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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

臓物屋

作者: のてお

ホルモン専門店、臟物屋。サビれた雑居ビルの地下一階に店を構える。

1日に受ける客は一人のみ。カウンターに椅子が一つ、それに人が横たわれるくらいの大きなテーブルがまた一つ。


「いらっしゃい。」

「これを見てくれ。」

今にも死にそうな顔で入ってきた男。

この店にはそんな客が毎日来る。

客の手紙を受け取り、目を通してメニューを差し出す。


ハツ       10000

レバー      5000

背肝       2000

皮        800


本日の目玉    4000


トマトジュース  300


「背肝でお願いします。」

店主が無言で頷く。

「で、どうした。」


私、高卒で就職したんですよ。

それで入ったところがものすごいブラックだったんです。

保険の勧誘の下請けだったんですけど、給料が手取り10万で休みは月1、朝6時から夜は終電まで、

経費はろくに出してもらえなくて殆ど自腹、熱があっても保険証とか持ってなかったから何にも出来なかったし、もう死にそうなぐらい働いてました。でも世の中そんなものだと思ってたんです。それだけ働いてたのに、うちの会社潰れたんです。また就活かと思ってた矢先、銀行から、まあサラ金から電話があったんです。2000万払えと。

私は何が何だかわかんなかったんですけど、倒産の三日前に私が社長に変えられてたそうなんです。私そんなの知らなかったのに家の前とかを怖い人たちが毎日やって来て、脅すからもう泣き寝入りするしかなかったんです。

で、毎日コンビニでバイトしてちょっとずつ返したんですよ。そしたらある日突然全部一括で返せって言ってきたんですよ。理由聞いても答えてくれないし、そんな返す当てがないっていったらこの店教えられたんです。


「いいのか、背肝。」

「はい。これをすればもう自由なんだから。」

「次は出来ないぞ。」

「わかってます。」

「じゃあ、これを。」

店主がコップを差し出す。

カウンターを出た店主は店のシャッターを下ろして寝ている客を机にうつ伏せにした。


ふと目を覚ますと店主が目の前に座っていた。

「約束の2000万だ。」

店主が渡す。

「あれ、私のは?」

「あそこだ。」

クール便の箱がそこにあった。

「ありがとうございます。」

客は帰って行った。

そしてまた、臓器売買店、臓物屋に新たな客が訪れる。


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