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遠山の禁さん!  作者: 活動寫眞
第一章・遠山禁四郎
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北町奉行篇② 「禁じられた御奉行日記」

「この物語に登場する人物・歴史などは実際の事柄と関係ありません。」

【第二話】

「禁じられた御奉行日記」


時はあれよあれよと1年が過ぎた。

いや、過ぎすぎです。なぜ過ぎたかを説明すると長くなるので止めて置きます。

決して考えなしの行き当たりばったりなどということはございません。

あしからず。


この日は、ようやく来た町奉行のお役目もひと段落、

朝から南町奉行へと職務引継ぎが行われ、

前日までの盆と正月となんとやらが、わぁーって一緒に来た感じの

忙しさから開放された。そんな午後の話である。


御白州を開かない間は表門は硬く閉ざされている。

一般には営業していないわけで、準備中とでも表現が妥当だろうか

中ではせっせと書類に囲まれ事務作業に追われている。


朝から作業に従事し、昼食をいつもの出前で済ました禁さん。

午後からの楽しみは定時が来ると同時にタイムカードをガッチャンコ!である。


それに関しては正確無比にガッチャンコ!するもんで、

周りも尊敬の念を抱き見つめているフリをしている。

禁四郎さんが勝ち誇った顔をするので仕方なしに・・・


で、午後はいつも通りに書類整理に勤しんでいたが定時前に事件が起こった。

それは書記が間違えて禁四郎さんの机の上の日記帳を間違い開け、

ご丁寧にも読んでしまった。秘書に内容を告げ口したからさぁ~大変!


秘書(男)

「これはどういうことですか?」


禁四郎

「はぁい?」


秘書

「これが事実なら犯罪ですよッ!」


禁四郎

「はっ!それは『My日記』ではござらんかッ!!」




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○×月□△日


今日は雨かよ。

朝から雨だとやる気がうせる。なんでこんな日に御白州するんだ?

桜吹雪をビシっ!と見せたら着物が濡れるだの、前に行くな!降りるな!って

秘書に怒られるし、あのシーンないと俺の存在価値ないよ?見栄切らしてよ?

あと声は張り上げねぇーと裁きが聞こえないって罪人に怒られるし

いっそ拡声器でしてやろうか?着物が貸し衣装だからって経費だの

裸でレインコート着てやっても良いんだよ?(怒)


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紅女月白男日


残業、残業、毎日残業って全部サービスってどういうこと?

やれ光熱費削減だって自分の部屋で仕事するなってさぁ

秘書は仕事をし易くサポートするのが仕事だろ?なのに融通利かせろよ!

掃除の時間までキライなものを頑固に食べない小学生じゃないんだから

・・・例え違ったなぁ。またどこかで使えるかも知れないか残しておくかぁ

って心の声まで書く俺って・・・。


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鶴山月亀池日


南町奉行は鳥井の野郎は気にいらねぇー

天天保の改革を厳密に実行?己の都合が良い様に改革を盾にしてるだけだろ!

庶民の暮らしを脅かして何が改革だ!

風紀上、舞台小屋を全て廃止するって言い出したときは正直驚いたねぇ。

どうにか全部ってのは取り止めにさせていくつか残させたが食えねぇー奴だよ!

今度あの写真ばらまいてやろうか・・・


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東西月南北日


どうも最近ストレスがたまる。

御白州の場で責めるのも飽きたなぁ~むしろ責められたいなぁ~

ん?これだ!よし試してみよう。


・・・ちっ!あの野郎め!

白を切るもんだから、なら俺様がやった事にしてやると言ったら

行き成り罪を認めやがった!『なんでも庶民の味方の禁さんが悪者として

捕まったりでもしたら俺は表を歩けない』などと抜かしやがる!

これじゃー、生まれた姿に近しいアラレモナイふんどし姿で吊るされて

笞打 (むちうち)や正座した上から石を乗せる石抱き・・・罵倒される俺・・・

うーむ、また何か良い方法を考えよう。


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闇夜月新月日


スリルと興奮を求めて近所の悪代官屋敷に忍び込んだ。

屋根裏へと入ると光が隙間からもれていた。

すると悪代官と商人らしき奴が互いに褒めて高笑いをしていた。

俺はどちらかというとその逆を希望中!なので興味がなかった次の部屋へ!

