AFROU-阿歩郎-④ 「白昼夢・前編」
「この物語は、登場人物や団体・歴史などはフィクションでござる!」
大怪我を、北祭と源外によって一命を取りとめた遠山の禁さん。
いつの間にか活動丸が救い出した阿歩郎も。
彼らは老中・水野の命により南町奉行・鳥井の捕縛に屋敷に赴くも
こてんこてん、ぐっちゃぐちゃ、ありをりはべりまそかり、な具合で返り討ち。
だが、水野の返り咲きで鳥井は権力の元で裁きが下され失脚。
今の水野の心境は如何に!?禁さんを斬った御老公一族は如何に!?
そんなことを一瞬、頭に過ぎった禁さはいつもと同じ日がな一日を過ごすのであった。
禁四郎
「ああ、今日もいい天気だっ!だるっ!」
活動丸
「禁四郎さま、一大事でございます!」
-耳打ち中-
禁四郎
「あん!耳に息はダ・メ!ってなんてことだ!?」
御付
「どうされました!遠山さまっ!?」
禁四郎
「浦賀に外国船が現れたっ!」
【AFROU-阿歩郎-】
禁四郎
「将軍家慶さまは病床ゆえ、老中首座阿部さまから
我々に対応に当たるようにとのご命令が下された。」
阿歩郎
「なるほど、水野さま失脚後についた老中さまは
ワタシたちを余程買ってくれてるのかしら?まぁ、その逆でしょけど」
禁四郎
「だとしても将軍の命と言って過言ではない。
以前、外国に居た経験があるとオマエは言っていたな?」
阿歩郎
「あら、覚えていてくれたの?ウレシス!」
禁四郎
「おぉ!早速の外国語か!これは頼りになるな。」
活動丸
「禁四郎さま、間もなく浦賀に到着です。」
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活動丸
「ご報告致します。外国船は沖に停泊中、
そこから手漕ぎ舟で数人の外国人が近くで待機とのこと。」
禁四郎
「確か浦賀奉行与力がいたはずだ、ここに連れて参れ」
活動丸
「はっ!」
阿歩郎
「ふ~ん、結構おおきなお船ね♪黒くて大きいわ!」
禁四郎
「国力の差を見せ付けられているようだな。」
活動丸
「お連れ致しました。浦賀奉行所与力の中嶋三郎助さまです。」
中嶋
「禁四郎さま、なにぶん緊急なこと故に、失礼ながら挨拶を省かさせて頂きます。」
禁四郎
「うむ、あなたにはあの外国から来た船員と一緒に小船で沖の船に行って貰いたい。
あちらさんの目的がまだ見えないので調べて来てくれ。危険だが頼めるかな?」
中嶋
「はっ!お任せ下さい。」
阿歩郎
「じゃーワタシもお供するわね♪」
禁四郎
「では頼む。ではワシはあの丘へ向かうぞ。しばらく高みの見物でもしているか」
活動丸
「すぐ篭をご用意致します。」
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禁四郎
「戻ってきたな。」
活動丸
「少しばかりお戻りが早うございますね?」
中嶋
「はぁ・・・」
阿歩郎
「向こうさんなんだけど、アメリクァ合衆国軍ペロリィ提督らしいわ。
ただ具体的な話はできないと言われたわ」
禁四郎
「どういうことだ?」
中嶋
「はっ!私では階級が低いとの理由から、もっと上のものを、上様を出せと」
禁四郎
「なに!領収書に書かれているあの上様か?それとも将軍さまか?」
阿歩郎
「まぁ、この場合は後者だろうけど、とりあえず階級が上ってことは
禁ちゃんの出番になるわね、頼むわよ♪」
禁四郎
「この状況でおまえと船ではまさに泥舟だな・・・」
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阿歩郎
「こちらアメリクァ合衆国海軍・ペロリィ提督よ!」
禁四郎
「私は大江戸幕府・遠山禁四郎です。」
提督
【やきそば・・・紅ショウガを最初から乗せるなや!嫌いやねん!】
禁四郎
「今、なんて言った?」
阿歩郎
「この度、アメリクァ合衆国大統領親書を渡しに来たと」
禁四郎
「親書ねぇ・・・。内容が怪しいものだが、こう伝えてくれ。
大江戸幕府将軍に伝えるが、返事までの猶予を4日ほど欲しいと」
阿歩郎
【ガリは、ダシ巻き玉子と一緒に食べると、とてもおいしいね!】
提督
「NO!3Days! (無理!4は縁起悪いわ!)」
阿歩郎
「3日にしろって。」
提督
【ふざけるな!同じショウガでも紅ショウガ嫌いやねん!
初めから乗せて着たらテンションガタ落ちやぁ、退けて食っても赤いの残るやん!
それに味もキッチリ残しやがって、「立つ鳥あと濁さず」ならぬ
「立つ鳥あと気にせず」やん!実際、水鳥飛んだあとって水濁って汚いねんぞ!】
阿歩郎
「条件を拒否するのであれば、大江戸湾に兵を上陸させ
直接、大江戸城にて将軍に手渡しするとのこと」
禁四郎
「なにが親書だか、結局は脅してきたか・・・つまり内容も食えないものだな」
活動丸
「どう致しますか?」
禁四郎
「仕方あるまい。こんな船で来たのも初めからそのつもり、
大江戸の民は不安と恐怖が入り混じっている。先手を打たれたわけだ。
阿歩郎、条件は飲もう。ただし、武装解除しろ。
さすれば返事までの間だけは浦賀での上陸は許可するとな」
阿歩郎
【ワタシも焼き飯とかに紅ショウガが乗ってきたら嫌いです。
でも、ガリは違う!あれはダシ巻きにあう!これ最強!」
提督
「OK! (認めよう)」
つづく
活動丸。先代将軍の元お庭番、ある事件が切欠で辞職するも
遠山禁四郎と知り合いだった事で仲が良く呼び捨てにしていた。
最近は、禁四郎の下で働くことになり敬語で話す。