第五話 勇敢たる騎士
作品をのぞいていただきありがとうございます。
最後まで楽しんでいただけるように頑張ります。
ここは教会だからとはいえ『迷える子羊よ、懺悔をするのです。さすれば神もお許しになられるでしょう』ということにはならないか?
「ん?あぁ、本当だぁ。ちょっと待っててねぇ」
そう云い、彼女はまた隣の部屋へ移った。
あれ?バレなかった?怖かったぁ。脊髄が揺れる感覚だった。なんだか一気に力が抜けた。
「シロ! 何やっての! バレるところだったでしょ!」
「やっべ、危ねぇ…」
「んでもさ、なんでバレなかったんだろうな」
「そうだよなぁ。ここ城に近いよなぁ?」
「教団の教えとかかもよ?迷える子羊よ、懺悔をするのです。さすれば神もお許しになられるでしょう的な?」
「うわ、一言一句同じ考えしてた。」
「なんかやだ…」
「それか、悟られないように冷静にしてたとか?」
「そんなんする必要ある?」
「俺ら族に見えてたんじゃ?」
「…聞いてみる?」
「えぇ、大丈夫?」
「でも気になるでしょ?」
「うん…まぁね?」
彼女がナイフを持ってきた。持ち方が素人のそれではなかったが、まぁいい。聞いてみよう。
「あのぉ、あなたは…えと……」
「アハッ! 私はコリウスっていうの」
「ははっ! 童貞出てるぞぉ!」
「うっせぇ! あ、シロです。コリウスさんは…何で縄について聞かないでくれたんですか?」
「コリウスでいーよぉ。あと、タメ口でいいよ。歳も近そうだし。いや、聞くの恥ずかしかったっていうか…その…あまり触れない方がいいかなって思ってぇ」
触れないでいようとしてくれた気遣いはありがたいけど、何で恥ずかしいんだ?
確かに罪状は恥ずかしいけど、それはまだバレてないと思う…そうだよな…?
あれ、待てよ。そういやうちらが罪を犯した後、伝達がはやかったのは何でだ?怖ぁい……
「な、何で恥ずかしかったんですか…?」
「えぇ…これ、言っていいのぉ?いやぁ…やっぱ年頃だからね…その…縛ってたってことは…ドがつくほどのMの人なのかなって…」
「違うわ!」
開口したニアスの中で最もでかい声量で否んだ声は、この教会全域に響き渡った。こんなでっけぇ声出せんだな。
「あはっ!なんだ。違うのかぁ。え?でも他ある?なんかやらかして捕まってたとか?」
ギ、ギク!?
「それも国からの脱走とか!?」
ギクギクギク!?
「のぞきとかしてそうだもんねっ!」
は?
「あー、でもここら辺温泉も国もないし違うかぁ。ロードブルクとかだったらあってそうだけど……」
「は?国がないって……ここ、ロードブルクの近くだろ?」
「そうだよね?ここの近くだしね?私たちそこから逃げてきたのに。」
「あ!お゙い゙!」
「え?ここはロードブルクからすんごい離れたディッシュポートなのにぃ?」
「は!?」」」
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その後、聞いた話によると、どうやらここ『ディッシュポート』は世界の中心部から真東に位置するらしい…なんだ世界の中心から真東って。
他に話してくれたこともあった。なぜロードブルクからこんなところに来ているかというと、ネルが言うにはこの世界はダーツの的みたいに世界の中心から離れるにつれ円状の川と線状の川が流れているらしい。
その川おかげで、うちたちはロードブルクからここまで流されていたらしい。ちなみにニアスと村の住人を襲った主と呼ばれていたやつも海に繋がっているその川にのって来たらしい。るーべる川だっけ?
