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session  作者: 北稲とも
41/80

リプレイ

 あれから1週間が経った。


 俺と美優が付き合っていることも部活内を中心に徐々に広まり、「おめでとう」や「俺たちの美優が!」などと言った様々な声が聞こえてきた。


「もうすぐ期末テストだけど、結人って勉強は大丈夫なの?」


「怪我してから特にやることも無かったから、似合わないけど勉強してた。だから大丈夫だと思うよ。美優は?」


「ふふん。こう見えて優等生だからね。勉強は任せてくれたまえ」


 自信満々な態度を見せる。もしわからないところがあれば教えてもらおう。


「そういえば気になってることあるんだけど」


「なーに?」


「美優って卒業したらどうする予定なの?」


「うーん、正直まだそこまで考えてないんだよね。一応今年中にやりたいこと見つからなかったら大学に進学予定かな。そうなったら…遠距離になっちゃうね」


 帯広にも大学はあるが、農業・獣医学系の国立大学があるだけだ。その分野な進むわけではない人は基本的に札幌や東京、または北海道の地方都市に行くのが大半となる。


「そっか…俺はどうなるのかな。まだ先のことだから全然想像できない」


「意外とあっという間だからね。あーあ、なんで1つ上なんだろ。留年して同い年になろっかな?」


「なにバカなこと言ってるんだよ。どうなるかわからないけどさ、待っててよ。俺も行くから」


「まだ1年のくせに生意気な彼氏だ!…でも嬉しい。ありがとうね」


 俺たちが一緒にいれる時間は期限つきだ。付き合ってから意識し始めたことだが、一緒にいれる時間を大切にしなければならないことを改めて意識した。



「一ノ瀬、明日みんなで勉強会するけど来る?」


 梨木が部活終わりに聞いてきた。付き合ってることを報告した日から、少しずつ梨木も元気を取り戻している。俺とも普通に接している。美優とも変わらず接しているが、時折り見せる悲しい表情を見るたびに心がチクっとする。時間が解決してくれると思いたい。


 だが、ちさとは少し疎遠になった気がする。今まで通り「おはよう」と挨拶はしてくれるが、それくらいの会話しかしなくなった。恐らく、今回の勉強会も俺とちさとの仲をどうにか少しでも元に戻したいというみんなの想いから提案されたものだろう。


「そうだな。面白そうだし俺も行こうかな。どこでやるの?」


「図書館でやる予定だよ。ていうか面白そうってちゃんと勉強するつもりだからね!」


「いつものメンバーみんな来るの?絶対勉強集中できないだろ」


「私、ちさと、まどか、安達が来る予定だよ。結衣と山崎はバイトと部活で来れないって。じゃあ時間とか詳細は後でLINEするね」


 そう言って梨木は帰っていった。美優も今日は友達と予定があるとのことで、俺は1人でバスに乗り、帰ることにした。

 テストが終わると1ヶ月もしないでライブがある。今度のライブは美優と梨木は一緒に出ない。それぞれ2年生同士と1年生同士で出るらしい。梨木には曲決めを手伝ってほしいと言われているので、テストが終わったら手伝うつもりだ。


 その日の夜に「明日13時に駅集合」とLINEが来た。

 図書館は駅前にあるため、昼ごはんを食べてから昼に涼しい図書館で勉強といったところだろう。夜ご飯を食べて、美優とLINEをして明日の準備をする。0時を過ぎ、俺もベッドで横になっているときにスマホが鳴った。ちさとから電話が来た。


「もしもし?どうした?」


「あ…ごめんね。あのさ、明日図書館行くんだよね?」


「そのつもりだけど…何かあった?」


 気まずいから来ないでほしいとか言われるのだろうか。やはりちさとは今でも俺と美優が付き合ったことに思うところがあるのだろうか。


「あのさ…お願いがあるんだけど」


「どうした?」


「今日だけ。今日だけでいいから、ちょっとだけ電話してほしい」


 それは思いもしなかったセリフだった。まさか今になって急にそんなこと言われると思わなかった。そして俺は悩んだ。別に不誠実なことではないと思う。明日、きちんと話せば美優はわかってくれるはずだ。断れば前に俺にいろいろとしてくれたちさとの優しさを無にすることになる気がする。そう、俺たちは友達だから。


「いいよ。寝れないのか?」


 俺はちさとに聞いた。


「なんか…ね。本当にごめん、ダメだってわかってるんだけど」


「友達だろ。気にしないでいい」


「結人…。じ、じゃあ何の話しよっか!」


 最近聞かなかったちさとの明るい声が聞こえて俺は少しホッとした。俺のせいで振り回してしまっている自覚はあるが、それを払拭してあげるのは俺ではない気もしていた。

 だが、こうして俺を頼ってきてくれるちさとを蔑ろにできない気持ちがあったのは事実だった。

 美優は話したらわかってくれると信じて、俺はその夜、ちさとが眠るまで久しぶりに電話をして、ちさとの寝息が聞こえてから眠りについた。

ご覧いただきありがとうございました。

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