第151話『寝起き』
私らしくないことをしてしまった……しっかりしなきゃ。
皆のイメージする、高宮静香にならないと。また失望されてしまう……。
私は自分の居場所を守るために本当の自分を押し込めるの……。
────と、ここでフッと意識が浮上する。
胸に残るドロリとした感情と夢で見た現実世界の自分に吐き気を覚えながら、ゆっくりと身を起こした。
あれ?私……リーダーと一緒に移動していた筈じゃ……。
何で布団?
それにここって……リユニオンタウンにある旅館だよね?
上手く現状を呑み込めない私は、何の気なしに部屋をぐるっと見回す。
と同時に、ある人物を発見した。
「え……ええっ!?何で徳正さんがここに!?」
壁に寄りかかった状態で目を閉じる黒衣の忍びに、私は思わず大声を出す。
すると、彼はうっすらと目を開けた。
「ん……ん?ラーちゃん、もう起きたの~?」
「え?あっ、はい」
「ん。おはよ~」
「お、おはようございます……」
『んー!』と大きく伸びをする徳正さんに、私は一瞬目が点になる。
何故こんなに落ち着いているのか?と戸惑ってしまって。
「あ、あの……つかぬ事をお聞きしますが、何故私と徳正さんが同じ部屋に……?」
「ん?覚えてない~?」
「え、覚えてないって何がですか……?」
ま、まさか……昨日の夜、徳正さんと一線を超えたとか!?でも、体に異常はないし……!
それにいくら徳正さんでも、寝惚けた女を襲うほど飢えていないだろう……多分!
移動中に寝落ちしたところから記憶のない私は、困惑気味にセレンディバイトの瞳を見つめ返す。
不安のあまり表情を強ばらせる私の前で、徳正さんは小さく笑った。
「ま、覚えてないならそれでもいいよ~。大したことじゃないし~。でも、これだけは言っておくね~?ラーちゃんと俺っちの間に、やましいことは何もなかったよ~。ただ同じ部屋で寝ただけ~」
『俺っち的には一線を超えても良かったけど~』と冗談交じりに言い、出口へ足を向ける。
「とりあえず、居間に行こ~?主君が同盟会議で決まったことについて話し合いたいんだって~。多分、もう皆集まってるから~」
気配探知でパーティーメンバーの居場所を探ったらしい徳正さんはそう言って、私の手を引いた。
そして、さっさと居間に降りると────そこには、もう『虐殺の紅月』のパーティーメンバーと田中さんの姿が……。
田中さんってば、すっかりウチに馴染んでいるな。




