表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

騎士団の日常(2)

基本は一週間に1話ペースですが、

一週間たたずに投稿です。



 机の上に鎮座する書類の一枚に目を通す。細かい字で書かれた書類は、読むことが面倒くさい事この上ない。そんな苦行をしていると、私の膝元にいる少女と目があった。


「団長、クレアはあいつを…セリアをクビにするべきだと思うよ。いつも、団長に迷惑をかけるし…」


 クレアは険しい顔を私に向けた。確かに、彼女の言う通りセリアの請求書は毎度おなじみとなっている。迷惑でないと言えば嘘になるが…。


「まぁ、家族みたいなものだから許してやってくれ」


 そう、私たち騎士団はたった五人しかいない。五人そろって一つの騎士団…、家族なのだ。


「うぅ~」


 クレアはうなるような声を出しながら、私に抱き着いてきた。これは最大の癒し。子猫のように甘えてくるのが、何ともたまらない。


「団長は優しすぎるんだよ~」


 丸い瞳が私をとらえる。こんなにかわいい生き物が他にいるのだろうか…。私はクレアの頭をなでる。


「そういえば、セリアが団長に迷惑かけてることって他にもあるんだよ」


「だいたい把握してる」


「じゃあ、団長の入浴中にいやらしい目で見てたことは?」


「知ってる」


「じゃあ、団長が町で買い物している時に、セリアがストーカーしていたことは?」


「知ってる」


「それじゃあ、セリアが団長の下着を盗んで、枕の下にため込んでいるのは?」


「もちろん知って…、え…?」


 私は急いで膝元にいたクレアを椅子に座らせ、セリアの部屋に直行する。まさか、そんな変態行為をしているのか!?


 ドアを開けると、異様な空間が広がっていた。


「…これは何だ?」


 見渡す限りの私だった。いや、分かりやすく言うと私の似顔絵が壁ぎっしりとあったり、私の抱き枕があったり、とにかく酷い光景だった。なんというか、怒りというよりも呆れが先に来てしまった。


 いや、そんな事よりもだ。まだ事件は解決していない。部屋の状況だけでも、由々しき事態ではあるが下着の件が残っている。おそるおそるベッドに近づき、枕を持ち上げた。


「……いったい何枚くすねてるんだっ!」


 その後、私は下着を無事保護し、セリアが飾っている私のグッズをすべて処分した。


「団長、やっぱりクレアはセリアをクビにするべきだと思うよ」


 いつの間にか部屋の中に入ってきたクレアは、うんうんと頷きながら言った。


「…それとなく考えておく」


 それにしても、クレアは何故こんなにもセリアについて詳しいのだろうか。よく喧嘩をしているが、やはり何だかんだで仲が良いのだろう。喧嘩するほど仲が良いというやつだ。


「クレアとセリアは仲が良いんだな」


 すると、クレアは首が痛いんじゃないかと思うくらいに首を横に振った。


「それはありえないっ! クレアはセリアなんか大っ嫌いだもんっ!」


 そんなクレアの姿を見て、私は微笑ましく感じた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