騎士団の日常(2)
基本は一週間に1話ペースですが、
一週間たたずに投稿です。
机の上に鎮座する書類の一枚に目を通す。細かい字で書かれた書類は、読むことが面倒くさい事この上ない。そんな苦行をしていると、私の膝元にいる少女と目があった。
「団長、クレアはあいつを…セリアをクビにするべきだと思うよ。いつも、団長に迷惑をかけるし…」
クレアは険しい顔を私に向けた。確かに、彼女の言う通りセリアの請求書は毎度おなじみとなっている。迷惑でないと言えば嘘になるが…。
「まぁ、家族みたいなものだから許してやってくれ」
そう、私たち騎士団はたった五人しかいない。五人そろって一つの騎士団…、家族なのだ。
「うぅ~」
クレアはうなるような声を出しながら、私に抱き着いてきた。これは最大の癒し。子猫のように甘えてくるのが、何ともたまらない。
「団長は優しすぎるんだよ~」
丸い瞳が私をとらえる。こんなにかわいい生き物が他にいるのだろうか…。私はクレアの頭をなでる。
「そういえば、セリアが団長に迷惑かけてることって他にもあるんだよ」
「だいたい把握してる」
「じゃあ、団長の入浴中にいやらしい目で見てたことは?」
「知ってる」
「じゃあ、団長が町で買い物している時に、セリアがストーカーしていたことは?」
「知ってる」
「それじゃあ、セリアが団長の下着を盗んで、枕の下にため込んでいるのは?」
「もちろん知って…、え…?」
私は急いで膝元にいたクレアを椅子に座らせ、セリアの部屋に直行する。まさか、そんな変態行為をしているのか!?
ドアを開けると、異様な空間が広がっていた。
「…これは何だ?」
見渡す限りの私だった。いや、分かりやすく言うと私の似顔絵が壁ぎっしりとあったり、私の抱き枕があったり、とにかく酷い光景だった。なんというか、怒りというよりも呆れが先に来てしまった。
いや、そんな事よりもだ。まだ事件は解決していない。部屋の状況だけでも、由々しき事態ではあるが下着の件が残っている。おそるおそるベッドに近づき、枕を持ち上げた。
「……いったい何枚くすねてるんだっ!」
その後、私は下着を無事保護し、セリアが飾っている私のグッズをすべて処分した。
「団長、やっぱりクレアはセリアをクビにするべきだと思うよ」
いつの間にか部屋の中に入ってきたクレアは、うんうんと頷きながら言った。
「…それとなく考えておく」
それにしても、クレアは何故こんなにもセリアについて詳しいのだろうか。よく喧嘩をしているが、やはり何だかんだで仲が良いのだろう。喧嘩するほど仲が良いというやつだ。
「クレアとセリアは仲が良いんだな」
すると、クレアは首が痛いんじゃないかと思うくらいに首を横に振った。
「それはありえないっ! クレアはセリアなんか大っ嫌いだもんっ!」
そんなクレアの姿を見て、私は微笑ましく感じた。