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session  作者: 北稲とも
14/80

オレンジ

 休み明け、俺は久しぶりに涼太と一緒に登校した。

 その日はあいにくの雨だったため、バス通学だった。バスの中で涼太と久しぶりにここ最近あった出来事を話していた。


「君はいつの間に恋愛アニメの主人公になってたの?」


「恋愛要素は1つも無いだろ」


「いやいや、みんな結人のことが好きになって、その中から誰か1人を選ぶ展開に!いったい誰を選ぶの!的なやつじゃないの?」


「おい、俺は真面目な話をしてるんだぞ」


「でもまあ、梨木さんのことは全然知らないから何とも言えないけどさ、ちさとの噂はやっぱりデマだったんだな」


 俺はちさとの噂がデマだったことを伝えた。家庭環境のことは言わなかったが、内容を少し改変して親とケンカして家を出たりしていた、と。


「それで?結人はこれからどうするとかあんの?」


「いや、特に何かするとかは無いけど、仲良くやっていけたらいいなと思うよ」


「そうだな。何かあったら言えよ。相談にはのるから」


「ああ、助かるよ」


 学校に着き、玄関で涼太と別れ教室に入った。いつもの日常がまた始まる。安達や山崎とGWにしていたことを話したり、クラスメイトの会話を聞いたりと数日ぶりの学校生活を堪能していた。


「結人おはよー!」


 ちさとがいつもの挨拶をしてくる。会うのはあの日以来だが、仲直りできてよかった。


「おはよう、ちさと」


 ちさとはいつも以上に笑顔だった。安達と山崎が「お前ら何かあったの?」的な顔で俺を見てくるが敢えてスルーすることにした。

 そしてもう1人、その笑顔に違和感を感じたのはちさとの後ろにいた梨木だった。



 昼休み、いつもの4人で教室でご飯を食べている。まどか、結衣、ちさと、わたし。この4人でいる時間がとても好きだ。

 まどかはスポーツ大好きで柔軟とかストレッチとか教えてくれる。インストラクターかよ!ってみんなで言ってる。

 結衣はすごくオシャレ。コスメやかわいい服とかたくさん教えてくれるから勉強になる。

 ちさとはすごくかわいいし、自信に満ち溢れてる感じに惹かれてしまう。ジャンルは違うけど同じ音楽好きとしては似ている部分もあると思っている。


「ちさと、一ノ瀬と仲直りしたんだね」


 私は朝の笑顔がずっと気になっていた。もちろん気のせいだったかもしれないけど、どこかスッキリしてるような笑顔で一ノ瀬におはようと言っていたと思った。


「あ、そうだった。みんなこの間はごめんね。結人とは仲直りしたんで大丈夫です!」


「ほんといきなりどした?って思ったよ〜。でも仲直りできたならよかったじゃん。あの後結衣とめちゃくちゃ心配してたんだから」


「まどかも結衣もほんとごめん〜。いろいろ心配かけました」


「全然いいよ〜」


 その後もGWの話などをしてご飯を食べ終わるとちさとがわたしに「ね、遥香、ちょっと飲み物買いに行かない?」と誘ってきた。「うん、いいよ」といい「じゃあ私たちにもオレンジジュース買ってきて」とまどかと結衣がお願いしてきた。


 教室から出て購買に向かって歩いていると、

「遥香さ、結人の家のこと聞いたんでしょ?」

とちさとが言った。いきなりだったので驚いてしまったが、答える前に私の顔を見て「やっぱり」と言った。


「私さ、結人の家のこと何も知らなくてあんなこと言っちゃったから、マジで最低だなって思った。こないだ仲直りした日にさ、結人から家のこといろいろ教えてもらったときに、遥香から聞いた?って言われて。遥香は知ってたんだよね?」


「うん…。部活入るかわからなくて、いろいろ聞いたときに教えてもらった。でも知らなかったんだし、ちさとは悪くないよ。誰も悪くない」


 そう、私たちは誰も悪くない。何も知らなかったちさとも、慣れない毎日を過ごして入部するのが遅くなった一ノ瀬も。これは勘違いから発生した問題なのだから、気にしないでいいと思った。


「遥香…ありがとう…。あのさ、遥香にお願いあるんだけど」


「お願い?ちさとのお願いなら仕方ないから聞くだけ聞いてあげる」


「えへへ。あのね、これからも結人のこと見ててあげてほしいんだ」


 私はその言葉を聞いて足が止まった。どういうこと?私が?なんで?


「え、なんで私が?」


 思わず口にしていた。だってそうだ。だってちさとはーーーー


「私は、結人と同じ中学だったし、いろいろ見てきたから結人のこと知ってるつもりだった。でも違ったんだ。全然知らないことだらけ。まぁ昔からずっと友達だったわけじゃないから仕方ないかもしれないけど。それに結人って遥香には…何でも言えるんだと思う。同じ部活で仲良しなのもあるかもだけど、それ以上にたぶん遥香のこと気に入ってるんだと思う」


 私はどんどん顔が熱くなっていくのが自分でもわかった。


「だからさ、こんなことお願いできるのは遥香しかいないから、お願いしてもいいかな?」


「いいけど…でもそれは違うと思う。私だけじゃない。ちさとだって見ててあげてさ、一ノ瀬が困ってることがあったら助けたらいいよ。今回のことはたまたまちさとが知らなくて私が知っていただけ。逆のことだって絶対あると思うし。だからさ…一緒に応援していこうよ」


 ちさとが一ノ瀬のことをどう思っているのかはわからない。一ノ瀬のことは友人としてしか見てないのか、それとも恋愛感情があるのか…。

 わからないけど、こんなのは違うと思ってしまった。

 ちさとは少し考えているように黙って下を向いている。そして顔をあげて言った。


「…やっぱり遥香は最高だね。わかった!じゃあ今回のことはもう終わり!あースッキリした!」


 その顔は本当の意味でスッキリしているように見えた。あーあ。ひょっとしたら私、厄介な敵に塩を送っちゃったのかな。ちさとは私の気持ちに気づいているのかな。もしちさとが一ノ瀬のこと、恋愛感情あるのだとしても負けないよ。それに、ずっとちさととも友達でいたいから、これからもよろしくね。


 こうして私もどこかスッキリした気持ちになって、オレンジジュースを買いに購買へ向かった。

ご覧いただきありがとうございました。

もしこれからも読んでみたいと思っていただけたら、ブックマークや評価などして頂けるととても嬉しい限りです。

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