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運命ですかそうですか
これは恋か?
否。恋ではない。
何故なら、それはいわゆる吊り橋効果というか、仲間意識というか、いわゆるそういった類のものであると考えられるからだ。
例えば、ひとつのケージの中に初対面の鳩が二十羽ほどいたとしよう。
そして、自分もその鳩の中の一羽だったとする。
次に、自分の目の前に立った鳩に「きみはいつ孵化したの?」と聞かれたとして、先月の十二日ですと答えたら、隣にいた鳩が、「私と一緒だ。運命だね!」ってにっこり言われたとしよう。
そんなことになったら。
誰だって嬉しく思うだろう?
そう、嬉しい、だ。
ときめいてしまったわけではないのだ。
よって、これは決して恋では無い。
さっきから顔や首のあたりが熱いのも、呼吸がしづらいのも、なんか心臓の裏あたりがくるしいのもそういうことなのだ。