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上杉壊滅

「へえ、あの二人を馬場が受け入れたと」

「はい、門の前で騒ぎ立て居るところに馬場が通りかかり」

「運があるのか不運か」

例の二人を見張らせていて動きがあったと百地が報告をしてきて直哉と美奈子と共に聞く、

「これで彼らの知識が受け入れられるとしたら」

「そうよ戦いの歴史の移行とか」

そう言われて確かにと思う部分もあるが、

「その知識を理解して行う力がないと、技術もすぐに出来るものも有るけど元になる技術が無いと」

「それはわかる。僕にも知識はあるけどそれを説明できる技術も無いし」

「本では言葉は知ってるけどその内容が伴わないもの、小十郎ってよく覚えてるよね」

「引きこもって小説書いたり、書くために色々調べたからね、小説って自分の持っているものでしかないから色々勉強したからね、でずっぱりだけど区民センターの図書館で本を借りてノートに書いたりがネタだから」

「それでこれからどうするの」

「武田を倒せれば、謙信は後回しにしたいな北条か西へと向かうかだね」

そんなことを話していると信濃境での小競り合いが大きくなるかもと言う知らせに、

「3千程の敵の援軍なら信玄は重病だけど万出てくれば軽いかな」

そう言いながら援軍の準備をさせ様子を見る。


「そう言えば進達の塩田も規模が大きくなったみたいだな」

吉田城の南の海沿いに進達が塩田を造り収穫をあげており、大きな現金収入になっている。

「おかげで味噌も醤油も梅干しもつくれて良いよね」

美奈子の言葉に男二人頷きながら直哉が、

「そう言えば江戸時代でも魚の塩焼きをおかずに登城した大名に皆が群がって分けてもらったって」

「そうだよ、元々800年前くらいに肉食べてはダメがでてそれ守ってて猪もヤマクジラって言って食べてたから、動物性タンパクを取らせてようやく尾張の人々も体つきが良くなったから」

