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月の蘇る-4-  作者: 蜻蛉
第二十一話 責任
41/71

10

 月明かりが木立の影を濃く映し出す。

 その下を歩いている。誰か、誰でも良い、人間を求めて。

 その理由は忘れた。ただ渇望している。

 他者の命を貰い受ける事を。

 道の向こうから物音が聞こえた。

 嬉しくなって弾むように走り出す。

 この鬱屈から解放される。あと少し、あと数分で。

 誰も止めない。誰も、俺を止められる奴なんか居るものか。

 誰も彼も居なくなれば良いんだ。こんな世界。

 人が人を殺すこんな醜い世界なら、悪魔が壊して何が悪い?

 鬱蒼とした木々が途切れ、小さな集落が現れた。

 村の中心となる広場に人々が群がり、何やら小競り合いをしている。

 田畑に引く水を巡っての言い争いだと、少し耳を澄ましていれば聞き取れた。

 馬鹿だなあと嘲笑う。

 そんな小さな事で争っている間に、悪魔はこんなに近くまで忍び寄っているのに。

 どうせ、皆死ぬ。

 この手によって。


 悪夢に魘され、何かに縋るように覚醒する。

 半端に上体を起こし、乱れた呼吸を飲み込んで、もう一度身体を横たえる。

 頬を温かな手で包まれて、安らかな現実を思い出した。

「何の夢?」

 囁き声で問われるが、口にする事を躊躇う。

 彼女に聞かせたくなかった。

「悪い夢は喋ったら消えちゃうって言うから。聞かせて?ね?」

 甘く優しい囁きに、引き止める理性を失った。

「朔夜の事…」

 あとは察して欲しいと、胸の中に顔を埋める。

「…夢だよ。大丈夫…」

 言い聞かせているのは、自分ではなく、彼女自身であるような切実な声音に。

 もうあいつが羨ましいとは思わない。だけど、少し、妬いた。


 渇き切った身体が、人の血で潤い癒える。

 屍に囲まれて、笑う。漸く取り戻した自我が快くて。

 広場に居た連中はあっという間に刃の餌食となった。惜しむらくは誰一人抵抗しようとする者が居らず、斬り甲斐は無かった。

 赤い満月が西の空に浮かぶ。良い夜だ。

 腹の満たされた獣のように、寛ぐ場所を探す。

 手近な家の戸口を潜った。

 屋内の灯は消えていた。燭台からはまだ細い白煙が立ち昇っている。

 闇の中を歩くのに不便は無い。夜陰に潜んできた悪魔の目は獣の如く物を捉え、鼻は獲物の気配を逃さない。

 嬉々として舌舐めずりする。まだここに、喰える奴らが居る。

 片っ端から建具を開き、獲物の姿を探す。空と知りつつもわざと音を発てて、追い詰める相手の怯えが増すのを楽しんだ。

 ここを開ければ獲物は居る。最初から知っていた。薄い戸板の向こうで、音が隠せぬ程に身を震わせている。

 こいつらを八つ裂きにして味わい尽くしたら、ここで一眠りさせて貰おう。

 良い夢が見られるだろう。

 満ち足りた、良い夢が。

「やめて!」

 悲鳴混じりの甲高い声が上がり、戸板が向こうから開かれた。

 そこから出てきた出鱈目な一太刀を難なく躱し、隙だらけの背中を仕留めてやろうとして、やめた。

 人影は小さい。自分よりも一回りは。そして幼い。

 子供なら、遊んでやろうと思った。

 殺すのは、その後でも良い。

「やめて!仲駿(チュウシュン)、やめて!」

 母が子の名を繰り返し叫ぶ。

 その響きが、別の声を脳裏に蘇らせた。

――華耶。

「母さん、逃げて!早く、今のうちに!」

 幼い息子が叫ぶ。叫んでいる間に、その身は刃に切り裂かれていた。

 母の悲鳴。

 逃げられる筈が無い。子を置いて、自分だけが。

 本当は子を隠して、自分が贄となる筈だったのだろう。

 それは知っていた。知っていたけど耐えられなかった。一緒に隠れていれば良かったのに。

 そうしたら、見つかったとしても、一緒に死ねた。

 あんな事には――こんな今は、無かったのに。

「仲駿!やめて!やめてください!」

 母は倒れた息子の前に転がり出て、凶刃から守らんと腕を広げた。

「私を殺してください!この子は助けて!」

 脳味噌を揺さぶられるかのような不快感。

 この声。この言葉。思い出したくもない。あの時、あの光景。

 お前らが悪魔を作ったんだろ?

