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魔法陣と転生と  作者: 昕箱
2/5

初めての発芽

「うおっ!」

何かが身体に衝撃を与えた。

それにより俺は目を覚ます。


身体は四肢の前に胴体や顔面がなく、身体は丸い光となっている。


「ふぇえ? ああお、起きたんか・・・ちょいまってや・・・」


そう言って長老的な人物は目を覚ます。

言葉遣いや恰好が完全に長老だが、見た目は20歳くらいの男で、髭を中国の武将なみに蓄えている。


部屋は何かに神殿のような場所で、薄暗く不気味な光が部屋の壁を隠している。


「んん・・・第1段階は終わったんじゃな・・・どれどれ・・・」


そうして長老的なやつは手をかざし、そのてから黄色の光を出す。


長老的なやつはすぐすると驚いて言う。


「ほう、超発芽・・・面白い加護じゃ・・・」

「面白い加護? 」


俺はすかさず聞き返す。

すると長老的なやつは言う。


「んっとな、ここに来るとき第4類加護ってガイドさんに言われたじゃろ? 第4類加護っちゅーのはその個体しか保有を確認できてないとか、そもそも本当にそれが存在するかが分からないとかが分類される。まあ、つまりイレギュラーってことじゃな。だいたい第4類は飛ばして第3類の次は第5類を言うことが多い」


「転移する時って俺が感じたみたいなあれになんないの?」


俺は思ったことをそのまま聞く。


「うぇっうぇっうぇ・・・」


「は? 」


笑い方特殊すぎんか?


「いやいや、だいたいわしの所にくる奴らはだいたい怖気付いちゃてな・・・新鮮なんじゃよ・・・あとそれについてもわしから言うべきことがある」


俺は長老的なやつに言われるであろう衝撃の事実に耳を傾ける。

内容によっては俺の運命が決まるかもしれない。

注意して聞くべきだ。


「あのな、お前魔法陣描いたじゃろ? その魔法陣のクオリティが高すぎてなんか勝手にこっちの世界に読んじゃったんじゃよ・・・それで元の身体が死んでないから分解して魔力を取り込む必要があったんじゃ。ああやって特殊な加護を受けて転移するのはかなり珍しいの。あと・・・」


話長いなーこのじっちゃん。

さっき運命が決められるとか思ったけどなんか長くてもう飽きてきた。

元の身体だったら足やら胴体やらを搔いているだろうが、今の俺にはそれがない。


長老的なやつは俺が退屈していることに気づいて、慌てて言う。


「ちょ、ちょい飽きないでや・・・あのな、聞いてや? 大事なこと言うぞ? 」

「ほいほい」

「あんたさんが描いた魔導陣がなんか魔力を発していたんじゃよ」

「!?」


あのボールペンで描いたあれがか・・・。

いや、でも今思い返せばワンチャンあれ怪しげな光を・・・出てないな!


「だからじゃな、その出ちゃった魔力をあんたさんに押し込むのにそれを加護に変換しないと行けないのじゃ」

「俺が決めていいの?」

「せやで」


まじか、これはあたりかもしれない。

まず、超発芽。

第4類ということは結構強めの加護なのかもしれない。

これは加護によっては良い異世界生活を送れるかもしれない。


なんだろうな・・・。


「自分の魔力を自由に使いこなすとか? 」


俺の提案に長老的なやつは目を輝かせる。


「ほう、世界初の加護か! わしはもう何年も新しい加護を作っておらん。腕がなるのう! 新しい加護について、作る依頼を出したおまえさんが名前を決めていいぞい」

「じゃなんだろう・・・カッコイイ名前がいいよな・・・」


魔法制御・・・。

いや、制御するのは魔力か。

じゃあ魔力制御?


