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第95話『難解な謎』

 『指切りげんまん』までしてしっかり約束を交わし、私は身を起こす。

そして、次の目的地を全体的に伝えてから移動を開始した。

すっかり暗くなってしまった宙を一瞥し、私はゲーム内ディスプレイを呼び出す。

とりあえず、アスタルテさんにリアムさん発見の報告をしようと思って。

このままでは、ずっと無駄に働かせる羽目になるから。


 えーっと……リアムさん、無事に発見しました。捜索はもう大丈夫です。ご協力感謝します、っと。


 簡潔且つ丁寧に状況を伝え、私はフレンドチャットを閉じようとする。

────が、早くも既読がついたため手を止めた。


────────────────────

アスタルテ:了解なのです〜


アスタルテ:無事に見つかって、良かったなのです


アスタルテ:ウチのギルドメンバーの話によると、彼を捕獲しようと追い掛けている最中でいきなり姿が消えたみたいで


アスタルテ:システムバグか何かで死んだんじゃないかって、みんな心配していたのですよ〜


アスタルテ:だから、無事に見つかって本当に良かったなのです♪

────────────────────


 リアムさんを追い掛けていた見知らぬプレイヤー達って、『プタハのアトリエ』のメンバーだったのか。

なら、良かった。


 てっきり問題行動を起こして追い掛けられていたのかと思っていた私は、ホッと息を吐き出す。


 それにしても、『追い掛けている最中でいきなり姿が消えた』って、どういうことだろう?

物陰に隠れたのかな?それとも、転移?

いや、それくらい『プタハのアトリエ』も考えついた筈。

それで、調べても何も出なかったからバグや死亡を疑ったんだ。

となると、残る可能性は────


「あの、徳正さん」


「ん?なに〜?」


「つかぬ事をお聞きしますが、徳正さんはリアムさんを捕獲する際、猛スピードで攫うように回収しましたか?」


「ん〜?まあ、そうだね〜。リアムくんを探してるとき、結構スピードを出していたからさ〜。せっかくの勢いを殺すのも勿体ないし、首根っこ掴んで連れ去ったよ〜」


 やっぱり、そういう事か。

“影の疾走者”たる徳正さんが走りながらリアムさんを回収したなら、忽然と姿が消えたように見えてもおかしくない。

非戦闘要員の動体視力を考えると、余計に。


「教えていただき、ありがとうございます。おかげで謎が解けました」


「よく分かんないけど、力になれたなら良かったよ〜」


 ヘラリと笑って視線を前に戻す徳正さんに、私は一つ頷く。

そして、ゲーム内ディスプレイに向き直ると、アスタルテへメッセージを送った。


 一応、事情は説明しておかないとね。

せっかく協力してくれたのに、情報共有を怠るのはいけない。


 『アスタルテさんとは良好な関係を築くって、決めたんだから』と思いつつ、指先を動かした。

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