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第157話『お手伝い』

「大変お騒がせしました。今から、治療班の適性テストを行います」


 ────という宣言の元、私はまずテスト方法の説明を行い、早速実行に移す。


「実践型と表示型、どちらにしますか?」


「あっ、じゃあ表示型でお願いします。私のプレイヤー名は……」


 治療班希望者からプレイヤー名とIDを聞き、私はゲーム内ディスプレイを駆使して相手のプロフィール画面に飛ぶ。

そこで公開されたステータスを確認し、治癒魔法の類いがあれば合格。

ぶっちゃけこれが一番手っ取り早い方法だが、ステータス情報は現実世界(リアル)で言う個人情報に当たるため、公開している人は少ない。

なので、表示型を選ぶ者は比較的少なかった。


 この人は合格かな。


 と思いつつ、彼女のプレイヤー名とIDを電子メモに書き込む。


「確認作業が終わりました。貴方を治療班のメンバーとして、正式に採用します」


「あ、ありがとうございます!」


 ペコペコと何度も頭を下げ、感謝の意を表す彼女は『それでは』と言い残して、そうそうに立ち去った。

と同時に、次の希望者が前に出てくる。


「実践型と表示型、どちらを希望なさいますか?」


「実践型でお願いしますわ」


「分かりました。では、私の手を握って『ヒール』と唱えてください」


 握手を求めるように手を差し出せば、フリルたっぷりのドレスに身を包む女性はやんわりソレを握った。


 実践型はテスト監督である私に、治癒魔法を掛けてもらうというもの。

無傷のままでも直接治癒魔法を掛けてもらえれば、本当に治癒魔法を使えるプレイヤーなのかどうかは分かる。

実践型の残念なところは相手の魔力(MP)量を把握出来ないことだけど、初心者や低レベルプレイヤーが紛れ込んでいる可能性は低いので、敢えてスルーした。


「行きますわ……《ヒール》」


 その呪文を合図に、私の体は光の粒子に包まれる。

が、無傷のため直ぐに消えた。


 魔法発動に成功、詠唱に問題なし、魔力の流れも正常……うん、合格かな。


 お嬢様キャラを貫く女性プレイヤーから手を離し、私はニッコリと笑う。


「おめでとうございます。合格です。貴方を治療班のメンバーとして、正式に採用します。最後に、プレイヤー名とIDを教えてください」


 彼女のプレイヤー名とIDを控え、私はチラリと列に目を向ける。


 まだまだ先は長そう……私一人じゃ、ちょっと捌き切れないかもしれないなぁ。

でも、出会ったばかりの人にテスト監督を任せるのは不安なんだよね……。

勝手に合格基準を変えられたり、不正行為に手を染められたりしたら大変だもの。


 『やっぱり、地道にやって行くしかないか』と項垂れていると────突然、空から人が降ってくる。


「やっほー!ラミエルー!手伝いに来たよー!」


「私達は無事合格したから、遠慮せず使って」


 ふわりと地上に降り立ったシムナさんとヴィエラさんに、私はパッと表情を明るくした。

『ナイスタイミング!』と心の中で叫びながら。


「お二人とも、テストお疲れ様です。そして、合格おめでとうございます。早速で申し訳ないのですが、手伝いをお願いしますね」

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