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session  作者: 北稲とも
48/80

青い

 あれから数日経ち、期末テストも無事終わった。

 心配だった梨木もなんとか赤点を回避し、夏休みは部活に集中できるようだ。ただ1人、俺たちのグループで結果に嘆いてるやつがいる。


「なんでお前らみんないい点数なの!?」


 みんなでテスト結果報告をしているとき、そう嘆いたのは山崎だった。数学で驚きの点数を出したようだ。1科目だけなのでそこまで影響は無いようだが、部活の顧問にはかなり怒られたようだ。

 勉強会にも参加できず野球一筋でやってきた結果といえば当然なのだが、同じ野球一筋の涼太はきちんとテストでも結果を出していた。そういうとこなのだろう。


「一ノ瀬、部活行こー」


「ああ、行くか」


 梨木がちさとを連れて俺の席に来た。あれからちさととも普通に接している。まだご飯を食べに行ってはいないが、夏休み中にごちそうになる予定の話もしている。


「さっきみんなで話してたけど夏休み何する予定?」


 前にカラオケ行ったメンバーで何かしようという約束をしていた。最初は花火大会に行こうという話だったが、さすがに俺は美優と2人で行くからそれは断った。みんなで楽しんできてくれたらいいと思う。


「まだ決まらないから、みんなでLINEで決めようって話になったよ」


 部室に向かうまでの階段でちさとが教えてくれた。


「そういえばちさとも夏休み中にコンクールあるんでしょ?観に行くから教えてね」


「ありがとう!私もライブ見に行くよー!」


 そういえばちさとがサックスを吹いている姿を見たのは中学生のときの部活紹介だけだ。あの頃は女神とか言われていたけど、高校ではどうなのだろう。


「ちさとって部活ではどうなの?ソロとかあるんでしょ?」


「あるけど私はやらないよ。うちの部活は実力じゃなくて先輩がやる決まりあるから」


「ふーん。でも上手い人がやったほうがコンクールとかはいいんじゃないの?」


「まあ…それはそうだけどね。いや!別に自分が上手いとかは思ってないからね!」


「女神様が何言ってるんだか」


「もー!そんなことないから!あ、じゃあ私こっちだからまたねー!」


 ちさとと別れて俺たちも部室に行った。


「お疲れさまでーす」


 ライブまであと1ヶ月を切っているため、みんな夏休み中は練習に励むようだ。明日から夏休みということもあり、いつもより部室に人が多い。そして、そこには珍しい人もいる。


「お、梨木ちゃーん!久しぶり!」


「げっ…橘部長…久しぶりですね」


 5月のライブ以降全く姿を見せていなかった部長がいる。もはやレアキャラになりつつあるが、これで部長というのだからすごい。それでも誰も文句を言わないのは、ライブ中のカリスマ性があるからなのだろう。


「お、一ノ瀬くん聞いたぞ。お前美優と付き合ってるんだって?」


「だったら何ですか。文句でもあるんですか」


「かわいくねー後輩!まぁアレだ、幸せにしてやれよ」


「言われなくても」


 美優がずっと好きだった人。正直俺は気まずかった。だってこの人は俺から見てもかっこいいと思う。フラフラしてるけど芯があって、やりたい事に真っ直ぐな部長に惹かれている自分がいる。この人は選ばなかったけど、俺は美優を選んだ。だから負けたくない気持ちもあった。


「はい!みんな揃ったみたいだから夏休み中の連絡事項について話すよー!」


 みんなの前で美優が発表する。今日も一段とかわいい。なんて惚気話しを誰かにしたいがみんな真面目に聞いているので黙っておこう。


『部室が使えない日』

『ライブの日までの流れ』

『夏休み明けの学祭について』


 主に話題の中心はこの3つだった。特に3つ目については初めて聞くことが多かった。学祭では軽音部からは選抜して3バンドの演奏がある。基本的には普通のライブと同じだが、8月のライブが終わって1ヶ月後には選抜を決めるライブをやるらしい。そして、学祭が終わると3年は引退となるのだ。


「一ノ瀬はそこで復帰だね」


 梨木が俺に小さく言った。正直左手はかなり順調に回復している。夏休み中には完全に治るだろう。ただ、ライブに出る人が練習室を埋めてるだろうから『sing』に行ってドラムを叩こうと考えていた。


「まだ出れると決まったわけじゃないから。まずはリハビリからかな」


 そんな話をしていたら美優の話は終わって、みんな解散となった。俺も美優と一緒に帰ることにした。


「美優、お疲れさま」


「ありがとう。ちゃんとわかりやすく説明できたかな?」


「すごくわかりやすかった。それにすごくかわいかった」


「もー!結人のバカ!よし、今日は結人の家行こうっと!」


 明日から夏休みが始まる。俺は美優とたくさん一緒に過ごせたらいいなと思う。


 花火大会、お祭り、デート、ライブ


 美優も忙しいだろうけど、いろんなこと一緒にしたいと言ってくれている。いろいろとあったが、俺たちの関係も順調に育んでいる。夏休みが楽しみなんて中学の頃は思わなかった。もちろん、学校に行かないでいいことは嬉しかったが、それとは違う。

 そんな気持ちにさせてくれるのもみんなの、美優のおかげだ。


 そして高校生活初めての夏休みが始まった。

 今年の夏は例年より暑くなるらしい。

ご覧いただきありがとうございました。

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