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神勇者と死神魔王  作者: 柳条湖
新たな出会い編
12/18

もう一人の神勇者?

 亜麻色の髪が特徴的だが、見た感じ染められていない自然な髪質。セミロング程度の長さであろうその髪は一つに束ねられて後ろに垂らされている――オーソドックスなポニーテールである。

 鼻筋がスッキリ通った顔立ちでツリ目気味。背が高く成長期真っ最中の俺や弘昭と比べてもそれほど遜色はない。ボーイッシュな雰囲気があるが、顔の造形は整っており普通に美人。

 服装はレディースのランニングTシャツにショートパンツ。スパッツの類は穿いていない様で、健康的に程良く筋肉の引き締まった綺麗な脚がスラリと伸びている。露出が多いのに色気を感じさせないスタイルは一流のスポーツ選手独特の物だ。

 勝気なスポーツ少女と云った風体だが、今は怪訝な表情を浮かべて俺達と対峙している。


「んで、あんた達、誰よ?」


 その問いに如何にして答えるか、俺と弘昭は一瞬だけ視線を交わしアイコンタクトをとる。

 弘昭から伝わる意思は……


『この子、めっちゃ可愛い!!』


 駄目だこいつ……早く何とかしないと……


「何を黙ってるのよ?あ、あんた達のどっちかが、もしかして魔王なのかしら?」


 なんてグダグダやっていたら、少女の方が何やら一人で何かを納得し始めてしまった。

 まあ間違ってない辺り察しは良い。頭が良いのだろう。ここにいる魔王と違って。


 しかしまあ、少女のその言葉を聞けば、もう疑問は何もかも解消されたも同然だ。なんせ『魔王』という言葉がそのまま飛び出たのだから、これはもう少女は『勇者』だということが確定した。

 随分とまあご近所に勇者が二人に魔王が一人なんて豪勢なメンツが揃ってるもんだが、良く出来た偶然だと思っておく他ないだろう。


「(この場合どうなるんだ?もし彼女に弘昭が倒されたりしたら、そこでゲームは終わりになったりするのか?)」

「んーそれは色々と複雑だけど、とりあえず結論から言うと無いわね♪

 対戦相手は事前に決めておくものだし、これはあくまで私とジェダーのゲームだから、関係ないんじゃないかしら?♪」


 そうらしい。どう複雑なのかは説明してくれなかったが、それについてはまた今度詳しく訊くことにしよう。


「きっとそうよね。ちゃんとこの公園から人は追い払ったはずなのに、それでもいるなんて変だものね。

 つまり、この二人のどちらか吹っ飛ばせば、それで終わりってわけね。」


 血気盛んなお嬢さんだ。人の事は言えないけど。


「じゃあどちらが魔王かしら?凡俗っぽい貴方?それとも頭の悪そうな貴方かしら?」


 やっと少女の意識がこちらに向いたと思ったら、まず罵倒された。


「ま、どちらでも良いわ。二人とも殴れば良いでしょ。」


 恐ろしい事を言い出した。


山下美郷やましたみさとよ。」


 急に名乗りを上げる。


「……」

「……」


 困惑した俺達は黙り込んでしまった。


「何を黙ってるのよ。ほら名乗りなさいよ。私は名乗ったでしょ?」


 自己紹介を御所望とな……

 あれか?武士が決闘前にお互い名乗り合う的なノリを期待しているのか?


「神ばy……」

「寺門弘昭で~す。趣味は読書で特技は軽快なトークですー。好きな物は……あなたのような美人です。」


 弘昭が何か言い出した。

 わざわざ俺の自己紹介を遮ってまで何か言い出した。

 最後にはキリッと擬音が付きそうなくらいのキメ顔で何か言い出した。

 馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、ここまでとは……


「うん。頭の悪そうなのはやっぱり頭悪そうね。」

「だとよ。修弘。言われてるぞ。言い返せ。」

「どう考えても言われてるのはお前だろ!!」


 どこまでおめでたい思考してるんだよ。


「その調子乗ってるバカの言う通りよ。早く名乗りなさいよ頭悪そうなの。」

「俺かよっ!?」

「違うけどね。」

「わぁお。」


 意外と軽妙なお嬢さんだ。山下美郷だったか……侮れんな。


「はぁ……神林修弘ですよ。」


 なんだかどっと疲れたが、しかしまあ相手は名乗ったのに名乗らないのは失礼だろうと思い、仕方なく名前だけは告げておいた。


「そ。修弘君に弘昭君ね。覚えとくわ。それで、あんた達は何者なのかしら?魔王ってのは一人じゃないの?」


 どうやら俺達と同じ勘違いをしているようだ。

 俺達からは見えないが、彼女に憑いているらしき神様は教えたりしないんだろうか?