でもなんか制御って言葉ありふれてそうだしな・・・。


「作り終わったぞ。あとはおまえさんが名前を決めれば完成じゃ」

「決めたよ」


制御はダサい。

そして魔力。

それらを合わせて。


「『魔力統括』とかどうかな? 」

その俺の言葉に長老的なやつは再び目を輝かかせる。


「ほう、かっちょええのう! 『魔力統括』とな・・・ よし、それで世界に公布しておこう! 見た目は老いぼれじゃが、力ではまだおけておらんぞ! 」


充分若そうというツッコミは蛇足だろうし、やめておこう。


「よし、では完了じゃ。あとはおまえさんが好きなタイミングで転移できるぞい」

「じゃあ今お願い」


即答だ。

早く新天地をこの足で踏んでみたい。

長老的なやつは話すのが好きなのだろうが、俺は早く異世界へ行きたい。


「ちょ、ちょい待たんか・・・ 他になにか聞きたいことはないかの? 」

「ないって」


長老的なやつは酷く落胆する。


「わかったぞい・・・ じゃあいくぞ」


一瞬で意識が飛ぶ。


声を出す隙もなく。


ただひとつ。


長老的なジジイはいいやがった。


「あ、ミスった・・・ 」


と。


あのじっちゃん許さねえ。


━━━━━━━━━━━━━━━


「ーーーー! 」


目が覚めた。


大きな草原。


花は咲き乱れ、小鳥は鳴き、穏やかな川のせせらぎが聞こえてくる。


そんな光景が俺を迎え入れる。


素晴らしい気分だ。

ただひとつ文句をつけられるとしたら。


「え・・・ 根っこ? 」


根が生えていて動けないのだ。


そして、驚愕。


「声高くね・・・? てか声可愛いな・・・」


そう。

声が、可愛い、のだ。


あまりの驚愕にいつもより沢山言葉を区切ってしまった。


おそらくこの子は体育会系美少女だな。


「ん? 」


美少女・・・だと?


まさかだとは思うが。


俺は自分の身体を見る。


完全には見切れないが見切れないが。


今の俺には息子が無い。


身体は元の身体よりかなり小さくなっている。


服装は長老的なジジイと同じような危うい服1枚のみ。


風が吹くと服は風を身体に容易く通してしまう。


「どうなってんだ・・・ん?」


俺は俺の近くに手紙があることに気づいた。

その手紙は紙が折りたたんでいるだけで簡単にできており、大きな文字で「ソウメンシオンくんへ」と書いてある。


書いたのはあのジジイだ。

間違いない。


「ふざけんなよあいつ・・・ 読むか」

そう言って俺はせっかくだからの声を堪能すべく音読をすることにした。


「拝啓ソウメンシオンへ。

シオンくん、わしは間違っちゃって君を間違った情報で転移させてしまったよ。てか、人間じゃないから転移じゃなくて転生かな? うぇっうぇっうぇっうぇっうぇっ。

いやいや、そんなことは気にしていないのであろう。この手紙で伝えたい事は2つじゃ。

ひとつは、君ももう知っているように、てか冒頭にも書いた通り、性別を間違えて女性っぽい体しちゃったこと。これについて、どっちかって言うと幼女っぽいし、君が思うようにいやーんな身体には成長しないから、そのつもりでな。

あと、君は死華種言うのじゃが、その身体は人間の生殖器のようなものを必要としないので、まあっどんまいじゃな。

ふたつめは、君の身体に霊神種を滅ぼした伝説の、母聖種であるリナリアを封印しちゃったことじゃな。

まあ、すまんすまん。

これについては許してくれ。

ああ、あと異世界の文字や単位についてじゃが、第2類加護、『完全認識』が勝手につくようになってるから、あんしてええぞい。

楽しい異世界ライフをおくれよ。」


なんてこった、パンナコッタ。

こいつ手紙の長くなるのか。

しかも「うぇっうぇっうぇっうぇっうぇっ」だ。

てか霊神種を滅ぼしたって・・・やばくないか?

乗っ取られたりしないか今から不安だ。


こんな状況で俺はちゃんと生活できるのだろうか。


これが杞憂であることを祈ろう。

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