送り花 1話目
風楽と申します!よろしくお願いします!
登場人物
主人公 女性
送り人 男か女か分からない。
死んでしまった。
私は死んでしまった。
真夜中のこと。何が起きたか分からない。いつも通りの生活をしていつも通りに過ごしていたのに。
どうして
なんで
私はもっといきたかったのに
なんで…
「こんばんは」
ふわりとした声
顔を上げるとそこにはいつの間にいたのかいや最初からいたのかもしれない。黒い服に深いフードがついた服を着ており威圧感がある。しかしフッっと吹いたら飛んでしまいそうな儚げな印象を持つ白い髪を持つ男か女か分からない美しい人がいた。
その人は続けてこう言った
「私は送り人。あなたをお迎えに上がりました」
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女 「送り人?死神ではなく?」
送り人 「ええ。死んでしまった方を未練を残さないように死後の世界まで送り届ける者です。」
女 「死んだ者」
そうだった私は死んでしまっていたのだった。
幸せな生活を送っていたのにいきなりのことでパニックになっていた時この人が現れたんだった。
その事を思い出すと今までのことに悔しさと辛さを思い出し思わず泣いてしまった。
女 「つっ……ぐすっ。」
送り人 「これ使ってください。」
送り人は白いハンカチをわたしてくれた
女 「あっありがとうございます」
出てきた涙をハンカチで拭う。その間送り人は落ち着くように背中をさすってくれていた。
送り人 「落ち着きましたか?」
女 「はい。ありがとうございます。」
送り人 「それは良かった。」
女 「すみません。お見苦しいところを」
送り人 「いえいえ。死んだら泣いてしまう方はたくさんいますから。」
女 「そうなんですか?」
送り人 「ええ。逆に落ち着いている方やもっと酷い方…例えば生きている方を呪おうとしてしまう方もいらっしゃいますから」
女 「そうなんですか!?でもそんなことしたら罰が当たるんじゃ…」
送り人 「罰と言うより呪い返しに似ていることになりますね。生きている方を呪う。それを糧にしようとし現世に留まり続け悪霊となってしまい死後の世界へ行くことが出来なくなってしまいます。」
悪霊。その言葉を聞いてゾッとしてしまう。
女 「怖いこともあるんですね」
送り人 「そのために私がいるんです」
女 「どういうことですか?」
送り人 「先程も申し上げましたが私の仕事は未練を残さないよう送り届けること。そのためにお話を聞き悪霊となってしまわないようするのです。」
女 「送り人さんは凄いですね」
送り人 「いえいえ。それが私の仕事であり役目です」
そう言うとパチンっと送り人が指を鳴らす。
その瞬間夜の空の元で話していた2人は全く違うところにいた。
筒状の部屋に屋根は高く円錐状。
壁には時計が沢山あり部屋の真ん中には木でできた丸い机がひとつと椅子がふたつ。
アンティークな部屋というのか。始めてみるが暖かくそして落ち着く部屋をしている。
しかしいちばん驚いたのは本が浮いているのだ。
信じられないことだが1冊では無い屋根ギリギリまで浮かぶ100冊、いやそれよりも多いのだ。
そんなところにきてびっくりしている女を送り人は席に促す。
送り人 「こちらへお座り下さい」
女 「こっここは?(困惑)」
送り人はいつの間にかあったのかティーポットでお茶を作りながら言う。
送り人 「ここは死者の方とお話するための空間です。亡くなったところで話すのも嫌な方も多い。何よりリラックスしながら話せた方が楽でしょうし」
微笑みながら教えてくれる送り人は2人分の紅茶を入れひとつずつ置いた。
女 「ありがとうございます。いい香りですね」
送り人 「こちらはアールグレイです。香りが良くミルクと合わせても香りが落ちないです。よかったら飲んでみてください」
1口飲むと女はほっとして笑顔になる
女 「おいしいです」
送り人 「それはよかった」(ニコッ)
2人は少しばかりのティータイムを楽しんだ。
送り人 「ではお話をしたいと思うのですがよろしいですか?」
女 「はい。お願いします」
送り人は手を2回叩く。そうすると宙に浮いていた本のひとつが2人の目の前にまるで意思があるように飛んできた。
女 「わっ!」
送り人 「大丈夫ですよ。この本にはあなたのことが書いてあります。」
女 「私の事?」
送り人 「ええ。ここの本は一人一人の情報が書かれているのです。」
女 「この量を1人でですか!?」
送り人 「えぇ。さすがに生きている人全員は無理ですがそれを私たち送り人が分けてやっているのです。」
女 「そうなんですね……すごいな」
