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第71話『クソ雑魚バーサーカー姫』

 『嫌だ』『反対だ』と文句を並べる三人を軽く睨んで黙らせ、私はレオンさんをチームへと引き入れた。

そして、直ぐに出発の準備を整えると、音速に近いスピードで移動する。

まあ、私は相変わらず徳正さんの腕に抱かれているだけだが。


 そういえば、レオンさんは大丈夫だろうか?ちゃんと付いてきてるかな?


 最後尾を走ることになったレオンさんの状況が気になり、私は徳正さんの肩からひょこっと顔を出した。

すると、まず最初に私達の真後ろを走るシムナさんが目に入る。

余裕そうな表情でついてくる彼を一瞥し、私は奥の方へ視線を向けた。

────が、ラルカさんはおろかレオンさんの姿も見当たらない。

『あれ?どこに行った?』と疑問に思っていると、シムナさんが顔を上げた。


「あれー?ラミエル、どうしたのー?後ろを振り返るなんて、珍しいじゃーん」


「えっと、レオンさんがちゃんと付いてきているか気になりまして……それで今、彼はどこに?あと、ラルカさんの姿もないようですが」


「んー?あの勘違い男とラルカなら、多分もうすぐ追い付くと思うよー」


「勘違い男……」


 まさかのネーミングセンスに、私は思わず復唱してしまう。

が、シムナさんは特に気にするでもなく言葉を続ける。


「実はさっき、勘違い男が盛大に転けちゃってさー。このスピードだからか、足に怪我を負っちゃったんだよねー。それで、ラルカが救助に向かったんだよー。まあ、あの程度の怪我ならポーションで治るんじゃなーい?」


「な、なるほど……」


 私は盛大に転けたと言うレオンさんのことを心配しながら、後方をじっと見つめる。

すると、遠くの方から物凄いスピードでこちらに近づいてくる何かが見えた。


 多分、あれはラルカさん達かな?このスピードに追い付ける人なんて、早々居ないし……って、ん!?


 瞬きの間にどんどん距離が縮まり、近づいてくるラルカさん達を前に、私は目を見開いた。

だって、ラルカさんがレオンさんを────お姫様抱っこしていたから。

しかも、ご丁寧に膝掛けまで掛けてある。クマ柄の……。


「し、シムナさん後ろ……」


「んー?なになにー……ぶっは!なにあれ!?あははははっ!」


 あっという間に追いついた二人を見て、シムナさんは例の如く大爆笑した。

『ひぃひぃ』言いながら腹を抱える彼の前で、レオンさんはどこか複雑そうな表情を浮かべる。

自分のミスが招いた結果とはいえ、このような扱いを受けるのは不服なのだろう。

『今すぐ、降りたい……』と言わんばかりの表情だが、助走なしでこのスピードに順応出来るほどの脚力はない。

だから、大人しくラルカさんの腕に収まっているのだ。


「ぶははははっ!もう一生そのままで、良いんじゃなーい?クソ雑魚狂戦士(バーサーカー)姫〜」


「……俺は姫じゃない……」


「いやいや、お姫様抱っこされてる時点で姫でしょー!ていうか、『クソ雑魚狂戦士(バーサーカー)』は否定しないんだー?ぶははっ!」


『こんなゴツい姫は嫌だ。ラミエルくらい、華奢で可愛げのある姫を所望する』


「ラミエルは僕のだから、ダメー」


「いや、ラーちゃんは俺っちのだから〜」


「ねぇー、いきなり話に入って来ないでよー!翁ー!」


「俺っちには、『徳正』って言う格好いい名前があるんだけどな〜」


「へぇー!そーなんだー!」


「まさかの聞く気0〜!?」


 『何で〜!?』と絶叫し、徳正さんは肩を落とす。

『まだまだ若いのに……』と嘆く彼を他所に、私は前へ視線を戻した。

と同時に、息を呑む。


「こ、れは……」


 街中で巨大ゴーレムと戦うプレイヤー達を発見し、私は血の気が引く。

だって、街から少し離れたところに居る私達のところまで衝撃波が届くほどの激しい戦闘を繰り広げているから。

おまけに全員満身創痍で、大量の血を流していた。

プレイヤー側の劣勢を悟りながら、私は声を張り上げる。


「急いでください!このままだと、あのパーティーは────全滅(・・)してしまいます!」

『不定期更新』と言っていながら、全く更新出来なくてもう訳ありません。思ったより忙しくて執筆する時間がありませんでした。

今週からは普通に更新出来ると思います。今後ともよろしくお願いします。

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