「それって食べ物が足りなかった甲斐とか信濃はヤマクジラ名目で肉を食べてたから」

「そうだと思うよ、まあ襲って稼がなければならない気質もあるだろうけどね」


「それと蹄鉄についてもようやくらしいね」

「自分が気がつかないとか忘れてるとか知らないとかあるから助かるよ」

「最初は色々戸惑ったけど小十郎の行動にみんな触発されてるからね」

「そうそう、あんな臭いものの塊から火薬の原料になる硝石が取れるなんて、それも大規模に」

「あれは秘匿だけど、最初の頃からつくり初めて兄上が認めてあんなに大規模に、他の大名なら全然評価してくれなかったかな」

色々な技術革新を行っており進達は耐熱煉瓦の作成に忙しいようで試作をしては失敗している。

「でもひとつ言えることは、豊かな生活がないと色々な事ができないね」

直哉が言うのに頷きながら色々な事を思いだし知識と技術で何とかなるか色々と試し続けた。


「小十郎、煮えきらぬな」

兄上に岐阜へ呼ばれていきなり言われる。

「未だに2万近い兵ですから謙信の時のように手痛い被害を」

「これではどうだ」

そう言うと書簡があり木曽が織田に寝返ると書いてあり驚く、

「これならわしが岩村経由で飯田に、光秀に木曽経由、小十郎は駿府から甲斐に」

「問題ありませぬ、穴山の態度が煮えきらなかったので決断がつきませんでした」

こうして本来は嫡男信忠が攻めるはずだが元服前なので兄上自らが5万を、光秀は2万を私が4万を率いて武田攻略に向かうことになった。

「あと北条がどう動くか」

「かまわん、出てくるなら潰すのみ」

使者は何度かやり取りしていたがそれ以上はと言うことで気にせず浜松から出陣した。


「殿、北条が出てきた場合は」

「かまわぬ攻撃する」

攻めるだけなら2万もあれば事足りると思うが北条の備えのため連れており東へと出陣した。

「農兵は対北条用に富士川で押さえる」

先ずは駿府城だが石垣があるわけでもない今川館を広げただけで調べはすんでおり城には穴山が山県の後に入っていた。

「各門に鉄砲隊を、切れ目なく打ち込んで怯ませよ」

なめるわけではないが穴山であり自分が大事な武将が武将なのですぐに降伏の使者を送ってきた。


「命と甲斐の領地だけは」

「命は良いが領地は改め手渡す。今後の働き次第」

嫌いなこの男に使うだけ使ってと考えており信君は富士川の手前蒲原城を開城させ通り抜けさせる。

「あの裏切り者は殿はどうされるつもりですか」

「兄上に頼んで越前の北にと思っている。裏切るにしても一向衆に飲み込まれるだろうからな」

富士川を越えて北条との境である大宮にある城も信君が騙して開城させると忠次率いる1万5千をいれて備えさせた。


「さて兄上は飯田を突破し光秀も深志城まで達したかな」

ここまで順調すぎる戦いに信玄の体調は悪いのだろうと思いながら富士川を遡っていくと甲斐の下山城に到着し信君の館に入った。


「報告します。上様は飯田城を落とし高遠城を落としましたが」

歯切れの悪い言葉に促すと、

「明智勢は木曽を越え深志城に向かいましたが上杉勢が援軍に現れ塩尻まで退却をしました」

「謙信が現れたか」

信玄がまさか援軍を出すかもと思って兄上には伝えていたが現実になりすぐに動くことにした。

「慌てすぎじゃ」

「穴山の裏切りでここまでこれたのが幸いだからな」

そう言うと躑躅ヶ崎へと北上させていると釜無川と笛吹川の合流地点に武田勢が1万程陣をはっている。

「鷲尾、忠勝と慶次郎と共に騎兵で川向こうの峠を上がり東側にでよ」

5千を率いて東に川をわたりそこから正面の山の中腹を迂回していく、

「河原に位置ものように展開せよ」

