1.なぜかゲットした転送魔法
初投稿です。
拙い文章ですが、一応流行りぽいことを含みつつも
読むのが面白くなるような文法を使っております。
ぜひ評価、感想のほどよろしくお願い致します。
ここはある世界線
勤勉の神ヨーハネスと怠惰の神ベルーフェスが作った世界
-そこのとある星
ヨーハネスが作った人々に切磋琢磨を教える為に作った魔物や魔宮があり、
ベルーフェスが作った人々に酔生夢死を教える為に作った魔法や魔石がある星
--にある国
ザパングと呼ばれ、海に囲まれつつも様々な種類の土地があり王制を敷いている国
---にある都市
ナーガサと呼ばれ、山の魔宮が点在しており湾港が発達しているナーガス子爵領の都市
----にある学園
ナーガス子爵立ナーガサ魔法学園と呼ばれ、16歳から18歳までが通い魔法について学ぶ学園
-----にある寮の一室に彼は居た。
「やばい」
机に向かって必死にレポートをまとめている彼はクーガと呼ばれる、齢18歳。
一般教養は主席の彼であったが、唯一の欠点があった。
『極度の魔法習得さぼり』
この世界は魔法の習得をする為に長時間の反復実習が必要なのだが、彼は学園で行われる実習をことごとくさぼっていたのである。
そんな彼が今行っているのは入学から現在までさぼりまくった各種実習の反省文と魔法習得法を連休を使ってまとめていたのである。
「灯火の魔法は火打石を用いて焚火を100回連続でともすこと。と」
次のページを書き始めたところで書き損じてしまった。
くしゃくしゃと書き損じたページを丸めると振り向くこともなく部屋の反対側にあるゴミ箱に投げ入れた。
「灯火の魔法を習得した者が図1の図形を燃焼したいものに記載して、魔力を通すことで発動する。と」
灯火の魔法についてのレポートをまとめ終わって、次の魔法についてのレポートに手をつけ始めた。
この学園では習得魔法が100個あり、その全てについて同様のレポートをまとめないといけないのである。
彼の夜は始まったばかりである。
何日の夜が過ぎただろうか(体感の話で、実際はまだ数時間である)。
彼の机にはまとめられた各種のレポートが積みあがっており、それに比例するようにゴミ箱には書き損じのページが大量に投げ入れられていた。
いくつのレポートを仕上げていったか数えていないが8割り程終わり、次のレポートをしかかろうとしたところで眠気が襲ってきた。
頭ががくんと倒れこみ握っていたペンで白紙のページにぐにゃぐにゃの線が書かれてしまった。
「はぁっ。もぉ寝よう」
手元にあったページを丸めてゴミ箱に投げ入れる。
『ぽすん』
投げ入れたページがゴミ箱に入ったが、クーガは確認することなくベッドに向かっていく。
うとうとと眠りの波に意識を預けようとしていると頭に声が響く。
【転送魔法を習得しました】
響いた声よりも眠気が勝ってしまい眠りについてしまった。
どれくらい寝ただろうか、窓から日が差し込んできた。
寝足りないのは分かっているが、クーガは頭を振って無理やり身体を起こす。
「うー。眠たい」
まだ残っているレポートを片付けるために机に向かおうとしたが、覚めない頭では作業も出来ないので顔を洗いに共同洗面所に向かった。
休日のお昼前のせいか誰も居ない。
顔を洗ったところで腹の虫が鳴き始めた。
食堂につくとちらほらと同じように食事をとりにきた学生達がいた。
カウンターに並んで寮母に食事の用意をお願いする。
「寮母さん。B定食をお願い」
プレートに盛り付けられた食事を受け取ったクーガは手頃な席に座ろうとしていると、声をかけてくる人物がいた。
「クーガ。こっちで一緒に食おうぜ」
声をかけてきたのは同じ組のバアクである。
まだ席についたばかりなのか食事には手をついていなかった。
クーガはバアクに向き合う形で腰をおろした。
「おはよ。とりあえずそれなりの数のレポートは仕上げた」
「さすが主席様は筆記が早いようで」
実習を首席で修めているバアクが言うと皮肉がとても聞いている。
それでもクーガは気にしない。
それは今回のレポート作成にあたりクーガはバアクの資料を全て借りているから。 但し、前回はバアクが一般教養の試験勉強する為にクーガの資料を全て貸したので持ちつ持たれつなのである。
食事を進めながらレポートの進捗を話していると、
ふと、深夜寝る際に頭に響いた声について思い出した。
