒険者だったんだ。だから、体力作りやもしもの時に一緒に前衛で戦える様にこうして鍛えてるって訳だ。」
「なるほどな、もしもの時は頼りにするよ。」
「おう、そうしてくれ。」
こうして語り合い男たちの夜は更けていった。
ー女子サイドー
私の家で食事を済ませてお風呂に2人で入っていると、
「すみません。ご飯までご馳走になってしまって…」
ナナツちゃんは申し訳なさそうに言った。彼女のこういう控え目な所って女の子らしくていいけど、いつまでもこうだと少し困るわね、
「いいのいいの、それよりもこういう時は「ごめんなさい」より「ありがとう」って言ってよ。」
私がそう言うとナナツちゃんは笑顔で、
「そうですね、ありがとうございます。」
女の私でさえ惚れてしまいそうな笑顔だった。
この笑顔なら大概の男はイチコロね、
「ナナツちゃんそういえば、いくつだっけ?」
「今年19です。」
「だったら私の方が2つお姉ちゃんだね。なんか妹が出来たみたい。私末っ子だったから妹欲しかったんだー」
そんな風に話していると、ナナツちゃんがおずおずと聞いてきた。
「あの、聞きたいことがあるんですけど…」
「なになに?お姉ちゃんなんでも答えちゃうよー」
「アキさんと付き合ってるんですか?」
「へ?」
きっと今私はとても阿呆な顔をしているのだろう、だって無茶苦茶真剣な顔で聞いてくるんだもん。
「よく言われるけどそれは無いわよ。歳は同じだけど出来の悪い兄みたいなものよ。」
「出来の悪い兄、ですか?」
「そう、何でも私より先に始めるのよあいつ、人助けをしたいから冒険者になるって言い出したり、そのためにおじさんに稽古してもらい始めたのも先、数えだしたらキリがないわ」
「でも、それだけなら普通の兄じゃないですか?」
「続きがあるのよ、アイツ何でも私より先に始めるくせに私より上手いの剣術とコーヒーの入れ方だけよなのよ。すぐ落ち込むし大変なんだから。」
「ふふっ、確かに出来の悪い兄って感じですね。」
「でも、何でそんなこと聞くのよ?はっ、アキに惚れたの?」
ふとそんなことを聞くと、ナナツちゃんは顔を赤らめながら少し困った顔で、
「えっと……」
「なんちゃって、そんなわけないわよね」
「それは…その」
あれ?ナナツちゃん顔赤い?
「その……その……」
というか赤すぎじゃない?
それに心做しか左右に揺れてない?
「キューー〜ブクブク」
のぼせてしまったみたいで倒れてしまった。
「ナナツちゃーん!!」
結局私が担いで部屋まで連れていきました。