送り人 「ありがとうございます。では本題に入りましょう。」
女 「はい」
送り人 「まずあなたのお名前は…木内幸さん。年齢24歳。父、母、姉との4人家族。夢だったデザイナーになりこれから頑張ろうとした時にこうなってしまったのですね。」
幸 「そうです。初の彼氏もできてこれから幸せに暮らすと思っていたのに」
送り人 「彼氏さんですか」
幸 「はい。彼は優しくてかっこよくてこんな私でもお話もしてくれていて楽しくて。結婚も考えていたんです。」
送り人 「そうなんですね。」
送り人は本をなぞりながら確認していく
送り人 「アイドルが好きなんですか?」
幸 「そうなんです!男アイドルにハマってて推しもいて実は小さい頃はアイドルになりたくてダンスとか歌とか頑張ったんですけど無理で。でも服が可愛くて自分で作れるようになりたいと思い始めて頑張っていたんです。それなのに…」
送り人 「…死因は刺殺です。包丁で心臓を刺され今このようになっています。」
幸 「……私どうなるんですか?」
送り人 「死後の世界へご案内致します。大きくわけ2つ。ひとつは天国、転生ができる人などが行ける場所。もうひとつは地獄、罪を償い魂の浄化をし転生できるように長い時間をかけます。」
幸 「そうですか。」
送り人 「どうなるかは審判をしてくださる方に聞かないとどうにもなりませんがどちらにしろ転生は万が一のことがなければ可能になります。」
幸 「万が一?」
送り人 「ええ。ですが幸さんは大丈夫です。問題なく転生できます。」
幸 「よかった。それなら安心です。」
送り人 「未練残りそうですか?」
幸 「……いえ。私のせいなので。」
送り人 「落ち着いたら思い出したのですね」
幸 「はい。これがしばらくないティータイムですね。」
送り人 「そうですね。」
沈黙が流る。
幸が最後の一口を飲みきった
送り人 「おかわりいりますか?」
幸 「いえ。もう行かないとですから。」
送り人 「分かりました。ではこちらへ」
席から立ち上がり部屋を進む?案内されるとそこには白いドアがひとつあった。
送り人 「こちらが死後の世界への入口です」
幸 「もう戻れないんですね」
送り人 「そうです。あっ少しお待ちください。」
少し慌てて別の部屋に行った送り人を不思議そうに見守る幸。数分後送り人は1本の花を持ち戻ってきた。
送り人 「お待たせしました。こちらの花を幸さんに。」
幸 「これは?」
送り人 「私たち送り人は死後の世界へ行く方にその人にあったお花を渡すことになっているのです。幸さんに似合うと思ったのは赤いシクラメンですね。」
幸 「こんな綺麗な花私に似合うんですか?」
送り人 「ええ。とてもお似合いです」
幸 「ありがとうございます。」
赤いシクラメンをそっと撫でるように触れる幸
幸 「少しの間でしたが話せて楽しかったです」
送り人 「こちらこそありがとうございます」
幸 「じゃあ行ってきます」
送り人 「行ってらっしゃいませ」
白いドアを開き進んでいく幸。その姿を見送り見えなくなるとドアは勝手にしまった。
送り人は先程話していた部屋に戻り後片付けと次の準備をし始めながら彼女は期間は短いだろうが地獄に行くだろうと考えていた。
赤いシクラメン
花言葉は「愛情」「きずな」
そして「嫉妬」
彼女が彼氏とよんだ人それは推しているアイドルの事だった。彼女は愛してしまった。自分が諦めたアイドルを。手が届かないところにいる人を。
彼に近づきたいという理由で盗撮。盗聴。ストーカーをしていた。1回では無い。毎日のようにだ。
そして一線を超えてしまった。アイドルをストーカーし自分を専属にしてもらおうとし包丁を持ちアイドルの元へ向かった。
狂ってしまっていた。自分のものだけにしようとしていた。
だがダメだった。通り魔に刺されたのだ。それも同じくアイドルを推していた人によって。後日談だが数日後には捕まったらしい。理由は「あの女ずっと〇〇君のそばにいてじゃまだったの!だから殺したの!何が悪い!?」と言ったそうだ。
送り人 「モテる人はつらいですねぇ」
そんなことを呟きながら最後に机を吹き終わる。
一息つこうかとした時
チリン
という音が鳴る。また死んだ人が出た。仕事の時間だと思いフード付きの服を着てその人の元へ向かう。
そしてまた言うのだ
「私は送り人。あなたをお迎えに上がりました。」
おしまい
あとがき
最後まで読んで頂きありがとうございます!
初投稿させて頂きました!
間違えてるとこもあるかもしれません。ごめんなさい。
えーとまずこの作品は完全なる自分の妄想です!
死後の世界のこととかわからん!なら自分で考えてみよう!って思ってかきました。
よかったら感想ください!やるモチベになるので!
ではまた次の作品で!