正面最前列は鉄砲隊をそのすぐ後ろに防御の長槍を与力を両翼に広げて近づいた。


「敵は信玄だが弟の信廉だな」

積極性が見えず忍の動きも緩慢で馬場がついているが動きは今一つ、

「信玄なら合流地点ではなく下山城から抜けてくる我らの頭を押さえにかかったはずだ」

狭路で迎撃して地の利で西か東から伏兵を出してくるだろうが、負けられない戦いのために信廉はしょせん影武者以下の男であり川をはさんでこちらを待っていた。


「兼松、任せる」

鉄砲隊を率いて兼松が進み川の東の対岸に展開する。

「穴山に北側から回り込ませよ、半蔵と数正は富士川を渡り西の笛吹川に展開せよ」

川をはさんで動かない武田を半包囲し鷲尾の騎馬を待つ、

「陣に日をつけ釜無川沿いに北上中」

馬場が伏兵を察知したのか、西側から回り込もうとする信君を嫌ったのか柵に火をつけてこちらの進撃を阻む、

「半蔵に回り込ませよ、高木は信君の後詰せよ」

迂回の鷲尾の事を忘れて残った手駒で追撃を開始させる。


「あれは鷲尾殿の騎馬です」

大きく北に回り込んでいた鷲尾は一瞬で信君を踏み潰した馬場勢に横槍をいれ躑躅ヶ崎への退路を絶とうとし反対から高木が襲いかかる。

「さすがは美濃だな、崩れない」

挟み撃ちに会うがそれぞれに兵を当てながらしんがりを行っている馬場にため息をつき半蔵と数正が更に加わるが崩れず逃げる先はわかっていたので兵を引かせ進軍した。


「周囲の館を落とせ」

部下に命令して進むと躑躅ヶ崎を包囲した。

「攻めようと思えば何時でもだ包囲のまま待機」

兄上の到着を待つため躑躅ヶ崎の上にある要害山城を攻め落とさせたりして到着を待つ、

「しかし武田の本拠地がこんなにちゃちいだなんて」

直哉が言うと美奈子が、

「それは有名な人は石垣・人は城て言ってたでしょ」

「そっかでも勝頼って築城したよね」

そう聞かれたので、

「新府城、ひとつは商業的にここは街道から外れてるから守りやすい土地を甲斐と信濃を結ぶところに建てようとしたけど間に合わなかったから」

「そうなんだ、上様が来られたら攻城かな」

「もしかしたら降伏しろと言うかも」

「まさか、勝頼を滅ぼしたでしょ」

「あの時はね、今は信玄が動けないけど生きているからまさかさ」

そんなことを話ながら包囲していると兄上が到着した。


「小十郎待たせたな」

5万のうち4万を光秀の援軍として塩尻に向かわせており1万だけで合流してくる。

「謙信は義で動いたと、光秀では難しいかと」

「至急向かい謙信を任せる」

「北条は本宮城に忠次をいれており、大月方面には大久保等を1万笹子峠に陣取らせております」

残るは1万5千と兄上の1万を任せると慶次郎や忠勝そして左近等の旗本だけを引き連れて急ぎ北上して光秀に合流した。


「光秀、状況報告を」

「深志城に上杉が籠っており2万以上がおります」

「私が本隊で3万で進む、光秀は残りで周辺の城を落とせ」

赤木城や八間長者城や小屋城そして植原城があるが木曽や周辺の豪族が合流して3倍近い兵力がいるので深志城と林城迄を落としながら北上する。

「謙信は城内か」

百地に聞くと、

「籠っております」

そう言われ光秀にも急ぎ来るように言うとそのまま一気に深志城を包囲し林城の押さえに可成(森)に5千をつけて押さえさせた。


「謙信を包囲できた」

思わず喜ぶ私に皆も同意する。

「野戦で謙信に勝つには難しいが攻城では勝手はできぬ」

兄上に躑躅ヶ崎に残してきた鉄砲隊をまわしてほしいと言いながら2千の与力の鉄砲と兄上の3千の鉄砲隊を展開させるため城の前に柵をつくり騎馬が自由にできないようにして狙わせる。