 お前らが?ああ。

 今の俺か。

 親子の息を止めるべく振りかざした右の刃。

 それを止めるべく、左手の刃は、右腕を刺し貫いた。

 筋を絶たれた右手から、溢れる鮮血と共に刀が落ちた。

 母子は言葉を失って、呆然と刺客を見上げていた。

 朔夜は左手の刀も捨てた。力も入らなければ、もう必要も無かった。

「…退いてくれ」

 掠れる声で母親に言う。当然、彼女は動き兼ねた。

 力の無い左手で肩を押す。その感触に感じるものがあったのか、おずおずとその場から身をずらした。

 どっと倒れるように子の横に座り込む。そして霞む目で傷を確認した。

 右肩から袈裟懸けに傷が走る。そう深くは無い筈だ。本気で斬った訳ではないから。

 血に濡れた胸の上に、感覚の遠い左手を置いた。そして意識を集中させる。治れ、と。

 すぐに感触があった。闇の中に光が浮かび、程なくして消えた。

 切れ切れだった仲駿の息が、深く吸い込まれる音を聞き。

 朔夜は立ち上がった。何でもない動作の筈だが、まるで歩めば崩れる砂の上でのように難儀だった。

「…悪い。邪魔したな」

 軽口を叩いて、多分数歩は歩いた筈だ。

 地面に身体は叩きつけられ、意識は闇と化した。


「仲春、お願い」

 最愛の妻に両手を合わせて頭を下げられれば、龍晶に逃げ場などある筈もない。

「そうは申しましてもね、謁見はどの客人にもお断りしているのですから、例外を作る訳にはいきませんよ。皇后陛下もその辺はよくご理解なさっているでしょう」

 横から口を挟む桧釐を気怠く見やって、溜息混じりに王は答えた。

「会おう」

 本当は顔を合わせたくも無いが、桧釐の意見に乗るのも癪で、それ以上に華耶に否を言うのはもっと嫌だった。

 療養を盾に今は面倒な謁見を全て遮断している。尤も、重い正装を纏って人前に出る体力は実際に無い。

「ただし桧釐、非公式にだ。晩餐の席で、一時だけ。それが望みだろう、華耶?」

 妻は満面の笑みで頷く。そして早速、立ち上がって言った。

「たくさん美味しいものを作りますから、桧釐さんもお楽しみに!今夜はみんなで楽しみましょう!」

 十和を呼び、二人であれこれ料理の算段をしながら厨へと向かった。

 楽しそうにしているが、龍晶は彼女の胸の内を察して沈痛な気分になる。

 今夜の席に一番居て欲しかったのは、朔夜である筈だ。

「気乗りしないようですな」

 冷やかし混じりの従兄の表情を煩わしく思いつつ、本音を吐いた。

「華耶にとっては父親代わりで嬉しい再会だろうが、俺は良い印象は無い」

「へえ?ま、確かに息子のような賑やかさは無さそうでしたね。顔はそっくりだったけど」

 先刻に一瞬だけ顔を合わせた人物を思い出しながら桧釐は評した。

 冬の婚約騒動の時以来久しぶりに皓照が現れた。

 当然のように龍晶に謁見したいと言う。それを療養中だからとにべもなく断ろうとしたが、それを意外な方向で食い下がられた。

「ま、私は良いんですけどね。でも皇后陛下はさぞや残念がるでしょう。せめて両陛下のお耳には入れて下さいませんか?この皓照と共に、燈陰も来ましたよ、と」

 言いながら自分の後ろに立つ人物へと視線を送る。

 桧釐もつられて今まで存在に気付きもしなかったその人物を目に入れた。

 陰鬱な表情の男だと思った。何故、皇后がこんな男と関わりがあるのか。

 そして短く刈られた髪に違和感を覚えた。銀髪。こんな髪色は今まで一人しか見た事が無い。

 そして気付いた。よく見れば、顔にも面影がある。大人と子供の違いと、背負う影の暗さの違いですぐにはそうと分からないが。

「なんか、この世の不幸を全部背負ってますって感じで、俺も良い印象は持ちませんでした。絶対に息子の方が苦労してるだろうに、何なんですかねあの父親は」

 言いたい事を言う桧釐に苦笑いして、龍晶は己の知る所を教えてやった。

「朔夜はあの父親が悪魔を生み出したと言っていた。戦の為に己の都合で子供を使っていたようだ。あげく、妻子を置いて自分だけ逃げたんだろう」

「最低な父親ですな」

「そうはなりたくないものだ」

 同じ子を持つ二人の父親は頷き合った。

 春音に戦は見せたくない。そういう世にしない事が、二人の働く共通の意味だ。

「でも華耶様はえらいお慕いようですね。あの男の為に手ずから夕飯をお作りになるとは」

「婚姻前に約束したそうだ。ここに来たら朔夜を含め、皆で飯を食べるんだと。灌に居た頃はずっと世話を焼いていたらしいから、自然な発想なんだろうな」

「へーえ。じゃあうちの於兎も関わりがあるって事か。どんな奴か聞いてみよう」

