表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/32

30.蜜蜂としての活動に専念してみてはどうでしょうか?

「皆様、慌てずにお聞きください。私は何も悪くないのです。私はただ美しい花を求め続ける蜜蜂なのです。イザベラ様という魅惑的な花に誘われてしまっただけなのです。まつ毛に触れたのは、ただ誘われるがままに花弁に触れてしまっただけです。つまりは全てはイザベラ様という花の魅力そのものの罪です。目を潰そうとしたわけないではないのです」


突然、レイモンド様が演説口調に話してくる。

なんだか彼の表現がとても気持ち悪くて、眩暈がしてきた。


「失礼ですが、気持ちが悪いです。女性の権利を大切にする国の次期国王がこのような方だなんて信じられません」

私の気持ちを代弁するようにビアンカ様が語る。

そして、彼女も気持ち悪いと感じたようで顔色が悪くなっていた。


「レイモンド様、実はルイ国では戴冠式の前にレオ国の法律を参考にして、一方的に好意を寄せて追いかける行為を罪とする法律をつくっています。これは、私がイザベラを追いかけ回す、とある王子を断罪する目的で作ったものです。ルイ国に来てからあなたはルイ国の何人かの貴族令嬢に手を出してますね。令嬢たちから被害の報告が来ています。他国の王族のあなたから迫られれば、彼女たちは拒否できません。権力を濫用したその行為も、問題があると思います。自国では優秀なフィリップ王子があなたの失態を隠してくれているかもしれません。でも、ここはルイ国です。ルイ国の法律が適用されるので、当然、あなたを逮捕することができます」


私はサイラス様が自分の祝いの場でルブリス王子を締め上げる準備をしていたことに驚いてしまった。


「サイラス国王陛下、私は令嬢たちに無理やり迫ったわけではありません。イザベラ様に関しては拒否されたような気がしたので手を出してませんし、他の令嬢たちは合意の上です。しかも、無差別に手を出しているような言い方をされては心外です。私は雑食ではないのです。美食家の蜜蜂として美しい花だけにとまっています。サム国から遠路はるばる、陛下の戴冠式に来た私を逮捕するのですか? そのようなことをしたら、サム国を敵に回しますよ」


「どうでしょうか。私はライ国の建国祭の前夜祭で王子の婚約者イザベラに恋に落ちて、ルイ国に連れてきましたが今ライ国とルイ国は変わらず兄弟のように仲良しです。試しにレイモンド様を逮捕してみましょうか。サム国はルイ国に抗議してくるでしょうか?」


サイラス様が余裕の表情で、6年前のことを語る。


確かに、あの時ルイ国の王族も貴族も皆サイラス様なら何か特別なお考えがあってしたことだと捉えていた。


日頃、真面目にやってきたからだと彼はさらりと言っていたのを覚えている。


「僕、個人の意見としてはサム国はルイ国に謝罪して、弟君のフィリップ王子を王太子に据えると思います。日頃から女性関係がクリーンな方であればサム国は抗議をしてきたでしょうね」


エドワード王子の意見はもっともだと思った。

王位継承権を持つ者は彼1人ではないのだ。


「エドワード王子、もしかして私を嫌ってますか? 私は優秀なあなたのことを評価していますし好きですよ。優秀な弟、万歳です!」

レイモンド様が万歳のポーズを小さく取りながら訴えている。


「僕はレイモンド様を嫌ってなどおりません。人の心を掴む演説ができるところなど尊敬しています。ただ、貞操観念の強いサム国としてはレイモンド様の行いが明らかになれば国としての評価が落ちるので、切り離しにかかるのではないかと考えただけです」


エドワード王子が淡々と語るので余計にそれが感情論ではないと分かる。


「私は、生まれてから次期国王として育てられたレイモンド・サムですよ。国王にならない未来など考えられません」


そう思うなら、なぜ国政に専念せず女遊びを頑張ってしまうのだろう。

やはり生まれながらに輝かしい未来が約束されていると気を抜いてしまうのだろうか。



「同じく生まれてから次期国王として育てられたライ国のルブリス王子殿下は、王太子の座をエドワード王子に譲り我が道を行くことにしたようですよ。レイモンド様も思い切って蜜蜂としての活動に専念してみてはどうでしょうか?」


「イザベラ様、私はあなたのことが好きなのに、どうしてそのような冷たいことをおっしゃるのですか?」


レイモンド様が縋るような目つきで私を見てくる。

そのような彼の姿に私はルブリス王子を重ねた。


「レイモンド様、イザベラは演説で愛しているのは私だと宣言しています。今、明らかに一方的な好意の押し付けをしてしまってますよ。次期国王への道より、犯罪者としての道を自ら選びに行っています。自国でのやらかしが明らかになるのも時間の問題だと私は考えています。そもそも貞操観念が強く望まれる貴族令嬢を相手にしているから、余計に問題になりやすいです。レイモンド様、自分の地位を守るために4ヶ国の平和同盟に加わったらどうでしょうか?他国を巻き込んだ同盟に次期国王として調印するのです。自国であなたを王位に据えることが問題になった時、他国があなたを次期国王として認知していれば席を守りやすいです。確かに、この同盟はサム国には何のメリットもありません。でも、口の上手なレイモンド様であれば、国民にサム国のための同盟を結んできた納得する理由を作って語れると信じています」


「分かりました。同盟に参加します⋯⋯」

観念したように言うレイモンド様に、ほっと胸を撫で下ろす。


「それとは別にイザベラ様と手を出した貴族令嬢にも謝罪してあげてください。同盟国の次期女王としてお願い申し上げます」


ビアンカ様の強国の王太子を相手にした力強い言葉に彼女の女王になる覚悟を感じた。

私も、彼女の姿を見てサイラス様を支えられる王妃になれるように頑張りたいと思った。



ブックマーク、評価、感想、レビューを頂けると励みになります。貴重なお時間を頂き、お読みいただいたことに感謝申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『私を殺す気なら、離婚してください』 tps://ncode.syosetu.com/n0529ih/">『サレ妻は異世界で次期皇帝から溺愛されるも、元の世界に戻りたい。』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