第ニ話 「日々平穏 (ひびへいおん)」
「この物語は、登場人物や団体・事柄などはフィクションでござる!」
禁四郎
「真に受ける話じゃないだろ?」
「第ニ話
日々平穏 (ひびへいおん)」
上司
「あなた事の重大さを分かってるの?」
部下
「はぁ・・・」
上司
「はぁ・・・じゃないでしょっ!」
部下
「元々割れるような箱に入れてのも如何なものかと」
上司
「何ですか?あなた自分で割って置いて私が悪いって言ってるのですか?」
部下
「そうとは言いませんがねぇ、多少は・・・」
上司
「ほら?やっぱり!反省の色が無い上に上司にそんな口をきくなんて!?」
部下
「すいません」
上司
「まぁ、あなたに管理を任せた私にも責任はありますから。」
部下
「面倒くさいなぁ・・・ (ボソ)」
上司
「今、面倒くさいって言いましたね?」
部下
「いえいえい!そんなことは!」
上司
「はっきり聞きましたよ!」
部下
「地獄耳め・・・ (ボソ)」
上司
「キーイィィィィ!今日という今日は許しませんよ!」
【-北町奉行所内-】
阿歩郎
「表が騒がしいけどなによ?」
葛飾北祭
「ああ、なんでも将軍様への謙譲の品で相当高価な壷を部下が誤って割ったので、
そのことを禁四郎様にご報告に来たようです。」
阿歩郎
「へぇ。んな高価なものなら直接、将軍所へ持って行けば良いのに」
遠山禁四郎
「そうもいかんのだ。昨今、外国船が増えたお陰で検閲が厳しくなってな!
その品物に問題が無いかを検査し、数日は保管してから忙しい業務の間をぬって
将軍様が直々に見るのだ。」
阿歩郎
「わざわざ自分の目で見なくても・・・」
遠山
「趣味なのだから仕方ない。そのお陰で今まで以上に仕事が増えた部分があるけど、
それで何事も無ければ汗をかく意味はある!」
阿歩郎
「綺麗にまとめてるけど、辛い立場で顔歪ませならが働く自分が好きなだけでしょ?」
遠山
「否定はせん!」
秘書
「手が止まってますよ。筆は動かしながらでお願いします。」
遠山
「はっ、はい!!」
阿歩郎
「いつの間にか“女王様”いるぞ!?良いのか奉行所!?」
北祭
「本人の意向はどうあれ仕事はこなしてますし大江戸は平和です!」
阿歩郎
「なら良いけど・・・・・・って平和じゃな---い!」
秘書
「お静かに!」
阿歩郎
「あっ、すいません・・・って私も飲み込まれた!?
なんて恐ろしい女!?今のうち仕留めて置かないと私の立場が危ういわね!」
秘書「・・・」VS阿歩郎「・・・」
遠山
「で、何しに来た?」
阿歩郎
「もう禁ちゃん聞いてよ!うちの店が客足が減ったのよ!」
遠山
「まぁ、あんなの流行ってる時点でどうかと思うが・・・」
阿歩郎
「それがさぁ、あること!ないこと!悪い評判流されてるみたいなのよぉ!」
遠山
「内容は聞くまでもないが“あること!あること!”しか無さそうだけどな!」
北祭
「確かに・・・」
秘書
「ですね」
阿歩郎
「なっ!?・・・・・・ミンナガイジメル」
遠山
「そんな分かり易い奴だったか?まぁ、いいや!」
北祭
「いや、良くはないでしょ?心配ではないですけど・・・」
秘書
「良くないですね。邪魔です!」
阿歩郎
「天丼?そんな重ねて来るの?ここぞとばかりに!?
遠山
「うーん、こりゃ大事になってくるかも知れねーな!」
北祭
「ええ、落ち込んでるところ悪いのですが、阿歩郎さん以外にも似たことが起きてます」
阿歩郎
「なんですってっ!?」
遠山
「北祭、源外、活動・・・その他、おれに関わっている者の所では噂が流れている。」
北祭
「たちの悪いのは根も葉もない噂・・・
では収まらない所にあります。
我々しかしらないような情報など中に含まれて居たりします。」
遠山
「つまり、世間に広まれば我々が動き辛くなるよう意図的に流している訳だ。」
阿歩郎
「それってこれから何かが起きる、起こす前の警告?」
遠山
「警告だな。その上、手出しさせないための・・・」
秘書
「手が止まっています!」
遠山
「す、すいません!」
阿歩郎
「・・・う~ん、まずは流してる連中を特定することが必要ねぇ。
あと鳥井の動きも警戒しておいた方が良さげね。」
遠山
「だから来てくれて丁度よかった。裏方の方、宜しく頼む!」
阿歩郎
「了解!」
【-大江戸下町-】
曲者三
「ちくわ欲しいワン!」
活動丸
「すいません、お客さん。
うち今はやって・・・・・・おまえは!?」
曲者三
「久しぶりだワン!」
活動丸
「いまさら何しに来た?」
曲者三
「実は頼みがあって来たんだワン!」
活動丸
「生憎だが、ちくわも裏家業もやってないよ」
曲者三
「そうか、残念だワン!」
活動丸
「懐かしかったよ、でもさいならだ」
曲者三
「昔のことを根に持ってるワン!
でも2度と会わないから安心するワン!」
活動丸
「ぐわっ!?」
曲者三
「仲間だった頃の好に運良ければ助かるワン!
でも右腕は貰って行くワン!」
-つづく-