「晩餐に於兎も呼んでやってくれ。華耶も喜ぶ」

「畏まりました。賑やかしには持って来いですな。あんなどよんとした奴には丁度いいや」

「昔話で盛り上げてくれ。そのうちに俺はひっそりと姿をくらますから」

「ああ、成程。しかし問題は皓照の奴です。あいつが居るからには、何か変な問題を持ち込んでいる気がして」

「確かに、ただ旧知を連れて来たってだけではないだろうな」

「どうします?奴だけ晩餐に入れないという訳にもいかないでしょうし」

「遅かれ早かれその問題とやらは顕在化するだろう。ただ…」

 それが直接自分の耳に入るか否かは考えねばならない。

 婚姻の問題は桧釐が中に入ったから上手く行った。直接に聞いていたら、恐らく即座に断っていただろう。

 況してや今は療養の身だ。病身を悪化させるような案件は耳に入れるなと医師にも言われている。桧釐もそれを前提に日々の職務を持ってくる。

「矢張り、今晩はやめておきますか?」

「いや、華耶の望みは叶えたい」

 桧釐は甘苦い笑いを浮かべて己の額を叩いた。

「参りました。いやぁ、あの朴念仁の龍晶殿下が、陛下となってこうも変わられるとは」

「何を言っている。戯言は良いから仕事をしろ」

「照れちゃって。いや、良いんですよ。あなたは奥方に甘いが、そんなあなたに俺は甘くなっちまった」

「だから何を訳の分からん事を」

 桧釐を追い出して、一息つき、怠くて重くて仕方のない身体を横たえる。

 体内の鈍痛は常に付き纏い、時に身を切り裂いて心身を蝕んでいる。

 療養と言いながら、治るとは思っていない。

 ならばこのまま、肝心な事は何も出来ないまま、死にゆくのだろうか。

 そうなるとその後は?春音が次王となり、桧釐が実質的に政治を行うのだろう。それだけなら今と変わらない。

 なら、もう良いか。

 苦しい生に拘らなくとも。

 力を失っていく己の身体を感じながら目を閉じる。

 浮かぶのは、あいつの顔。

 早く戻って来い。お前が居ないと、俺は何も出来ない。


 晩餐は狙い通りに於兎が活躍してくれた。

 客人も隅に置く勢いで喋りまくり、政治的な話には触れさせないまま、華耶も楽しそうにしている。

 それで良い。厄介な話は聞きたくもなく、聞いた所で処理する体力が無い。何より華耶の顔を曇らせたくない。

 朔夜の言ではないが、華耶の手料理は抜群に美味かった。食欲も無く粥頼みの生活で、久しぶりに物を食べたらしい気になった。

「美味かった。ありがとう、華耶。俺は先に休むけど、どうかこの夜をゆっくり楽しんで」

 隣の妻に耳打ちして、龍晶は席を立った。

 華耶は頷いて、微笑んで夫を見送り、また於兎の話に耳を傾け笑いだした。

 桧釐を伴って会場を後にする。

「後で於兎に礼を伝えてくれ。良い仕事をしてくれた、と」

 人気(ひとけ)の無い廊下で桧釐に言うと、まんざらでも無さそうに彼は返した。

「そうでしょう?今日の役割を伝えたら、もう張り切っちゃって。あいつにうってつけの仕事でしたよ。流石は俺の奥方だ」

「似合いの夫婦だな、お前ら」

 全く謙遜の無い態度に笑ってしまう。

「それは陛下こそ。しかし、あのむっつり男は全く態度を崩しませんでしたな。華耶様もあれでは張り切った甲斐が無いでしょうに」

 燈陰は陰鬱な表情を崩さず、一言も喋らなかった。

 尤も、龍晶とて相手にしたい男ではないのでなるべく目を逸らしていた。お陰で挨拶一つせずに済んだ訳だが。

「別に良いんじゃないか?華耶はあの男がそういう人間だと分かってるんだから。再会出来ただけで嬉しいんだろう」

 そういうもんですか、と桧釐がぼやいた時。

 後ろの扉が開閉する音を聞き、二人は思わず足を止めた。

 追ってくる足音。最早何かを諦めて振り返る。

「やあ、良かった、間に合って」

 小走りに近寄ってくる、邪気の無い笑顔。

「私を避けようったって、そうは行きませんよ。陛下に会う為に、せっかく遠路遥々来たんですから」

「避けているつもりは無い。療養の身ゆえ誰とも会いたくないだけだ」

 苦い顔で言い返すと、皓照は意味が分かっているのかいないのか、あははと笑って言った。

「あれですね、朔夜君があれだから陛下も調子が出ないんでしょう。大丈夫ですよ、また切り刻まれるような事にはなりません。対処はしてあげましたから」

「おい、控えろ」

 桧釐が怒気を滲ませるのを、龍晶は片手で押さえた。

「良い、事実には違いないんだから。…対処って何だ。何をした」

