第152話『朝の報告会議』
アラクネさんの隣を陣取る彼を見つめ、私は苦笑いする。
『もう一緒に居ても、全然違和感ないよ』と考える中、リーダーは報告会議を始めた。
まず『箱庭』のメールの真偽について説明し、イーストダンジョン攻略の話に移る。
「まず、全体の指揮を取るのはファルコだ。あいつが一番、経験豊富だからな。次にイーストダンジョン攻略に参加するメンバーは四つの班に分かれることになる。戦闘班、防御班、サポート班、治療班。戦闘班の班長は総司令官のファルコが兼任して行う。次に、防御班の班長は『紅蓮の夜叉』の幹部であるアヤ。サポート班の班長は『プタハのアトリエ』のギルドマスターである、アスタルテ。最後に、治療班の班長は『虐殺の紅月』のパーティーメンバーであるラミエルが行う」
「「「!?」」」
突然挙がった私の名前に、徳正さん達は目を剥く。
まさか、ウチのパーティーから班長を選出されるとは思わなかったらしい。
「ラーちゃんが治療班の班長、ねぇ~」
「別にそれ自体は構わないけど、ラミエルを危険な場所へ向かわせるのは、はんたーい!」
『まさかとは思うが、ウチから出るメンバーはラミエルだけじゃないよな?』
「一旦落ち着け。それもちゃんと説明する」
リーダーは『どうどう』と暴れ馬を宥めるように、三馬鹿を静かにさせる。
すると、彼らは渋々ながらも口を噤んだ。
「役職を授かったラミエルの参戦は決定事項だが、お前達にも参加する権利くらいはある。でも、残念なことに参加人数には制限があるんだ。全員を連れて行ける訳じゃない」
イーストダンジョン攻略に全戦力を投入する訳には、いかないからね。
万が一に備えて、ある程度戦力を残さないと。
またゴーレム討伐イベントのような非常事態が、起きないとも限らないし。
「戦闘班・防御班の参加人数はウチのパーティーの規模だと、それぞれ一人まで。サポート班・治療班の参加人数は制限なし。ただし、それぞれの班に相応しい実力と能力を持っていること。だから、ラミエル以外は軽い試験を受けてもらうことになる。よって、不正は出来ない。分かったな?」
「「『……』」」
わざとらしく視線を逸らす三馬鹿に対し、リーダーは『はぁ……』と溜め息を零した。