あ、そうそう。コリウスはうちたちが捕まったことに関してはなんも興味ないらしい。なんかうちらがいい人そうに見えたとか、宗教的なもんとかで。
あとヌベツミ?さんは教会内に幽閉されてる。下に隠し部屋があるみたいで外からも鍵を閉めれるらしいが、今その鍵をコリウスが持ってる。
それから、うちたちは教会内に泊まらせていただくこととなった。コリウスも多分ヌベツミさんと二人きりだと寂しいんだろう。怖いのかもしれないけど。
あと、これからネルにどうするか聞いてみた。結構抽象的な質問だったけど、難なく答えてくれた。
どうやらこれでうちとネルの顔はロードブルク全域にわれたらしい。だが、地域ごとに対抗勢力がいるらしいから、そこには情報はいかないとのこと。
あと、ネルは獏と出会った時に五感者の情報をできる限り色々聞いていたらしい。それで、今回役に立ちそうなやつを見つけた。
視覚遮断の能力者。つまり目の五感者だ。周りが見えないらしい。代用できる方法はあるらしいけど……
だがそれは所詮、目の便利さには敵わないらしく、そこがアビリティに通ずるらしい。
そのアビリティは世界を改変する能力で、周りが見えないから、その場所とか人のイメージをすると現実になるらしい。
それを使って、うちらの見た目を変更した後、ロードブルク城に潜入するらしい。
まぁ、要するに本気出せば世界地図を変えられたり、見た目を変えられるってこと。
それで、このロードブルクにわれているうちとネルの顔を変えてもらって、新庄に会いに行く。
でも、そいつがどこにいるかわからないから、別の代案を解決しながら、『それもやれたら良いよな』ってことらしい。
で、その代案が『コウドウの騎士ぶっ殺作戦』。内容としては、あくまで、ロードブルク城に潜入するにあたって障害となってくるのが『コウドウの騎士』って奴ららしい。
コウドウの騎士は王直属の親衛部隊…みたいなものなんだって。各々が強くて一人でも、相手するのに勝てるかどうかわからんらしい。
しかも全員が襲ってくるとなると多勢に無勢。全員を相手にすると勝ち目はほぼない。でも、新庄自体はそこまで脅威ではないから、一人ずつ倒せば勝てる見込みがあるとのこと。
でも…どうだかな。あいつはあいつなりに能力を磨いてくる可能性が高い。記憶喪失中らしいけど、本質的な性格は変わらないからな。
ってなってくると、いよいよ新庄と話せるかわからなくなってくる。
ちなみに今、うちたちは、教会で親身にしてくれたお礼とお茶のお礼を兼ねてコリウスの依頼を聞いている。おつかいイベントみたいでちょっと楽しい。
けど、うちは夢におつかいをしに来たんじゃないんだけどなぁ。まぁけど、逃げる目標でもないしゆったりして行きますか。
依頼内容は大葉取ること。大葉っていやぁ、某RPGゲームでも薬草として役に立ってたけど、この世界ではそんな効果無いっぽい。
どうやら味噌汁に使うらしい。この世界でも味噌汁はあるんだな。ってなると米もあるのかな。
別に食事を摂ることはあまり好きにはなれないけど、この年までお世話になったから、あって欲しいなぁ。
「ねぇ、大葉ってどんなところに生えてんの?」
「基本的には湿ってるところ……?多分。ここら辺結構雨降るから、そこら辺にあると思うよぉ?昨日の夜中にも降ってたし」
水たまり付近をさがしているんだけど全然見つかんない。田舎っぺじゃないから見つけても大葉なのかがわからない。
スマホよ……恋しからずや。
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山の頂上に来た。ここは湖ってほどじゃないけど、小さな池があってもしかしたらと思って見てみた。すると人がいるのを発見した。
斜面を力強く踏み込みながら進んでその人に何をしているのか聞いてみた。
「すんませーん。何してんですか」
声をかけてもこちらを向いてくれない。なんなら行動が早くなったような……焦ってるのか?何に?……うちにかな?でも…なんでだ…?非合法的なやつか!?
「非合法的なやつですか? 大丈夫っすよ。俺も犯罪者ですからあ゙ぁ!?」
彼は首にナイフを突きつけていた。でも多分俺の言葉を聞いてか、突きつけるのをやめた。
だが、やっぱり犯罪者の立場を弁えられていないな。すぐ口走っちゃう。気をつけないと……
「なんだ。またやり直すとこだったじゃん。」
死ぬことをやり直すって言ってる人なんだ。怖い……ん?なんか髪の毛サラサラだなぁ。いいな。
そういえばここにくるまで髪の毛がサラサラな人はあまり見ていな。
多分この世界はリンスとかはないよな?ってかうち風呂入ってねぇじゃん。まぁ夢の中だしベタつきはしないけど。
「内緒な。ほんと頼むよ」
「ちなみに何やってたの?」
「アッパー系だよ。あれが無きゃやってらんねぇって奴がわんさかいてさ。まぁ、俺もだけど」
アッパー系?なんのことだ?