 聞きたいのはその一点だが、そうしながら顔が青ざめていくのを感じた。

 この男が朔夜を止める、その方法はかつて見た。

 それであって欲しくは無かった。

「一人、頼りになる人物を送り込みました。あれと対等にやれる腕利きをね」

 悪魔と化した朔夜に刀で勝てる人間。

「居るのか、そんな奴が」

 実際に対峙した桧釐が信じられないとばかりに呟く。

「ええ、居ますよ。確かに現状は私と彼くらいのものでしょうけど」

 龍晶はくらくらとする視界を俯けて、肝心な問いを絞り出した。

「そいつには…殺せと言ったのか」

 こちらの気など知らず、明々とした答えが返ってくる。

「はい、場合によりけりですが。ですが、消せとは言っていません。殺しても、蘇生はさせるよう言いました。この後必要ですから」

「どういう事だ…!?」

 霞がかった頭では理解が追いつかない。だが、嫌な予感が強烈に脳裏で警鐘を鳴らす。

 必要、とは。

 また道具にするという事か。

「本題はここからです、陛下。私がわざわざここまで足を運んだ意味は」

 勿体ぶった切り出し方で間を取る。ここからは何としても理解しろとばかりに。

「待て、今陛下は…」

 桧釐がはたと我に返って止めようとした。が、龍晶はそれを目で制した。

 逃げられないと、悟った。

 ここで逃げたら、あいつは帰って来ない気がして。

「良いですか。私は今回、苴からの申し入れを伝えに来ました。公使には持って来られない、内密の取り引きです」

「苴…」

 今、最も緊迫した関係にある国が、何を。

「繍攻めについてです。貴国が未だに出兵をせぬ理由…否、出兵出来ない理由については苴王も理解を示しています。流石にまだ国力が不足であろう、と。ならば、将来必ず出兵するという担保が必要です。分かりますね?」

「出兵を待つ代わりに、何かを差し出せと…?」

「そういう事です。それがあれば、梁巴への立ち入りも認めるそうですよ。進軍拠点として活用するという目的であれば」

 眩む目を押さえ、足りぬ息で言うべき事を必死に探す。

 どう切り返せば良い?このままでは、望まぬ戦に突入してしまう。

 駄目だ。物事が考えられない。

 悪夢の中に居るようだ。このままでは恐ろしい事になると分かっているのに、何も出来ない。己の身すら動かす事が出来ない――

「それで…苴は何を担保にしろと?」

 桧釐が問う。咄嗟に龍晶は従兄の腕を掴んだ。

 自力で立っていられなかった。その問いの答えは、分かっていたから。

 問うてはならなかった。

「月夜の悪魔が欲しいそうですよ」

「駄目だ!」

 何かが自分の中で弾け飛んだ。気付けば、皓照の胸倉に掴みかかっていた。

「ふざけんな!またあいつを取引の道具にするだと!?正気で言ってんのか!?あいつは人だ!人なんだよ!お前の好きに使って良い道具じゃない!そんなもん、俺が許さない!戔は繍攻めには参加しない!朔夜もやらないからな…絶対に…!」

「陛下!龍晶様!」

 途中で桧釐に引き剥がされたが、従兄の腕の中で抵抗しつつ叫び、言うだけの事を言ったその時には既に力は残ってなかった。

 床に座り込み、吐き気を必死に堪えて。

 冷たいまでに落ち着いた声が、上から降ってきた。

「成程。陛下はご病気篤く、尋常な判断を仰ぐ事は出来ないという訳ですね」

 桧釐がそれに応えた。

「ああ、そうだ。だから、一旦この話は預かる。重臣らで協議の後、結論を出す…そう苴には伝えてくれ」

 お前まで何をふざけた事を、そう従兄に食ってかかる力が無い。

 歯痒く、頭上の会話を聞くしかなかった。

「そうしましょう。陛下がお倒れになっても、貴国にはまだ冷静な頭脳があるという事ですね。安心しました。戔にはまだ滅んで欲しくはないのでね」

「当たり前だ。やっと再起できたばかりの国を倒せる訳が無い。頼むから皓照、お前もその辺上手くやってくれ」

「ええ、ええ。ご心配無く。苴には良いように伝えておきますよ」

 では、と皓照は踵を返した。

「陛下、大丈夫ですか。立てますか?」

 伸ばされた手を、龍晶は叩いた。

 精一杯の抵抗。

「…誰でも良い、他の者を呼べ。お前の手なんか借りたくない」

 桧釐は暫しそこに佇んでいたが、すぐに諦めて従者を呼びに行った。

 床に蹲る。

 何も見えず、何も考えられない。

 何も信じられない。己さえも。

 朔夜を手離したくない。それは、我儘だろうか?



  挿絵(By みてみん)


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