エピローグ
自作の創作ファンタジーです。
文や構成はかなり下手ですが、もし宜しければ読んで頂けると幸いです。
浅い眠りの意識の中、夢を見ていた。
夜の森 雲に覆われた夜空
木々の間からオレンジ色の揺らめく灯りが見え、それが炎だと分かる。
俺はあまりの事態に、状況が理解できなかった。
木造の家屋が炎を巻き上げ、渦を巻く。
紛れもない、燃えているのは彼の村。
立ち込める煙の匂いに混ざる濃密な死臭と血の香り。
断末魔や悲鳴が響き渡り、周囲では逃げ遅れた人や家畜が焼かれていた…。
一体何が…何があったと言うのか?
彼は必死に走り、シーナのすがたを、探す。
まだ延焼を免れていた小屋の陰にシーナは居た。
「シーナ!!良かった無事で。」
「お兄ちゃん? どうしてすぐ助けにきてくれなかったの?」
「違う、違うんだ、シーナ。」
「もう、おそいよ」
シーナの華奢な体が次第に歪み始める。
歪んでいくシーナは俺の背後を指さす。
その指し示す方を振り返り俺は言葉を失った…何かいる…煙の中に。
獅子の様な顔をした巨大な魔獣が。
そいつは巨大な口を開けた、そこには醜悪で鋭い牙が何百と生えている。
俺の目の前に食いちぎられた人間の腕がぼとりと落ちる。そいつの咆哮で、空気が振動する。
その腕が付けている物に見覚えがあった…妹に去年プレゼントしてあげた赤い宝石の付いたブレスレットだった。
嘘だ…嘘だ…
この世のものとは思えない絶叫で現実へ引き戻された
ーゲイルは飛び起きると傍らの剣の柄をつかみ取った。
「ウヮァァァァー!!」
周囲を見回し、次第にそれがあの日の消し去れない情景が悪夢として出てきただけだと理解できた。
「…畜生、またあの夢か…。」
剣の柄を握る力を緩める。
大量の汗が額を滴り落ち。荒い息遣いで心臓が激しく鼓動し上下に体が揺れる。
彼の脳裏に深く焼き付けられた忌まわしい情景が、ここ最近毎日の様に夢に出てくる。
ヘルメリア平原に吹く朝の心地よい冷気のおかげでようやく落ち着いた。
撥ねのけた毛布を小さく畳み、重い腰を上げる。
伸び放題の白髪を、革紐でまとめ、後ろでしばる。
傍に置いていた水筒の水を飲み、ふと空を見ると段々と明るくなってきた。
もう少し日が昇ったらヘンデールに向かおう。
ゲイル・グリッド (二十六)。
おもに各街にあるギルドで便利屋みたいな事をして生計を立てている。
怪物退治から護衛、傭兵みたいな事もたまにやる。
ヘンデールはここから数キロ先にある騎士団領の街。
頼まれていた、霊薬の材料〈食屍鬼の牙〉と〈ブラッドリリー〉をヘンデールにいる知り合いの調合師に届けた後、長旅の食糧に加え消耗品の購入。
少し金も稼いでおきたい。
街のギルドにいけばいくらでも俺向きの〈仕事〉があるだろう。
焚き火はすっかり消えてしまっていたので、昨日拾っておいた残りの薪で火を起こす。
暖をとりながら、雑嚢からパンと干し肉を取り出し簡単に朝食を摂った。
堅い干し肉を噛み、パサパサのパンを口に頬ばる。こうして味気ない食事をしていると、どうしても兵役時代のことを思い出してしまう。
ゲイルは三年間だけだが王立の歩兵部隊に属していたことがあり、各地を転戦していた。
何とか生き延び、故郷の村へと帰郷したが…怪物に襲われ跡形もなかった。
暫く火に当たっていると、山々の間から平原に朝陽が差し込む。
ゲイルは火が燃え尽きたことを確認すると、荷物をまとめた。雑嚢を背負い野営地をあとにし、ヘンデールを目指す。
街へ戻るのは一週間ぶりだ。
行く当てもないゲイルはギルドの仕事を請負いながら各地を転々としている。
眼前に広大な自然が広がる。
王都領ヘルメリア平原。
平原は、なだらかな平地が何処までも続き、至るところに草花が青々と生い茂る。川や森、壮大な山々が遠くに見え、遮るものが何もない平原には雲ひとつない青空が広がり穏やかな風が吹いている。
そんな美しい自然が広がる平原だが、放棄された古城や砦が数多く点在し、盗賊やならず者は好んでそう行った場所を拠点とする。
盗賊の類いならまだしも、ホブゴブリンや重武装のリザードマン等怪物連中に住まわれると、元が城塞だけに非常に厄介だ。
平原を抜けやがて、道は草地から踏み固められた街道にでる。
轍がそこら中に残る街道には、ちらほらと商人らしき一行や旅人の姿が見える。




