騎士団の日常(1)
初めまして!
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いつもと変わらない景色。
私は、いつものように席に着く。すると、待ってましたと言わんばかりに少女が駆け寄ってくる。名前はクレア。私の膝元が彼女の定位置のようで、ネコのように甘えてくる。
…癒される。
部屋の片隅に目をやると、何やら難しそうな書類とにらめっこしている男が一人。名前はフレッド。彼の周りは、本と書類で埋め尽くされている。まぁ、ルックスは良いにして色々と残念な奴だ。
窓の外を眺めれば、太陽の日差しがまぶしい。おそらく外は灼熱地獄。そんな中で、剣を振る大男が一人。名前はエドガー。彼の暑苦しさがここまで伝わってきそうだ。
いつもと変わらない景色だが、今日は何か良いことがありそうだ。
「団長~、請求書が送ってきてるんですが…」
部屋の片隅にいる残念な男、フレッドだった。
「請求書…、いったいどこからだ?」
「カザフの町の農村地帯が、壊滅状態だそうです。おそらく…いや、確実に彼女が任務先でやったことだとは思いますが」
いったい何をどうやったら壊滅状態になるんだ。今日は良いことがありそうなどと、ガラにもないことも思ったせいか…。
「まったく困った奴だ。…で、額はどれくらいなんだ?」
「ざっと見積もって…、フランちゃんフィギュアが鼻血が出るほど買える額です!」
フレッドの目が輝いている。おそらく彼の頭の中ではお花畑…、もといフランちゃんフィギュアが広がっている事だろう。毎度のことながら、何て残念な奴…。
フランちゃんフィギュアとは、有名な踊り子であるフランという女性をかたどったフィギュアで、一部のマニアの間で広がっているとか。
「すまない、私に分かるように言い直してくれ」
フレッドはやれやれといった感じで、両手を上げた。
「まったく…仕方ないですね、A級の任務をだいたい6回こなしたくらいの額ですよ」
つまりだ、1年くらいは遊んで暮らせるくらいの額という事になる。いったい彼女は何をしたんだろうか…。
「分かった。じゃあ、今回のあいつの報酬金額と貯金から差し引いておいてくれ。問題ないだろ?」
私は、手をヒラヒラとさせながら言った。
「えぇ、全く問題ないです。お釣りがくるくらいですよ」
「うん、じゃあそういう事で頼む」
私はため息をつきながら、椅子にもたれかかった。同時にフレッドが立ち上がり、こちらに来るのが見えた。
するとフレッドは申し訳なさそうに、私の机の上に書類の束を山積み置いた。それは彼の机を占拠していた、書類という名の氷山の一角だった。
「あとこれ、始末書があるんで団長…頼みますね」
「はぁ~…」
今日は徹夜確定だ。ため息とともに私は、書類に目を通し始めた。