この瞬間が、あの日と違うのは・・
何度か、旅をして僕は、自宅に帰ってきた。
そろそろ、貯金も尽きるころだ。
でも、働こうと思えば、僕は、とにかく働ける。
働けるのだ。
あの日、事故で身体の一部を欠損したり、後遺症が残れば、無理だった。
だけど、僕は、復活した。
復活したんだ。
今、僕が、持っているもの・・
それは、確かに、僕のものだ。
「お前は、もってるよ。あの事故さえ、お前が演出したんだから」
僕
「?」
「始まるんだよ、お前は、やっと始まるんだ。喜びも、苦痛も、悲しさ、快楽、虚無感、羞恥、怒り、生への葛藤、失うことの恐怖・・・まだまだ、これからなんだよ・・」
黙れ、誰なんだ、お前は!
心で叫ぶ。
「あの日、お前が見て、聞いた光と音・・それだけでいいだろ?俺の名前なんて、お前には無意味だ」
ほーっ、そうきたか?
僕は、思う。
お前には、感謝しているよ。俺をくだらない日常から解放してくたんだもんな?
でも、例は言わないよ。
俺は、変わった。
かっての俺なら、昔に逆戻りだ。
また、よく分からない、不可かいな日常に戻っただろう。
でも、もう戻らない。
戻りたくはない!
俺の意思で自由に、やらしてもらう・・
僕は、俺は、こんなこと言わなかった、思わなかった・・
そんな人間では、俺は、なかったんだよ!!
笑い声が聞こえる。
目の前に、部屋の鏡がある。
大きな声で、笑っているのは、確かに、俺だった。
映っているのは、俺は、一人だった。
俺は、思う。
(悪い気分じゃない・・でも、笑うなら、誰かと一緒がいいよ・・)
そう思って、家を、また出る。
そこに、世界はある。
確かに、俺の世界はある。
だったら、全てが問題ない。
「何も問題ない」
俺は、そう呟き、車に乗った。
車を走らせると、しばらくして光と音が聞こえた。
踏切だ。
俺は、しっかり車を停止させた。
目の前を、特急列車が通り過ぎていく。
カーラジオからDJが言う。
「みなさん、今は、どうお過ごしですか?」
柔らかい口調に、俺は、笑う。
どう、過ごしてるかって?
俺は、今を生きてるぜ・・!!
(終わり)