「まあ良いわ。確か魔王かどうか判別するには二メートル以内に近づけば良かったのよね。」


 少女――美郷がそう呟くが早いか、むしろ俺達がその声を聞き取るのが遅いか、美郷の声は俺達の後ろから聞こえた。


「そうでしょ?アエルディー。」

「ああそうだね。まさしくミサトの言う通り。」


 ハッとして弘昭と同時に背後を振り返る。

 いつの間にか回り込まれていたようだ。

 目を離していないのに気付けばこの超速移動・・・俺の『瞬間移動テレポーテーション』と同系統のスキルか?


「……」


 俺は無言で美郷の傍らに出現したそいつを見る。

 いけすかない雰囲気だと一発で感じた。中世的な顔立ちに中世的な声音で性別(神様に人間的な意味での性別があるのかは不明だが)が判然としない。細長い糸目で鼻は高め、銀色の長い髪はオールバックに後ろへ流されている。

 服装は神職を想起させる斎服――神様が何故神に仕える者の服を纏うのだろう……とか考えない方が良いんだろう。雰囲気大事。それでもなお考えるとすれば、神様が纏っている故に神主さんなんかの服として作られた的な、そんな順番が逆だという説だと考える他なかろう。

 で、シェアリーと同じように体の周囲にはフワフワと浮かぶ羽衣の様なものを纏っている。


「ハァイ♪」

「……ふむ。」


 シェアリーとジェダーが同時に声を出す。

 向こうからももうこの姿は見えているはずだ。


「……あれ?こっちの死神みたいなのが憑いてる……えーと弘昭君が魔王っぽいのはまあ良いとして、じゃあ修弘君の方は何なのかしら?」


 どうしたもんかと弘昭と目配せする。まあ状況を考えると本来そんな余裕は無い筈だが、そこは混乱していたと言う事で何とか許していただきたいところだ。


『名前覚えられてる!嬉しい!可愛い!!』


 ……どうやら弘昭も混乱しているようだ。混乱している事にしてやろう。そうでなければ殴ってしまいそうだ。


「神様?あれ?アエルディー、勇者って私だけじゃないの?」

「ワタシがいつそんな事を言いました?」

「二人以上いるとも言ってなかったじゃない!」

「聞かれなかったので、聡明なミサトならば全て理解していると思ってました。」


 このアエルディーって神様、嫌な奴だなー……


「まあ良いわ。で、この弘昭君を殴り飛ばせば、鬱陶しいあんたとやっとお別れできるのかしら?」


 どうやら美郷もアエルディーとやらにあまり好印象持っていないご様子。こんなに便利な神の力をさっさと手放したいと考えているところからも、あのアエルディーって奴がどれほど嫌な奴なのか想像もつくと言う物だ。


「ん?ああ、そうだね。美郷の言う事は正しいよ。割とね。」


 あれ?


「(なあシェアリー、違うよな?)」

「違うわね♪」


 神様の断言を頂いてしまった。

 アエルディー……どういうつもりなんだ?


「そ。了解したわ。鬱陶しくて仕方ないのよ!さっさと終わらせましょ!」


 どうやら勇者らしき存在の俺が弘昭とどうして共にいるのか、とかそういうのはどうでも良いらしい。

 考えてる余裕もないといった風体だ。どれだけアエルディーの事嫌いなんだろう……


「フフフ……やはりミサトは最高だ……」


 なんか物凄い呟きが聞こえた!美郷には聞こえてないようだけれども何故か聞こえた!

 アエルディーの方は随分と美郷を気に入っているようだ。


「まあ何にせよ……だ。」

「お?修弘、なんか考えでもあんの?聞かせてくれよ。俺がどうしたらあの子と仲良くできるかを!」


 まあ弘昭次第だが、仲良くなれる状況にもなるかもな。


「クク……今日の俺は珍しくヒロアキに協力的だぜ?」

「わー修弘が悪い顔してるー。」


 面倒事は避けるが一番!


「彼女は弘昭、お前に用事があるそうだ。」

「だね。」

「俺の言いたいこと分かるな?」

「……修弘君?それはつまり――」


 特記事項無し!だ。


「三十六計逃げるに如かず!後は任せた弘昭君!!」


 俺は神の力を用い、速攻で『瞬間移動テレポーテーション』を使い、その場から逃げだした。


「ですよねーーーーーーーーーーーー!!!!!」


 弘昭の大絶叫がどこからともなく聞こえてきた……気がした。

書きたい事は沢山あるのに時間が少な過ぎます……

折角のリメイク版なんだから、もっとサクサク書いていきたい……


まあ愚痴は兎も角、いよいよ美郷の登場です!

個人的には実はお気に入りだったキャラでした^^


さて修弘君は逃亡。弘昭はここから何をしてくれるのでしょうね。

それは俺にも分からな(ry

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