「お前は? 何しにきたの?」
「大葉を摘みにきたんですけどこの辺ないの?」
「おま…バカ!シー!静かにしろ!聞こえたらどうすんだ」
「な、何が…?大葉を積みにきただけで?そんな慌てる? 変なノォ」
「だ・か・ら! それがやばいんだって!」
すると彼はこちらによって、口を耳元に近づけてきた。なんかエロい気もするけど、そういう意味じゃないか。
「お前、無知そうだし教えてやるよ。大葉をは薬物なんだよ。アッパー系って言ったのもそういうこと。テンション上がっちゃうんだよ」
は? 大葉が薬物? ……まぁ、そういう世界…なのかな?
「周りに大葉がないのは俺がほとんど狩り尽くしたからだ。これ、少しやるから黙って持ち帰れ。」
すると彼は味噌汁を作るには適当な量を譲ってくれた。けど…味噌汁にそんなもん使うのか…?俺たちに盛ろうとしてた……わけじゃないよな。
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なんか複雑な気持ちになりながらも、大葉を片手にみんなもとへと帰った。
まだみんなは必死に探していたから、非合法ニキについて紹介しつつ撤収作業を行なった。
「ねぇ、コリウス。」
「なぁに?」
「大葉って薬物なの?」
「え? そんなわけないよ。だったら私毎朝キマってることになっちゃうもん。」
「シロ…何言ってるの…?大葉だよ…刺身に切り干し大根と一緒に横にいる葉っぱ。薬な訳ないでしょ……」
「いや!わかるよ!なんかその非合法ニキが薬物って言ってたけど……違うのかな」
「刺身についてる……?」
「ま、まぁそれはどうでもいいじゃん」
「私は今日ヌベツミさんにお味噌汁につけてって言われたから摘みにきたんだけど……まさか!」
そういうとコリウスは走り出した。なんか思い出したのかな。でもまだ撤収作業の最中なのに。勝手すぎる!まぁ、いかせてやるか。
――――――――――――――――――――――――
うちらは撤収作業を終えた後歩いて帰った。教会の巨大な扉を力強く開けると、何やら奥からシリアスな雰囲気が漂ってきた。
「どういうことですか!」
「どうって…何が?」
そう聞き返すヌベツミの顔は眉間に皺はよっていなく、ただ笑顔だった。焦るコリウスと惚けるヌベツミ。どうやらコリウスは負かされたようだ。でも正直、このやりとりに然程の興味はない。
何言ってんのかわからないし、ヌベツミが怪しかったってのは今に始まったことじゃない。コリウスの横に鍵付きのタンスがある机を発見した。
「なんで私の聖書が!昨日無くした聖書が!あなたの机の中に入っているのですか!」
「そんなに怒鳴りあげないでよ。そんなに怒ってると血圧があがっちゃうわよ」
ヌベツミの笑顔は絶えない。というかわざと絶えないようにしているのかもしれない。ただちょっと、怖かった。
さっきまで焦っていた顔のコリウスは絶望の顔を浮かべていた。なるほどコリウスが昨日大切そうに持っていた本がこの鍵付きの机の中に入っていたのか……
ん? 袋だ……『へそ』へそ?怪しいですなぁ……取っちゃお!
「それに、私が預かってあげてたのよ。あなたたちが大葉を摘みに行ってた間に」
「じゃあ!なんでとぼけだんです!帰ってきた時に言いましたよね!私の聖書見つかりました?って!」
二人の会話の音に紛れて聞こえづらかったが、微かに他の音が聞こえてくる。窓の方をを覗くと多数の人影が玄関を囲っていた。
「そろそろきたわね…じゃ!あとは頑張って!」
そういうとヌベツミは灰となって消えていった。
『嵌められた』そうコリウスの顔が物語っていた。
「シロたち!逃げて!」
「え、なにが…なんで?」
「あれ、ロードブルクの残党じゃね?」
「いいから!話してる暇がないの。あとで全部、話してあげるから…!」
「えぇ…でも、玄関は塞がれてるよ?」
「逃げるったってどこに?!」
「ついてきて!」
そういうとコリウスは壁に向かって走った。だが、そこは壁ではなく隠し扉だった。ほー、かっこいい。てか、うちら、移動してばっかな気が……。
〜 第五話 完 〜
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