「与力のは2匁かせいぜい3匁だからな」

「しかし石垣でもない、空堀をめぐらしてる城なんだな」

直哉が言うと美奈子から、

「松本城の天守の黒いのとか水堀と石垣は徳川時代でしょ」

そんなことを言いながら鉄砲の前に盾を並べて射撃を開始した。


「鉄砲に対応した城じゃないからどのくらい崩せるか」

そう言いながら兼松、元忠(鳥居)、正重(本多)、康政(榊原)に鉄砲を撃ち込ませ様子を見る。

「何時でも反撃してくるからな、気を抜くな」

そう言いながら夜は闇夜に紛れて炸裂弾を投げたり陶器の石油をなげ火を起こさせたりと負担をかけていると兄上が合流してきた。

「龍を篭にいれたか」

自分の配下の鉄砲を合わせて1万を越えており何度か朝方の反撃があり昼間は1500、夜間は1000の鉄砲隊が各門前で待ち構えており何度か撃退した。


兄上が来てから評定が開かれ躑躅ヶ崎の件について、

「武田は降伏した。信玄は最後の気力で出てきたので受け入れたわ」

誰もが武田家を滅ぼすと思っていたので驚き見る。

「諏訪四郎勝頼にお市を嫁がせ、産まれた子に武田を継がせる」

私は驚きながらも頷き、

「それは良いですが海津城の高坂が出陣して謙信を救いに来るようです」

「武田の降伏を伝えよ」

私は考え、

「高坂は謙信に援軍依頼をしたのでその責任を感じているのでしょう」

「そうか、馬場はおるか」

そう言うと不死身の馬場が厳しい顔で現れ高坂について言われ頷いて出ていくのを追った。


「美濃守、高坂のことわからぬでもないしその方の思いも、しかし武田のため無茶はするな命を捨てるなら武田のこと考えねばならぬ」

わざときつい言葉で言うと西へと馬を走らせていき、武田の降伏を各城に知らせ織田の兵をいれ豪族は深志城に集められ仕置きを行う、

「小十郎、その方に飛騨と信濃そしてかいと上野を任せる。上杉と北条を叩け」

そう言うと任せて1万だけ率いて岐阜へと戻っていった。


「一益には上野を任せる。箕輪城を引き継げ」

豪族を連れて向かわせる。

「忠次に甲斐を飯田と高遠に数正に与力で昌豊(内藤)が納めよ」武田の武将は与力で旗本の武将と組ませていく、自分は駿府城に本拠地を移して配下の武将にも移住を命じた。

勝頼は兄上と岐阜に向かい大和をおさめるように命じた。


「高坂が現れたか」

峠を越え3千程で現れ馬場が同数程で押さえ込んで話し合いを行っている。

「この間にきつい一撃を与えるぞ」

ここまで7日間、こちらは交替で昼夜関係なく攻撃を仕掛けており敵の反応は鈍くなり夜のうちに柵を更に前に持ってきて盾を並べて鉄砲を打ち込んでいると全ての門が開かれ一斉に騎馬で突撃してきた。