「そういえばバアクに聞きたいんだけど、昨日寝る際になんか聞こえたんだよな。なんとかの魔法を習得しましたって」
「なんとかってなんだよ。まぁその聞こえた声ってのは神様の声だな。魔法を習得すると聞こえてくるて習ったろ」
クーガはまだ1つも魔法を習得していない為、授業で習ったことはあるが実際に神の声を聞くのは初めてであった。
そうするとクーガには疑問があがる。
「昨日やっていたレポート作成で魔法を習得するようなことがあったのか?」
「そうかもしれんな。複写魔法のように書き写す行為自体が魔法の習得方法だったりするからな」
初めて魔法を習得したからといってクーガは感傷に浸る暇がない、自室にはまだたくさんのレポートが残っているのだから。
食事を終わらせるとバアクは寮から出かけていった。
クーガは自室に戻ると机に積まれた資料を見て溜息をついた。
「はぁ。これを片付けてから習得した魔法について確認するか」
机に着くと黙々と積まれ資料を確認しながらレポートを仕上げていく。
日が沈む頃には机の上には100個のレポートが出来上がっていた。
「終わった・・・」
積まれたレポートに自分のがんばりを褒めたいと思いつつ、強張った背中をほぐすように背もたれに身体を預ける。
ヨシッと
一声出して立ち上がるとゴミ箱に溜まっているゴミを共同集積所まで持っていき、 部屋に散らばった資料をまとめて粗方片付けると食堂に夕食を取りに行く。
夕食時の為、食堂には学生がごった返していた。
バアクと又会えると思ったが人が多く、見つからなかったのでクーガは手早く食事を終わらせて自室に戻った。
「とりあえずこの資料をバアクに返しにいくか」
食堂で見つけたら一声かけて資料を返しにいく予定だったが、直接バアクの部屋に向かうことにした。
ドンドン
「バアクいるか?資料返しに来たんだけど」
「おうよ。開いてるぞ」
部屋に入ると寝転がっているバアクがいた。
「借りてた資料どこにおく?」
「あー、机に載せといてくれ。あとで片付ける」
書庫室から借りてきたであろう書籍を読みながらバアクはクーガに問いかける。
「結局昼間いっていた習得した魔法はなんだったんだ?」
すっかり忘れていたクーガは
「そういえば確認するの忘れてたわ」
「そっか。ならついでだからここで確認していけ」
バアクは書籍を枕元に奥とベッドに腰掛けて、クーガに書棚にある魔法確認書を取るように言う。
「そこの書棚に確認書があるから使っていいぞ」
クーガは魔法確認書を取ると羊皮紙の裏面に使用方法が書かれている。実習をほぼさぼっていたクーガは一応使用方法を確認しながら作業を行う。
「まずは、、、紙の表面に名前を書く。そしたら、、、紙の両端をつまんで。最後に、、、頭に当てて魔力を流すと」
クーガの流した魔力に反応するように確認書の表面に文字が浮かび上がってくる。
【クーガ・ナッセン 習得魔法 転送魔法】
そこには今回書いたレポートにはなかった魔法名が書かれていた。
「バアクはこの転送魔法って知ってるか?」
「いや、初めて聞いたな。もしかしたら珍しい魔法なのかもしれないな、そしたら大発見だぞ」
興奮気味のバアクはこの魔法について詳しく調べようとしていた。
「とりあえず書庫室にいって、過去の文献を調べるぞ。もしそこに取得方法なんかの記載がなかったら、それを論文にまとめれば男爵も夢じゃないぞ」
「男爵はとても魅力的だな。とりあえず書庫室にいくか」
二人は急いで書庫室に向かい魔法名が書かれた書籍を片っ端から確認していく。
書庫室の右側から読み込んでいるクーガは
「こっちには無いな」
左側から読み込んでいるバアクはある書籍をとっていた。
「ここに転送魔法の記述があるぞ」
バアクが持っていた書籍をクーガも覗き込む。
『転送魔法 図式12を転送元と転送先に記載する。転送元の図式上に転送物を置いて魔力を通す。転送物が転送先の図式下に転送される
習得方法については賢者秘匿とする』
二人で顔を見合わせる。
【賢者秘匿 過去に存在した賢者が取得方法を秘匿と規定し、取得者も取得方法を公表してはならない】
「賢者秘匿ってことは男爵にはなれないな」
残念そうなバアクにクーガは何かを考えていた。
「逆に言うと俺が持っている転送魔法は現状使えるのは俺だけということだな」
「そうだな。どう生かせばいいかわからないが、クーガが独占的に使えるといって過言ではないな」
これ以上の発見はないと考え、二人は書庫室をあとにした。