第一話 「魑魅魍魎 (ちみもうりょう)」
「この物語は、登場人物や団体・事柄などはフィクションでござる!」作者太鼓判です!
大江戸城下は世界でも稀に見る巨大国家へと成長しつつあった。
そこに目をつけたのは外国諸国。貿易、流通の拠点に太平洋の基地として
亜細亜の中心として利用しようと目論んでいた。あばよくば植民地支配をも...
そんな中、強硬派の老中・水野忠国は断固して外国船の領海侵入すら
許さなかった。そして各領海を支配していた藩に支配権を譲渡するよう
幕府から指令 (天天保の改革)を下したのを発端とし暴動が勃発。
老中・鳥井曜蔵にそれを利用され失脚。
水野は、政策の反対派ではあったが信用できる男として
北町奉行・遠山禁四郎に鳥井暗殺命令依頼。
しかし、返り討ちの目に合い危うく命を無くす所を仲間に救われた。
だが時は稼げた形となり外交問題で老中へ水野は返り咲き解決をさせると
老中・鳥井を失脚させ、ある藩へ身柄をお預けとなる。
権力も財産もすべて失った鳥井だが、すでに計画は動いていた。
その計画とは『幕府転覆計画』であった。
【遠山の禁さん-必殺幕末編-】
「第一話
魑魅魍魎 (ちみもうりょう)」
妻
「あなた!いつまで寝てるの!早く起きてしゃきっとしなさい!」
母
「婿殿、あなたは我が家の大黒柱です。
あなたがしっかりしないから世間さまから陰口を叩かれるのですよ!」
夫
「あっ、おはようございます。」
妻
「おはようござい...ってあなた!そんな事より何で同期の佐々木さんの方が
出世してるのですか!?」
夫
「いや、それはだな。家柄も良いし、仕事も出来るし、
それに接待とかうまいんだよ」
母
「婿殿!ならあなたももっと仕事を頑張りなさい!
それに接待くらいできるでしょ?」
夫
「そう言われましてもお義母さん、接待するにも懐が寂しいので難しいのですよ」
妻
「つまり仕事を頑張ってお給金を上げれば接待も出来て更に出世の道が出来る!
ってことですね?」
夫
「理屈ではそうですが...」
母「やりなさい!」
妻「やりなさい!」
夫「...出きる限り頑張ります」
【-北町奉行所内-】
葛飾北祭
「てな具合で朝から垣根の外まで聞こえ来ましたよ」
遠山禁四郎
「相変わらず凄い尻に敷かれてるねぇ、あの家は。
まぁ、入り婿の立場はどこでもおんなじかも知れないな!」
秘書
「ゴホン、無駄口を叩く暇がありましたら書類の整理をお願い致します!」
遠山
「んなこと言ってもよぉ。この数異常だろ?」
北祭
「禁四郎さまがご闘病中に行っていたお白州ですが...
身代わりのカラクリ禁四郎 (佐七)は、裁きはできても書類作成は
できなかったもので、そのツケがこの書類の山となってるわけですね。」
遠山
「クソ!無駄に効率よく仕事こなしてるもんだから数が半端じゃねーぞ!
また体が悪くなるってんだよ!」
秘書
「夜な夜な抜け出して他人の屋敷に潜入したり変なお店に通ったりしなければ
もっと早く終わりますよ!」
遠山
「ぬわっ!なぜ知っている!?」
秘書
「ふっ」
北祭
「私も手伝うので頑張りましょう...」
活動丸
「残業手当を貰うけどな」
遠山
「よ、よろしくお願いします。」
【-任侠茶屋-】
阿歩郎
「今月、売り上げ薄いわね...」
幹部A
「あ、すいません!兄貴!」
阿歩郎
「何度言ったら分かるのかな?姐さんと呼べって言ってんだろがぁぁぁぁぁぁ!」
幹部A
「ヒィィィィィィイイイ!!」
幹部B
「あ、姐御!実はこれには訳がありまして」
阿歩郎
「だろうねぇ、結果がこれなんだから原因があるに違いないわねぇ。」
幹部B
「へぇ、最近なんですがうちの店の悪い評判が流してる連中がいるとか...」
阿歩郎
「ほう、それってどんな?」
幹部B
「任侠と謳ってるが実はやくざな連中だとか、入ると脅されて
金を搾り取られるとか指を詰められたり、簀巻きにして川に流されるとか...」
阿歩郎
「はっ!?誰だそんな不正確情報を流してる奴は!?実はやくざ?
ふざけんじゃないわ!はじめからやくざだよ!入ると脅して金を...
ちゃんと奉仕してからだよ!指詰め?そりゃ料理名だよ!
簀巻きにして流す?やる時は沈めるわ!ギギギ!」
幹部A
「ですが情報元は不明ですし...」
阿歩郎
「オカマをなめるなよ!ちょいと北町奉行所に行ってるからね!
店のことは頼んだよ!次、来る時に儲かってなかったら分かってるね?」
幹部・構○員「ひぃぃぃぃぃ!わ、わかってます!姐御ぉぉぉぉ!」
【-秩父山中-】
曲者一
「ただいま帰還したでござるよ、ござる!」
曲者ニ
「おれも帰ってきだぞ!」
曲者三
「ちくわ欲しいワン!」
ジイ
「そんなことより報告を?」
曲者一
「吹聴したでござるよ、ござる!」
曲者ニ
「見事に客足が落ちたぞ!」
曲者三
「ちくわ欲しいワン!」
ジイ
「ふっ、我が店を破綻に追い込んだ恨みは禁四郎の命だけでは足りん!
奴に関わりに者ども全てを壊すぅ!」
曲者一
「あと潜入せし組織ですが...」
ジイ
「鳥井か?そっちはどうだ?」
曲者一
「はっ、どうやら幕府転覆を狙っているのは間違いないでござるなぁ」
ジイ
「元々、我々は鳥井に拾われた身ではあるが、
そこまで大それたことなど目論んでない。
個人的復讐で動いてる点では分かり合える部分はあるが...
そちらの動向も随時報告せよ。
わしが副将軍に戻る日も近いぞ!ほっほっほっ!」
曲者三
「ちくわ欲しいワン!」
ジイ
「どんだけ練り物欲しいんじゃぁ!!」
-つづく-