第161話『宴会』
「ほな、結果報告会はここまでや。もう夕方やし、気をつけて帰るんやで」
お開きを宣言するファルコさんに促され、私達はそれぞれ帰路に着いた。
そして旅館に着くなり、適性テストを無事突破したお祝いとして、居間で宴会を開いている。
まあ、お祝いなんて名ばかりでただどんちゃん騒ぎしたいだけだが……。
ヴィエラさん達の実力なら、合格して当然だからね。
「えー?僕らが居ない間に、そんなことがあったのー?そいつ、馬鹿すぎなーい!?」
「テスト監督であるラミエルちゃんに頼まれた訳でもないのに、勝手にテストを始めるだなんて……常識じゃ、考えられないわね」
『ラミエルが予定時刻より大幅に遅れてしまったとかなら、まだ分かるがな』
「いやいや、たとえそうでも勝手にテストを始めるのは有り得ないでしょ~」
「ミラという奴は同盟会議でも、カインと一緒に色々やらかしてたな」
ミラさんのお馬鹿すぎる行動を酒のつまみに、彼らはワイワイと騒ぐ。
「そ、そそそそそそ、それにしても!そのミラさんって方はいつから、『サムヒーロー』に所属していたんですかね!?」
「そういえば、『サムヒーロー』に新メンバーが加わったなんて話聞いたことないねー」
「言われてみれば、そうですね」
『時たま掲示板をチェックしているが……そういった情報は一切見掛けてないな』
私達は互いに顔を見合せ、『どういう事だ?』と首を傾げる。
が────情報通の忍びだけは不敵な笑みを浮かべて、日本酒を煽っていた。
「俺っち調べによると、そのミラって女が『サムヒーロー』のメンバーになったのは最近の話らしいよ~ん。ほら、カインくんの今の状況って最悪でしょ~?FROに閉じ込められた上、俺っち達の鉄壁の守りでラーちゃんを取り返すことも出来ないんだから~。だ、か、ら~!カインくんはそのミラって子を、ラーちゃんの代わりにしたみた~い」
「ラミエルちゃんの代わりって……」
「さすがに無理があるでしょー。ラミエルは職業別ランキング一位の回復師で、あの女はランキングにも乗れない低レベルの神官。実力差ありすぎー!」
『でも、あの女くらいしかパーティーに引き込める奴が居なかったんだろ。パーティーを選り好み出来るほどの実力者は、引く手あまただろうからな。わざわざ、居心地の悪いところに所属するとは思えない』
「となると、ラーちゃんが戻ってきたらあの子はお払い箱かもね~。カインくんにとっては、あくまで繋ぎみたいなものだろうから~」
人を物としか思っていないカインの醜悪さに、徳正さんは『うげぇ~』と顔を顰める。
他のメンバーも、不快感を露わにしていた。




