表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うざとらまん・改 ~ ちっちゃな巨大ヒーローは怪物から地球を守りたい  作者: きたぼん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/35

17 事実上の敗退

ブックマーク、ありがとうごさいます!


 イソギンチャクが伸ばす半透明の触手は、ゾウの鼻のように自在だ。

 頭部から8本、胴体からは2本。ガーディウスの胴や首を締めあげていく。


 ガーディウスのエネルギーは陽光。体中についた泥がスクリーンのように働き、吸収できるエネルギーが低下。触手を振りほどくパワーが不足していた。意識が遠くなる。目に映る景色も、だんだんぼけてきた。


 巨大七光(ネフィリム)はこのとき、何を感じていただろう。

 答えは単純。触手が締めあげる不道徳な位置に怒っていたのだ。


 ―― どこを触っている ――


 これでも女性。人間の形態からかけ離れていても♀性別に変わらない。

 まとわりつき、まさぐるようにうごめく触手には、気色悪いヤらしさがあった。


 ふふぉぉぉぃぉ~


 イソギンチャクが唸りを発した。勝ちを確信した雄叫びなのか。空気の抜けた反響音が、市中全域にとどろく。首と太ももあたりに食い込んだ触手が激しく動いた。


 首だけでもほどかないと。きつく縛られた腕をわずかづつ動かし、一本の触手どうにか握ることができた。ちぎりとってやる! 引っ張った……が、力がはいらない。


 ぶふぉおぉおぉおぉ~


 ―― ぬめぬめ、ぬめぬめ……って、ヤらしい事、この上ない ――


 怒りと悔しさが湧き上がってくるが、身体が言うことをきかない。

 光をさえぎられてる現状。このままでは、エネルギーが底をついてしまう。


 もってあと数分。このままやられてしまうのか。

 固定された表情のない貌に、不安が浮かんだときだった。


 ピシャッ―ンン―ンー

 

 すこし拘束がゆるんだ。

 軽い衝撃とともに、光の束が触手を貫いたのだ。触手が数本焼かれ、切断にはいたらないが、片腕が自由になった。攻撃はフリートしかいない!


 ―― いまだ! 出し惜しみはしない! ライトフィールド ――


 巨大七光(ネフィリム)の柊が輝いた。

 右の、手から肘が、まばゆい光につつまれた。


 貯えた太陽からの恩恵をカラダの部分に集中させる。

 攻撃と防御の必殺技。光エネルギーの集束。

 ライト(七光)フィールドだ。


 エネルギーを大きく消耗するうえ、持続時間はほんの数秒。光の束なのに飛ばすことはできない。制約が多い必殺技は使いどころが難しかった。その代償なのか、非常識なまでに強力であった。


 一本、二本……巨大七光(ネフィリム)の輝光が、縛りつける触手を切断していく。時間わずか1秒。イソギンチャクは残った触手で攻撃するが、自由を取り戻した彼女は素早い。翻って身を低くかわしながら、斬り込こむ。


 右から一閃、返す腕で左から一閃。形成の不利を悟った敵がたまらず跳躍で逃げる。だが巨大七光(ネフィリム)は逃がさない。ぐっと膝をため込んで先を塞ぐように跳びあがった。宙から落ちるチカラで裟切り。腕は抜かずに、肘からひねりあげ、V字に斬り上げる。


 ライト(七光)フィールドの光は陽の光にまぎれて消えた。タイムアップ。


 ふぅ……ふぃ~ぉぉ……ぉふ~ぉ


 触手を失い身を斬られた怪物イソギンチャク。なおも反撃を試みる。

 恐ろしい生命力とみあげた執着心だが、数分前と較べて勢いはない。


 容赦なく蹴って転倒させる。


 起き上がろうを身体ねじるが、千切れた半身のダメージを増やすことになった。

 そこに再びフリートの光弾。とうとう敵は動きを止めた。


 卯川玄作と恵桐万丈が、ライフルを頭上に掲げてる。勝利のポーズだろうか。叫んでる言葉は聞き取れないが勝利宣言に違いなかった。そういうことにしておこう。


 辛い闘いだった。だが逆転できた。援護のおかげで敵を倒すことができた。

 巨大七光(ネフィリム)が親指を立てると、あたりから歓声があがった。





 腹に響くような風きり音が接近。みるまでもなく自衛隊の攻撃ヘリだ。数は、前より1機多い3機。ガーディウスから距離をとって、その周囲をゆっくり旋回していく。

 到着は遅かったが、敵を葬ったことへの礼。受け取っておこう。


 上空のヘリへ腕をあげた。たいしたことはしていない。謙遜ではなく事実だ。

 異敵を葬った感動を分かち合ったポーズは、回転する12ミリ機関砲に打ち砕かれた。

 近距離の砲弾が直撃。手のひらが吹き飛ばされた。


 ―― 攻撃だ。まただ。またしてもだ ――


 腹だたしいのではない。だた、哀しくて心が沈んでいくのだ。

 繋がった気でいるのは自分だけで。市民から受け入れらていなかった。


 3機のヘリは執拗に周回。攻撃のペースを緩めない。高度は前回より高い。等距離を保つ。素人でもわかる。かなりの訓練を積み重ねてきてる。大きな生物を想定した、反撃予測を組み込んだフォーメーションであった。


 だがまだ甘い。砲撃につきあってやる趣味はない。

 巨大七光(ネフィリム)は10メートルの巨体に似合わない速さで、ヘリの射線から逃れる。


 卯川がライフルを構えたのがみえた。アイツもかと訝ったが狙っているのは自分でなくヘリ。冗談だろう。人間のそれも同胞同士で。


 光弾が撃たれた。狙いは正確。ヘリは巨大(ターゲット)に夢中で回避しない。

 間違いなくあたるが、人が人を殺すのは視たくない。


 巨大七光(ネフィリム)が跳ぶ。ライト(七光)フィールドは連続できない。裸の腕で光弾を止めた。10発以上もの弾でダメージを積もらせた腕に、光弾が命中。トドメとなって、肘より下が切断された。


 ―― あうぅぅ ――


 四股の重さが変わったこと、なによりも傷みで、空中でのバランスを崩す。着地失敗で、背をしたたか打ちつけた。めまいがした。意識がふきととびそうになるのを、頭をふってこらえた。


 ―― いまは逃げる。だが覚えてろ ――


 力をふりしぼってのジャンプ。目くらましの光放射。そのさ中、車の影で無事なセンパイを確認。ずっと遠くに止った黒い車が目の端にとらえた。


 身体を急速に縮ませる。巨大七光(ひかり)へと戻ると、忌々しい橋から高速で走り去る。


 ガーディウスが敗れた。

 敗北の相手は人間。

 食物連鎖の頂点にたつ生物。

 この星でもっとも守りたい生物だ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