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32.どうぞ、独占してください。

「イザベラ様、色々とありがとうございました。そして私のことを初めてできた友達と言ってくれてありがとうございます。私もイザベラ様のことを同じように思っていました。女王として務めていく為にも、私はカルロスを夫として側に置けるように頑張ってみようと思います。私も恋に盲目な女だったようです。突然、女王になれと言われて不安で混乱していました。しかし、カルロスと一緒になれる可能性は自分が女王になってしまった方が高いと分かると、不安が消え覚悟が決まったのです。私には、彼が必要なようです。サイラス国王陛下にもイザベラ様が必要だと思います。また、会える時は2人のラブラブなところを再び見せてくださいね」


ビアンカ様がアツ国に旅立つ時に置いて言った言葉に私は思わず顔が熱くなった。

そういえば、私は彼女の前でサイラス様に頬にキスされているところを見られているのだ。


「イザベラが王妃になる覚悟をしてくれたきっかけが、ビアンカ様との友情なのが実は悔しいです。私への溢れる想いによって王妃になる決意してくれることが理想の展開でした」


サイラス様が珍しくやきもちを焼いているような言葉をかけてきて驚いてしまう。


「私のサイラス様への気持ちは、いつも溢れていますよ」

彼が私の唇に親指で触れてくるので、私はそっと目を閉じた。


♢♢♢


「サイラス国王陛下、国王になって、早々に4ヶ国の平和同盟を締結するとは素晴らしい手腕ですな。また、我が国のライト公爵令嬢がお役に立てたようで良かったです」


ライ国王陛下が突然話しかけてきて驚いてしまう。

隣にはライト公爵、ルブリス王子、エドワード王子とカールまでいる。


エドワード王子はいつになく、顔を赤くしている。

彼は私の前世の弟だから、姉のラブシーンを前に当然の反応だ。


「イザベラ、私たち、2人の世界に入っていましたね。イザベラを前にすると世界に他の人がいたことを忘れそうです」

サイラス様が私の耳元で内緒話をしてくるのがくすぐったい。


「実は別の世界で深い関係だった方に、絶対見られたくない場面を見られました。ちょっと雪の中に埋まって頭を冷やしてきます⋯⋯」

私が小さな囁き声で彼に言うと、彼の笑いを堪えるような顔が見えた。



「ライ国王陛下、実は困ったことがおきました。ルイ国の次期王妃であるイザベラの寝室に、ルブリス王子殿下が押し入ったのです。王子殿下が気絶して意識が戻ったばかりのイザベラを、押し倒そうとしている場面を私自身が目撃しています。ルイ国では相手に一方的な好意を押し付けたり、追い回すことを罪にする法律が新しく作られました。これより、ルブリス王子殿下の身柄はルイ国で拘束し、罪に問わねばなりません。そして、使用人の話によるとライト公爵がルブリス王子のイザベラの部屋への侵入を許していたとの情報があります。もしかして、これはライ国が国家ぐるみで、我が国の次期王妃を辱めようとした計画でしょうか? せっかく、聡明なエドワード王子の働きがあり4ヶ国の平和同盟が築かれたのに、これが破られてもおかしくない事態に直面しています。ライ国王陛下はこれについてどう思われますか? ライ国が然るべき処理をしてくれるならば、この件に関してはイザベラの名誉を守る意味でも不問に致します」


自分の父親よりも年上だろうライ国王陛下に、堂々と迫るサイラス様は本当に頼もしい。


私は思わず彼に寄り添って、彼の君主としての顔を見つめ続けた。


「イザベラの体調を考慮できないのは悪かったとは思っています。しかし、私はイザベラを本気で愛しています。彼女も元は私を愛していました。サイラス国王陛下は4年2ヶ月近くイザベラと一緒にいるのに対して、私はたった1年4ヶ月しか彼女と一緒にいません。彼女の気持ちを取り戻したくて、多少強引に迫って何が悪いのですか?」


体の震えが止まらない私を押し倒してきたことを、平然と悪びれもせず肯定するルブリス王子を見て心が急速に冷えるのを感じた。


助けを求める彼を見て助けたいと願い、自由に子供のような彼を見て微笑ましいと思った。


でも、このように人の気持ちを無視する方とはもう関わりたくない。


「一方的な好意を向けられて迷惑です。ライ国王陛下、陛下がルイ国を軽く見ていないという証になるような処分をルブリス王子殿下に下してください!」 


私が強い口調で言った言葉に、ルブリス王子が驚いた顔をした。


彼は優しい私でなければ、悪魔に取り憑かれているとでも思うのだろうか。


それならば、それで結構だ。

私はサイラス様にこれ以上、彼のことで心配を掛けたくない。


「ルブリスは廃嫡にする。だから、身柄だけはライ国に受け渡して欲しい」

ライ国王陛下の言葉にも、ルブリス王子は平然としていた。


「別に構いません。私は王位になど興味はありませんから」

それが強がりなのかどうかは分からないけれど、彼と関わるのはもう怖かった。


「イザベラ様、兄上が申し訳ございませんでした。サイラス国王陛下、イザベラ様をよろしくお願いします。僕の知る彼女は誰よりも優しく繊細で傷つきやすく、結構危なっかしい方です」


エドワード王子がまるで弟が姉を見送るような言葉を言う。


彼は察しが良いから、私がエドワード王子が前世の弟だと言うことをサイラス様に暴露していることに気がついたのかもしれない。


「エドワード王子、イザベラはあなたの幸せを誰より願っています。そして、私は昔からあなたが特別優秀で努力家なのを知っています。あなたが導いていくこれからのライ国が楽しみです」


憧れのサイラス様からの言葉に、エドワード王子が頬を染める。


「では、イザベラ本当に2人きりになれるところに、一旦避難しましょう。」


体がふわっと浮いたかと思うと、私はサイラス様にお姫様抱っこされていた。

落ちないように私は彼の首にしがみついた。


「ここは、国王陛下の執務室ですね。初めて入ります。自室だけでなく執務室も移動するのですね」

ソファーに降ろされると、隣にサイラス様が座ってきて距離の近さに緊張してしまう。


「イザベラの心を全て侵略したかったのに、1人を退散させたら、2人の強力なライバルが登場してきました」

どんどんすり寄ってきながら、語ってくるサイラス様に心臓の音が止まらなくなる。


「サイラス様、近いです。このソファーは広いですよ。私は初めて友達ができた上に、前世の弟を幸せにするチャンスを貰えたようで嬉しいです」


弟の優太が虐められたのも、死んだのも私のせいだ。

だからこそ、今世では彼のことを見守り助けられるようになりたい。


「ライバル2人が強すぎる上に、イザベラにとって大切な人なので我慢します。でも、2人きりの時はイザベラを独占させてください」


サイラス様の美しい青い瞳に幸せそうな私が映っていた。


前世の私から考えると信じられないくらい幸せな私に出会えた気がする。


「今は、2人きりですね。だから、私の全てはサイラス様のものです。どうぞ独占してください」

私がそういうと彼が微笑んだので、私は目を瞑り彼の口づけを待った。




ブックマーク、評価、感想、レビューを頂けると励みになります。貴重なお時間を頂き、お読みいただいたことに感謝申し上げます。この話の後に続く続編【王妃になるまで編】は現在連載中です。タイトル上部か下部のリンクからお読み頂けますので、お時間ありましたら読んでいただけるとありがたいです。

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『私を殺す気なら、離婚してください』 tps://ncode.syosetu.com/n0529ih/">『サレ妻は異世界で次期皇帝から溺愛されるも、元の世界に戻りたい。』
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