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第164話『イーストダンジョン攻略当日』

 ────それから、あっという間に月日は流れ……ついにイーストダンジョン攻略当日となった。

早朝からダンジョン前に集まった我々は、未知への挑戦に思いを馳せる。

この日のために積み重ねた訓練と知識を胸に抱きながら。


「三百六、三百七……イーストダンジョン攻略参加メンバー、全員揃いました」


「おっ?もうか。予定していた集合時間より、早く集まったなぁ。ほんじゃ、まあ……少し早いけど始めよか」


 そう言うと、ファルコさんは一歩前に出る。

たったそれだけで、ざわついていたこの場の雰囲気が一気に引き締まった。


 やはり、この人のカリスマ性と圧倒的存在感は侮れない。


「皆、おはようさん。今日もええ天気やね。イーストダンジョン攻略当日には持ってこいの日や。さて、余談はここら辺にして本題に移ろうか。ワイから、お前さんらに言いたいことはただ一つ────死ぬな。ただ、それだけや」


 『皆で生きて帰ろう』と力強く主張するファルコさんに、私達は大きく頷く。

思いは皆同じだから。

『死にたくないし、誰も死なせたくない』と願う中、アヤさんが一歩前へ出た。


「それでは、続いて私の方から幾つか注意事項を述べさせて頂きます」


 そう前置きしてから、手に持った分厚い資料をペラリと捲る。


「まず、隊列についてです。隊列は先頭から、防御班、治療班、サポート班です。戦闘班はその隊列を外側から囲う形で列を作ってもらいます。次に、ボス戦について。これは選抜メンバーのみで挑みます。理由は言わずとも分かると思いますが、数だけ多くてもフロアボスには敵わないからです。また選抜メンバーがフロアボスに敗れた場合は即時撤退をお願いします」


 いつになく、真剣な表情を浮かべるアヤさんに、私は『うんうん』と大きく頷く。

何故なら……フロアボス用の選抜メンバーで敵わないなら、誰も敵わないからだ。


 たって、各班の班長+ヴィエラさんとシムナさんだよ?

これで無理なら、もう諦めるしかないでしょ。


「では、最後の注意事項です────どうか、“助け合い”の精神をどうか忘れないでください。私からは以上です」


 そう言って、アヤさんは優雅にお辞儀し、後ろへ一歩下がる。

そして、次は─────アスタルテさんが一歩前へ出た。


「サポート班班長のアスタルテなのです〜。強化合宿にあまり顔を出せなくて、ごめんなさいなのです。特に注意事項などはありませんが、アイテムが不足した時は遠慮なく言ってほしいのです〜。あっ!でも、アイテムを全く使ってないのにクレクレするのはダメなのですよ〜?そこは厳しく罰するので、気をつけてほしいのです。私からは以上なのです〜」


 『んふふ』と笑って後ろに下がるアスタルテさんに、私は苦笑を漏らす。

『相変わらず、圧が凄いなぁ』と肩を竦めながら、一歩前に出た。


「治療班班長のラミエルです。私から皆さんにお伝えすることは一つ。我々治療班の治療についてです。治療は無限に出来るものではありません。必ず、限界があります。なので、我々治療班は使うべき時に治癒魔法を使います。その使うべき時はプレイヤーによって異なりますが、なるべく治療班の判断に従ってください。『今すぐ治療してくれないと死ぬ!』ってくらい辛いのに、治療してくれない場合は抗議して頂いて構いませんが、掠り傷一つで騒ぐような真似はしないでいただけると助かります」


 無駄にMPを消費したくない旨を述べ、私は胸元に手を添えてお辞儀した。

と同時に、後ろへ下がる。

すると、再びファルコさんが前に出た。


 今、各班班長の挨拶と注意事項の説明は終わった。残るはあと一つ……。


「ほな、ダンジョン突入する前に隊列組むで〜。さっき、アヤが説明した通りに並ぶんや。戦闘班は他の班が隊列組み終わるまでちょっと待っててや」


「まずは防御班の皆さん、前に来てください」


「サポートが班は一旦、後ろの方まで下がってほしいのです〜」


「治療班は防御班から三十メートルほど距離を取って、先に並んでいてください。防御班の整列を待って、後ろにくっつく形で合流します」


 それぞれ指示を出す私達に、班員達は『はい』と言って従う。

強化合宿で親睦を深めたおかげか、整列はスムーズで直ぐに終わった。

と同時に、私達はイーストダンジョンの入り口へ足を向ける。


 さあ────イーストダンジョン攻略開始だ。

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