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24.彼女との未来を選びます。(エドワード視点)

父上に近づくなりルブリスは驚きの一言を吐いた。


「父上、王太子にはエドワードをご指名ください。私は次期国王になる気が全くありません」


ルブリスが本心で言っているのかは全くわからないし、なぜ今そんなことを言っているのかも分からなかった。


父上は爆弾発言をした兄上に不安を感じて、俺とライト公爵を連れて会場を出た。

ライ国に割り当てられた建物の一室に入り、父上と兄上とライト公爵と俺で席を囲む。


ルイ国の王子が結婚するというのに参列もできないような発言をルブリスがしたからだ。

あのような人の多い場所で不用意な発言をして、誰かに聞かれでもしたらあっという間に噂になる。


「ルブリス、急にどうしたのだ。最近、ルイ国からの氷の輸入の交渉を取り付けたり、土地区画整理事業に取り組んだりしていたのは立太子するのを望んでいたのではなかったのか?」


父上は自分が長子として生まれていたために長子を特別視するのか、馬鹿な子ほど可愛いからかルブリスにはいつも甘い。


「あれは、全てイザベラが何もかも失った私のために、私の手柄にして名誉を回復しろと言って提案してくれたものです」


「あれはカール・ライト公子の提案ではなかったのか? てっきり余は彼の提案だと思っていた。ところで、お前はいつ何もかも失ったのだ?」


父上も流石に不勉強のルブリスの案だとは思っていなかったのだろう。


「卒業パーティーの後です。実の父親も弟もみんな私を裏切りました。そんな中、唯一手を差し伸べてくれたのがイザベラです。私はこの世界の誰も信用できませんが、彼女だけは信用できます」


父上はルブリスになぜ非難されているのか、わからないようでこめかみを抑えている。

正直、俺も彼がなぜ自分を裏切ったと言っているのか分からない。

彼は俺が生まれた時から嫌いだったと言ったことを裏切ったといっているのだろうか。


「それと、王太子になる権利を辞退することと何の関係があるのだ?」

父上はなんだかんだ言って、できればルブリスを王太子にしたいのだろう。

俺が同じように訳のわからないことを言ったら叱りつけて終わりだ。


「イザベラがエドワードに王太子の座を譲るように言ったのです。彼女は王妃になることに不安があるようです。私は自分が次期国王になることよりも、彼女との未来を選びます」


精悍な顔つきでドラマの主人公のように話すルブリスは、イザベラ様と一緒になりたいようだ。

でも、俺は絶対に彼のような人間に姉ちゃんであるイザベラ様を任せたくはない。


姉ちゃんは悪意を持たない人間で人の悪意に気が付きにくく、優しすぎるために彼女には何を言っても許されるように思われてしまう。


ルブリスはイザベラ様のいう通りにしていたら全てうまくいったから、彼女を万能な女神と勘違いしてそうだ。

何かあっても必ず彼女が助けてくれると思っているのだろう。


姉ちゃんは努力家だが特別勉強のできる人ではない。

おそらく、氷の輸入についての交渉はサイラス国王陛下が彼女のお願いを聞いてくれたのだ。

そして、土地区画整理事業も前世で俺が将来そういう仕事がしたいとしょっちゅう話していたので思いついただけだ。


「ルブリス王子殿下、娘と何か進展があったのですか?」

ライト公爵が娘の体調を気にするわけでもなく、ルブリスに娘を売れれば良いとでも考えてそうなことに腹が立った。


「サイラス国王陛下に邪魔をされてしまって、関係を進めることはできませんでした。でも、彼女はアカデミー時代、フローラのせいで苦しい思いをしていて、その絶望のような感情が理解できるのは私だけだと思います。彼女のために王位も捨てられず、挫折を知らないサイラス国王陛下とは一緒にいても苦しくなるはずです。私は彼女の気持ちを取り戻す自信があります」


ルブリスは自分もイザベラ様を傷つけていた当事者とは捉えていないようだった。

本当になんでこんなクソみたいな人間が存在するのだろう。


人を傷つけたことにも気が付けない人間を、姉ちゃんの側には絶対置けない。

前世で姉ちゃんは散々傷ついてきた人だから、この世界では幸せになってもらいたい。



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『私を殺す気なら、離婚してください』 tps://ncode.syosetu.com/n0529ih/">『サレ妻は異世界で次期皇帝から溺愛されるも、元の世界に戻りたい。』
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