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29.目を潰されるかと思い怖かったです。

サイラス様が会議室を用意してくれて、急遽4ヶ国の会談が行われた。


本来ならば彼が国王になったお祝いの昼食会を抜け出させてしまった。

サイラス様のお心を一番に大事にすると約束したのに、私はまた他の人の気持ちを優先させてしまっている気がする。


しかし、自分にできた初めての友達が苦しんでいるのを放っておくことはできない。

そして私はあまりに無力で、彼の力を借りないと彼女を助ける手段が全く思いつかないのだ。


「イザベラ、4ヶ国の平和同盟はルイ国のためにもなります。国王の代替わりをしてしばらくは、国内の権力の構図も変わり、ルイ国のことに集中したいと思っていました」


私の心を察するように、サイラス様が優しく言ってくれる。


「それにしても、ビアンカ様、大変でしたね。ルドルフ様に好きな女がいたら、まず誘拐してしまいなさいと伝えておけばよかったのに。国に連れ込んでから、じっくりと自分のものにしてしまえば良かったのですよ」


ビアンカ様の困る顔が見たいのか、誘拐という単語を出し私やサイラス様の反応を見たいのかレイモンド様が揶揄うようなことを言ってきた。


「私の婚約者の胸元ばかり見ている、女性の権利を大切にするサム国の王太子殿下は会談に参加する気があるのでしょうか? 真面目に参加しといた方が良いですよ」


サイラス様が聞いたことないような冷ややかな声を出すので、驚いて彼の顔を見た。

一瞬、彼は冷酷な表情をしていた気がしたが、私と目が合うと微笑んでくれた。


「ビアンカ様、ここにいる人間以外にはルドルフ様やアツ国の国内事情は漏れないようにしてあります。どの国も領土を拡大をして、他国の資源や人材を得たいと考えています。しかし、私個人としましては、スリ公爵家の強い影響がなく健康な状態でビアンカ女王がつくっていくアツ国を見てみたいです。ビアンカ様が他国の侵略を心配することなく内政に取り組める環境を作る手伝いがしたいと、我が国の次期王妃も望んでおります」


サイラス様がビアンカ様に安心させるように微笑みかける。


「お心遣いありがとうございます。アツ国も他国が困った際には、助けられるよう力をつけていきたいと思います」

ビアンカ様は自分が女王になるという覚悟がついたようで強い口調で言った。

実際、ライ国が豪雨に見舞われた時はルイ国が救援物資や救援隊を送り助けて、ルイ国が豪雪被害に遭った時にはライ国が助けている。


兄弟のように近い2ヶ国は元々、協力関係にある。

そこにアツ国とサム国を加えたいと考えている。


侵略をしないという約束以外に、共に協力し合う同盟を結びたい。

サム国は気候も穏やかで天災にあうこともほぼないので、他国の急な助けが必要なかったりする。

そのためレイモンド様がこの同盟に消極的なのは予想がついた。



「サイラス国王陛下、さては私に対する交渉カードを持ってますね。この平和同盟のメリットがないのはサム国だけです。アツ国がスリ公爵家の屈強な騎士団を自由に使えない今、我が国としては速攻攻めて落としたいですね。サム国は結婚しないと国王にはなれません。だから、国王の代替わりはしばらくサム国ではありません。私はイザベラ様の奇策により、向こう8年は結婚という地獄を避けて自由に遊べそうです。父上もあと10年は何とか生きて、国王を続けるでしょう。そして、8歳年下の弟フィリップは、素行も性格も良く王家の広報係と言っても過言ではありません。私を引き摺り下ろそうという野心もないので、私は安心して独身を満喫できます」


エドワード王子が長子であるルブリス王子を退けて立太子しようとしていることを非難しているのだろうか。

2人の関係性も知らないくせに、勝手なことを言ってくれる。


「レイモンド様が心が読めるのですか? 素行の良い弟君は、永遠に自由に振る舞うレイモンド様のフォローをすることに満足していると考えているのですか? フィリップ王子にお会いしたことはございませんが神様のような方ですね。レイモンド様はルイ国の次期王妃の私の部屋に半ば強引に侵入しましたよね。ベットに突然座って、私のまつ毛を触ってきた時は目を潰されるかと思い怖かったです。ああいったことは他の方にも強引にしているのでしょうか?一方的に追い回すような行動はここがレオ国なら問題になっていると思います。そういった素行不良を、素行の良く性格が良い弟君なら疑問に思うのではないでしょうか? 声に出さないからといって、心の内は誰にも分かりません」


「イザベラの部屋に入ったとは本当ですか? ベッドに座ったとはどういう要件ですか?」

「イザベラ様のまつ毛を触ったのですか?」

「最低ですね。」


私の話に驚いたのかサイラス様とエドワード王子とビアンカ様が口々に言ってきた。


私はそこまで驚かれるような内容だと思っていなかったので、3人の反応にびっくりしてしまう。

優太が言っていたように一方的に害されてきた前世の壮絶な経験により、私の感覚は麻痺していたのかもしれない。



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『私を殺す気なら、離婚してください』 tps://ncode.syosetu.com/n0529ih/">『サレ妻は異世界で次期皇帝から溺愛されるも、元の世界に戻りたい。』
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