第8話 勇者の末裔…て…
魔物がうめき声をあげながら倒れていく。
そして魔物の背後から一人の女性が現れる。
「大丈夫ですか?」
その女性は雷の衝撃で腰を抜かしていた僕に手を差し伸べてきた。
「ありがとうございます」
お礼を言い終わると同時にマキが戻ってくる。
「いや~悪いね嬢ちゃん、本当は俺が倒さないといけない敵をあんたに倒してもらっちゃって」
「嬢ちゃんではありません、私の名前はサヤ=ブレイバートです、嬢ちゃんなんて言い方やめてください」
そのサヤという女性は僕とかマキとそんなに年齢は変わらないようだがとても凛々しく可憐だった…
「おっおう…悪かった…てブレイバートッッッ」
マキが腰を抜かしている…偉い人なのだろうか?
「おい…ナツトちょっとこっち来い」
マキに引っ張られサヤという女性から離れる。
「なにマキ?」
「やっぱお前勇者だよ…運だけで勇者の末裔を呼ぶなんて」
「勇者の末裔?誰が?」
「あの娘だよ、いいか、ブレイバートって言うのは勇者の末裔の家名だぞ…仲間にしないと…絶対強いってしかもあのシャイニングサンダーって結構な上位の魔法だぞ?」
勇者の家名ということはあの子…サヤとかいう女性は勇者なわけか…情けない所を見せてしまったわけだが。
「では私はこれから向かうところがありますので」
そう言って勇者の末裔らしいサヤという女性は歩き出した。
「ほらっナツト行けって」
なんだこのノリ…ていうか仲間にしたいなら自分で行けよ…
マキに体を押された僕はとりあえず呼び止めるために叫んだ
「あのっ良ければ護衛お願いしてもいいですか?」
サヤという女性はこちらに振り返り…しばらくは漠然としていたがやがて思考が追いついたのか
「どこかに行かれるのですか?」
と話だけは聞いてくれるみたいだ。
「えぇ…まぁ近くのトヨ村という所に向かう途中で…」
トヨ村…マキに名前を聞いただけで、全然道中に何があるのか村に何があるのかを知らない。
「まぁっトヨ村ですか、奇遇ですね私の向かっているところもトヨ村なんですよ」
どうやらサヤという女性も目的地が一緒だったみたいだ。
「分かりました…護衛でいいんですよね?」
どうやら、一緒に来てくれるみたいだ。
そんなこんなでサヤさんが村まで案内してくれることになった。