「構え、放て」

それぞれを指揮している部将達が命令し私の前では兼松が指揮をとっており早合での連射を2交替2千で行っており柵に近づけば長槍で押し返され突き崩される。

「野蛮だな倒れても倒れても涌き出てくる」

新しく設置した柵は放棄してもうひとつ後ろの柵に下がり戦い続けている。

西門に謙信自ら斬り込んでおり押し込まれつつあり、

「忠勝、慶次郎、左近援軍にむかえ」

これで押さえきれなければ突破されると思いながら兼松は上杉勢を押し返しており、

「半蔵に守綱、反撃せよ」

そう命令すると西側に移動して戦いを見続けた。

康政が必死に防いでおりその横を援軍の3人が兵を率いて横槍をいれ康政も長槍で柵の前にいる上杉勢を迎え撃っていた。


「高木、爆裂弾と炎壺を」

スリングでせまる上杉勢の後方が爆発し炎上して圧力が弱まり押し返す。

「前田慶次郎利益、良き部将とお見受けした、勝負」

また始まったかと呆れながら、

「柿崎景家まいる」

乱戦のなか一騎討ちが始まりそれを無視するように忠勝と左近がふたてに別れて上杉を叩く、

「南門突破しました」

半蔵と守綱が城内へ入り好機と見て全軍に総攻めを命令する。


「謙信は」

「戻ったようで姿が見えませぬ」

何としてもここで軍神をと思いながら戦っていると、

「北門崩壊、本多様討ち死に」

「本命はそっちか、忠勝と左近に追撃させよ」

焦るあまり動くのが早すぎたと思い自分も直属の鉄砲騎馬隊500を率いて北へと向かい北門にいた予備兵も合わせて2万の織田勢を相手に中央突破をはかっている。

「直哉、本多の代わりに鉄砲を再編しろ城を落とせ」

近くにいた手駒は直哉と美奈子だけだったので頼むと突破を図っている上杉勢の頭を押さえるのに回り込み突破する真横に位置する場所で下馬して鉄砲を構えた。


「狙うはその石周辺」

集中砲火を食らわせるため丁度あった名も無き石に向け構え突破を待つ、

「さすがに勢いが殺されてるけどあと少し」

美奈子だけが馬に乗り器用に馬の上に立ち上がって戦況を報告してくれる。

「先頭に白い頭巾、謙信」

そう言われて汗を手のひらに感じながらその時を待った。


雑兵が吹き飛びそこから騎馬が出てまっすぐ加速をする。

こちらには気がついておらず目標の石に差し掛かったので、

「はなて」

そう叫び白い目標に狙って引き金をしぼった。

「射撃を続けよ」

早合で再装填を行い皿に火薬を火縄を確認して突破してきた上杉勢の側面を打つ、謙信は食らったはずだが右に進路を変え馬を走らせそれに続く上杉勢に鉛を食らわせる。

「侍大将格を狙え」

上杉の将である甘粕や斎藤や北条等を一人でも減らしたいと思い狙い撃ちしていると追撃していた忠勝と左近が現れたので射撃を中止させ追撃を頼んだ。

「敵将柿崎を討ち取ったり」

慶次郎の叫びは上杉勢にとっては終わりを意味し織田にとっては勝利の雄叫びがおこり全体が声をあげながら残敵を掃討した。


「敵もですが味方も北門を攻めていた与力と豪族に死傷者が出たもよう」

北門には鉄砲が多いが二匁が多く配備されておりそこを謙信に気づかれたようで指揮をしていた正重や大久保などの武将が討ち死にしており謙信を逃したのがくやまれるが上杉の侍大将をかなり倒せたと言うことで高坂が謙信を吸収したのか峠に向け退却を始めていた。


「数正、正重の息子を成人するまで後見人を努めよ」

先ずは亡くなった者の対応を行い首実検を行う、

慶次郎は柿崎の首を、他にも斎藤や本庄や村上や小島そして小笠原と色部等、名だたる侍大将が討ち取られており謙信を逃したのを帳消しにできると思いながら武田の武将に周辺の制圧を馬場が深志城改め松本城城代として制圧を命じ高坂を追って6万の軍で追撃を行う、

「信綱来たか」

武田の降伏を聞いてようやく真田の嫡男である信綱が現れたので慶次郎の副官として北信濃への平定の複数の軍勢のひとつとして向かわせ海津城を放棄し越後に謙信と共に向かった高坂の後に焼失してしまったので再建も任せた。