っと思った瞬間、慌てて代官が障子を開けてなにやら叫んでいた。

土下座したり怒ったり、忙しい連中だ・・・ん?もしや!?

どうにか屋根裏から出た時には屋敷の連中はみんな倒れていた。

はっ!これはもしかして最近噂の・・・


女王様「頭が高いわよッ!」

悪代官「ははーッ!?」

女王様「あら?相手して欲しいのはアナタだけ?」

悪代官「みんな!女王様だ!出て来い!」

手下共「おぉー!女王様だ!女王様ッ!」

女王様「みんな一緒に猿におなり!ビッシン!バシンッ!」

悪代官「ああぁん、女王様ーッ!!」


もう少し早く参加出来ていれば・・・(涙)



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晴天月霹靂日


見覚えのある悪代官やどこかの家族?が御白州に並んでいた。

なんでも子供が新学にクラスの学級委員に選ばれるのに票が必要だと

同じクラスの子供を持つ呉服問屋に話を持ちかけたり、

他にも手をまわすよう算段をしていたらしい。政治的圧力でねぇ。

学級崩壊とはここから始まるのかねぇ・・・寺小屋崩壊か?


そんな中、盗聴器や隠しカメラでも仕掛けけてるのでは!?

と疑いたくなるタイミングで、前・学級委員をしている

子供の家族ご一行が屋敷に押しかけた。


その家族のジイさん、悪代官がやってることをすべてお見通しだ!と

偉そうに語った挙句、タバコ入れを見せて「目に入らぬか!」

なんて言うもんだから「入らねーよ!」と至極まっとうなツッコミをしたところ、

ジイさん逆ギレ!


暴れだしたジイさんを止めるのに屋敷の人間を総動員したが返り討ちにあった事件

最後はジイさんは高笑いして屋敷から帰ったそうだ。


以前から恨みでも買っていたんじゃないのか悪代官?

例えば、籠 (かご)待ちで割り込みでもしてしまったとか、

混雑する乗り合い篭で、優先座席に座ってたもんだから

目の前に立つジイさん見て寝たフリしたとか、「お年よりは大切に!」

どこで恨まれてるか分からねぇし、高齢化犯罪は増えてるからなぁ


ジイさんご一行は屋敷に不法侵入と暴行罪で禁錮刑になった。

にしてもあの男、『つい』だの『やってしまった』だの

何をそんなに『うっかり』してるんだろうか?



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秘書

「すべて真実なのですか?」


禁四郎

「あっ!今日は何月だったかな?」


秘書

「4月1日ですが何か?」


禁四郎

「嘘をついて良い日だんだ!」


秘書

「なるほど!つまり我々が読むようにワザとウソ話を書いた日記帳を机に!」


禁四郎

「お、おう!察しがいいじゃないかッ!」


秘書

「ですが、それは午前中までの話です。

 それに西洋の風習は適応されません、あしからず。」



数日後、禁四郎さんの元に査察が入り、他にも日記が押収され暴露!

南町奉行所でキッチリお咎めを受ける事になりましたが、

禁四郎さんはそれはそれで嬉しそう!

そこで一計を案じた犬岡越前 (いぬおかえちじぜん)

数ヶ月の謹慎処分を申し渡す。


禁四郎さんは、軟禁と放置はご褒美だと興奮していましたが

時が経つにつれ、辛さしかないアメの無いムチだと知り反省しました。

暫くの間、夜な夜な他人の屋敷に侵入したり、女王様探しをする

徘徊者が消え、大江戸の夜も平和が訪れると思われましたが

犯罪は上昇傾向、実は抑止力になっていたことは当人も気づいてませんでした。



・・・1年後、天天保14年(1843)2月24日、

老中・鳥井洋蔵 (とりいようぞう)の策謀により、

閑職の大目付に左遷! (形式上は昇進)それがなにを意味するのか後の話。

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