第1話 どうして? なぜなの? 誰か助けt
「おぉ…そなたが勇者であるか?」
「はっ…え…どゆこと?」
僕の名前はナツト…名字は…まぁ…ごくありふれたものだ…さっきまで学校をさぼってパソコンと向かい合ってたはずが気が付くとどこか分からない場所に立っていた、辺りを見回すと明らかに玉座の間といった感じだ。僕のことを勇者と確かにそう言った。
「いえ…あの…僕?」
「当たり前だろう…ほかに誰がいるというのだ?」
明らかに王様であろうその初老の男性はかなりやせ細っていて目には大量のクマができていた。
「あの…本当にすみません…帰っていいですか?」
今心の底から思っていることを口に出す。そもそもなんで僕なんだ…
「なにを言う!そなたは勇者だぞ?魔を滅ぼす存在であるぞ?」
今の返答が予想外だったのか、王様は目を見開き僕を凝視している。
「いえいえ、滅相もございません、僕みたいな高校生ニートを勇者であるなどとそれにこんな華奢な体で魔を倒せるはずがございません」
そう言って帰ろうとすると王様が小声で何かを言っているのが聞こえた。
「反逆罪…だな」
おいおい…それは横暴だろう…死ぬのは嫌だし、はぁ…
「王様、その魔のものついて教えてほしいです」
そう言うと王は身を乗り出して僕の方を見ている、その顔には明らかに喜びの色があった。
「おぉ…魔王倒す気になったか、それでこそ勇者だ」
王様は僕に色々と話してくれた、魔王が突如この世界に現れ世界を手中に収めようとしていることそしてそれのせいで多くの人が死んだこと。
「この国も小さな国ではあるが、魔王が攻め込んできて毎日多くの民が殺されておる」
顔こそ無表情を貫いているが明らかに声が震えていた。
さて…と、どうしようか?このまま魔王討伐に出ないといけない流れだよなこれ…また反逆罪とか言われたくないし…
「分かりました、僕が魔王を倒します」
どうせやらなきゃ反逆罪とか言われて殺されるんだ…本当…これ某RPGなら選択肢にいいえという項目がなくて はい はい しかないやつだろ…
「おぉやってくれるか、ならこれがわずかばかりの金と武器だ…さっきも言ったが今この国は魔王軍の侵略でお金も武器もいいものがないのだ、本当なら、この国で一番いい業物を渡したいのだが、これが今ある良いやつなのだ」
王から渡された剣は確かにそこらにある銅の剣よりもはるかに業物みたいで、ヘタをしたら周りにいる兵士たちより良い物かもしれない。
「ありがとうございます」
癪だけど一応お礼は言っとかないと、それが礼儀だし…
「良い報告を期待しているぞ」
王がそう言ったあと僕は一礼してこの玉座の間を後にした。
こうして僕の長い旅が始まった、今になって思えばいささか不本意な過程ではあるが異世界転生に成功したのかもしれない。だからといって僕の体が強化されたということはなく力などある筈もない。だけどやるしかないんだな…本当誰か助けt…
「ま…やるだけやってみるか」