「一部の軍勢越後に侵入しておりますが」

坂戸もだが主の失った北条城や枇杷島城等を降伏させ謙信が重傷と言うのが伝わってくる。

降伏した飯山城に入ると春日山で謙信がいよいよと言うらしく家督相続の争いが始まった。

「時期は早いが御館の乱か」

「何考えてるんだろう、直江兼続様もいるでしょう」

美奈子は直江がいいのかと言うことでで直江の事を力説するので、

「彼らはいまだに十代だし、景勝も直江も名乗ってない景虎は景勝の姉を娶って上杉を名乗ってるから景虎が本来継ぐのが正しいよ」

「でも正史は」

「美奈子に悪いけど120万石を侍の意地とか自分の義のために不幸にしたからあの二人は、判官贔屓も大概にしないと」

「と言うことはどうするの」

こちらをのぞきこむ、

「争ってる間に春日山以外丸坊寺にして首を跳ねたいけど」

そう言うとあわてて、

「駄目、それは駄目、それなら私に兼続様頂戴」

私は呆れながら、

「任せる側近でいいけど口出しさせるなら首跳ねるから」

そう言うと何度も感謝されてなんだかなと思いながら春日山には景勝そしてその南の鮫ヶ尾城には景虎が入っておりそれより北は織田がすべてを落としていると使者が来た。


「越後国主長尾景勝が配下、樋口兼続と申します。つきましては織田との同盟を結びたいと考えております」

美奈子が必死に顔が崩れそうになるのを崩せば切り捨てると言い聞かせているので我慢しており重臣が兼続を見つめている。

私は嫌いの一言で片付けられる若者を黙って見続ける。

「同盟を結ぶ事がかなえば北条との戦いに上杉の力をご助力します」

私を見る兼続が私は反応をしないのでしばらく見ており、

「それと軍資金として30万両を差し出しましょう」

金がほしければ頷くだろうが、

「別に金はいくらでも入る。北条との戦いも謙信殿がいればだが活躍できるとも思えんし春日山と越中、能登は反乱を起こされたようだしな」

「人は金では買えませぬ、上杉の将も」

「ほとんどは金がなければ動かぬ、生きていくためにな、従わぬなら上杉などいらぬ」

そう言うと私を睨み付け、

「決裂と言うことですか、上杉を消すと」

私は頷き、

「従わぬ者裏切り者は織田にはいらぬ上様に服従のみ、覆水盆に帰らず」

そう言って追い出すと進撃を開始した。

「兼続様絶対くださいね」

美奈子の必死に生きていればなそう言いながら先ずは鮫ヶ尾城に到着すると上杉景虎と高坂が出迎えた。


「上杉を継ぐのか」

そう景虎に聞くと高坂と部下を見て、

「彼らが支えてくれるなら」

上杉の家臣が頷き一礼をする。

「わかったが名前と関東管領として関東に北条から貰うように」

そう言うと家臣が騒ぐが景虎は同意した。

「高坂、今までのこと不問とする。我が配下に入れ」

「武田家を、ありがとうございます」

そう言って景虎をくれぐれもと言い配下に入った。

景虎の手勢をつれそのまま北上して左手に春日山城が見えてきて上杉の残党を包囲した。


「半数が離反か」

景勝は自分が上杉を統率するために締め付けをきつくしておりそれに反発した豪族が内応を言ってくる。

「こんなにひどいなんて」

美奈子が驚くので、

「御館の乱は景勝の野心丸出しでの締め付けが起こした無能の極みだからね」

「どれだけ嫌っているの小十郎は」

「名前のわりに大したことないし義のためと言いながら父親は戦国の先駆けの下克上で北条よりもたち悪いと思うよ、奴隷売買は常習だし」

「それ以上言わないで私の兼続様が」

そういっている間に4万の軍勢で周囲を登らせ攻撃を仕掛けると火が色々なところで上がり反乱が反乱を招き城内は収拾がつかない状態で織田勢が次々と曲輪を落とし本丸を残していたが気にせず攻めさせた。


美奈子に言われて捕らえるように言っていたので景勝と兼続そして側近が連れてこられる。

「反乱の頭目はお前か」

そう言うと寡黙な景勝は黙っている。

「上杉を与えられたのは景虎ではないか」

「それは同盟によって北条から人質で来ただけのこと」

兼続が言う、

「そうだが上杉の当主がその方の姉をめとらせて決めたこと、長尾の反乱の頭目ではない、織田から見てもそうでしかない」

そう言うと反乱を起こしたと言うことで景勝は景虎に切られ兼続は奴隷として美奈子に引き渡され他の武将は斬られ上杉家は名前のみが残った。


「信君(穴山)と信茂(小山田)、佐渡を攻め落とし自領とせよ、鉱山は私の直轄地とする。よいな」

5千程を船に乗せて送り込む、

「あれって失敗したら」

「終わり」

直哉に厳しいと言われようが裏切り者を生かしているだけで十分であり何かあれば潰すつもりでいる。

「それと馬場殿に聞いたがあの二人、取り調べにわけのわからない事を言い関東にある太田道灌の江戸城らしいことを言ってたので相模境で放逐したと」

そう言うと私は笑い直哉が聞くので、

「直哉の住んでいた村並の規模で何もない湿地だからね江戸は」

「そうなんだ、いちからつくったとは本で読んだことあるけど、それとあれ」

その指先には兼続の腕に手を絡ませて嬉しそうに歩いている美奈子がおり顔をひきつらせてこちらを見ている。

「美奈子の希望、美奈子は側近のままだけど兼続は美奈子の奴隷の身分、口出ししてきたり美奈子に余計なことを吹き込んだら死罪、美奈子も私達の秘密に関しては言わないって誓詞に書いてもらってる」

「直江兼続なら引く手あまたじゃ」

「直江は継いでないから樋口兼続だし人のこと言えないけど若いから知名度なし」

そう言うと納得して見送りながら、

「どんな罰ゲームだ」

そう呟いて仕事に戻った。

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