表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うざとらまん・改 ~ ちっちゃな巨大ヒーローは怪物から地球を守りたい  作者: きたぼん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/35

23 カツ守る



「せんぱいっ! いま治しますからね! まってて。ぜったい絶対、助けてあげるから! 死んだりしたら承知しませんよ!」


 倭沢と雁刃先の鼻ずらをかすめて、巨大は者星に追いすがった。

 口元に頬を寄せて息を確めると、ほっと息をつく。おもむろに両手をパンと合わせて腕を広げると、者星の上におおきくかざす。

 

「巨大七光(ひかり)。どうして君が」

「ひとりきりで行動するからっスよ。街は危険がいっぱいなんスから!」


 死んだと決めてた倭沢の目が訝し気に細まる。

 かざした巨大の手から青白い光が、ちろちろと降り始めると、徐々に量を増して連る。やがて、粒だった光は、まばゆいほどの束となって、者星を包みこんでいく。


「な……」


 おのおの光束の端は、探るように、いたる部分をちょんちょんと、つついてまわった。傷ついたところに着くと、つつくのを止める。光を注ぎこんでは治していく。もっとも束が集まってるのは顔や頭。大きな花火セット全部に点火したように、明かりとなっていた。


「彼女がそうじゃない、平蔵ちゃん!」

「巨大七光! 君がガーディウスなのか?」


 一心不乱。釘付けナウの巨大は邪魔をするなとばかりに横目でにらみつけた。唯一の存在かのように者星の回復へ心をもどす。彼を傷つけたのが誰であるかは明白なのに、それですら眼中の外だ。


「せんぱい、治ってるよ! せんぱいっ!」


 お茶らけた台詞から余裕が消えていく、悲痛の声がそれだけ五月蠅く山間にこだましても、者星は動かない。狂乱を冷たくみつめる雁刃先が髪をかきあげた。


「ぜーんぜん聞こえないわねよ。もう、殺っちゃえば?」


 はぁと、長いため息が倭沢の口からもれた。見覚えのない術をつかう奴なら、先々邪魔になることもあり得る。断定していた者星は外れたが、あの橋のあたりにいた誰かがヤツなのだ。


「……可能性は高い。殺ればわかるか」


 目で捉えられない残像を残し、シュッと腕をふりまわす。遠心の反動で千切れかけてた手首が、今度こそ千切れてとんだ。後に、赤い血のついた白い骨がするりと、抜けて、代わりに濃緑色の何かが、解放されるように伸びだした。


 倭沢の身体の倍は長い代替腕は、細く軟らかな紐を数本だばねられていた。関節と呼べるものがない。紐よりも蔦といったほうが近い。腕にみえていたそれは忙しく形をかえる。絡まりを解いて傘の骨のようになったかと思えば、ふたたび強固にまとまり、次には、球体を形成したりする。蔦腕はまるで、繊維にそれぞれに意志が宿っているかのようだ。


「短い付き合いだったが。趣味のイケメン探しは、あの世とやらでするのだな」


 蔦腕はひとまとまりになると、先鞭を薄く尖らせた悪魔のしっぽ状に変化した。小さなテーブルほどの面積はある。叩かれれば、鉄板に押されたように身体はつぶされ、斬られれば、身体は真っ二つだ。


 倭沢は、見たくもない虫けらを踏みつぶすような気のない口ぶりで、鞭のようにしならせた蔦腕をふるった。 巨大の目はずっと、者星だけ。身に集めた光のチカラ全部を、止まず注ぎこむ。あきらめることを忘れたかのようだ。


 速さは音速を越える刃が、弧を描いて、巨大の背中へ迫る。雁刃先は笑いながら、きゃああっ死ぬぅと、しっかりと目を開いた。

 しかし、華奢な身体が引き裂かれる寸前、一瞬よりも早い何かが、刃の平たい部分を叩いた。横面を弾かれた凶器は軌道がずれて地面に衝突。束ねた蔦腕はアスファルトをパッカリ裂いて止った。


「なんだと!」

「ひかりぃ。着くなりそれってどうなんだ。場所をわきまえなよ」


 現れたのはKATUだった。


 西ICから、超急ぎの七光を追いかけやってきたKATUは、肩で息を整えると、とりあえず、疾走が終わったことに安堵した。者星にかまけて動かない七光にあきれた。

 遅れて到着してみればこれだ。知ってはいたが、死人とはいえ、他の男に抱きつく姿は見たくなかった。心臓が激しいのは急いだせいだけではない。


 10分足らずで到着できたのは奇跡だ。奇跡以外の言葉は受けつけない。何キロあるのか知らないが、テレビでみるマラソンや短距離選手よりは早い。たぶん自分も地球外生物。薬物を規制するドーピングには引っかからない。選手になればたぶん稼げるから牛乳飲み放題。問題は、大会に参加する方法がわからないこと。オーディションがあるのか。それに合格しアスリートになれば食いや喰わずから解放される。


 距離を調べるようか。一歩65センチで歩いて数えるのだ。

 けど。そのためにはまず、目の前の面倒ごとを終わらせる必要があった。人間にしては枝ぶりがよさげ。敵のようだけどそれは誰にとって。手をひいてくれるのが、一番助かる。


 倭沢は刃をひき戻そうとしたが、より早い動きで、KATUは大きい刃を踏みつける。期せずして次の一手を封じ、フリートの背広男とにらみあいになったが、これをどうすればいいか分からない。


「オレ、繊維の退散者なんだけど」

「それを言うなら”善意の第3者”よカツくん。あなたに会いに行こうとしてたの」

「仕事を頼みたいならオヤジを通してほしいけど。なに?」

「あなたが、ガーディウス?」


 ガーディウスは、そこで男を助けてるちっちゃい女性だ。七光をみながら、そう言おうと口をひらきかけて止める。この二人が者星をさらっていった理由を思い返した。本当のことを言ってはいけない。ここは自分が被っておく。それが役目らしい。


「うんそうだ」

「わかったわ、彼女なのね」

「……なんでバレた」

「あなた、目が正直なのよ」

「オヤジからも言われる、とっ?」


 踏みつけていた刃が、足元からするりと抜けていった。刃から、糸ほどの細い繊維へと形を変え、ばらばらにほどけたのだ。


 倭沢のもとに帰った蔦腕は、ふたたび大ぶりな刃になる。いっぽうの腕も形を変えた。人の肉を内から裂壊して、植物の茎が出現。二の腕部ふつうなのに対し、逆に先の尖った5指は異様に長い。ぐにゃぐにゃ物干しざおをくっつけたようだ、とKATUは思った。


「お姫様を殺すのは、騎士を倒してからのようだな」


 右から刃が、左からは5本の物干し竿が蛇のようにおそう。KATUは刃を蹴りながら跳びあがり、蛇を交わした。蛇は地面に突き刺さったが、刃は後ろにしなった反動で、上へ逃れたKATUを狙う。足は抱えた膝の、すぐ下、風を切って刃が通過していく。受ければ間違いなく足がなくなる。



したにある☆とか、ブクマをしてくれると、跳んで嬉しがります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