▼ ドラコス が 仲間 に なった!
今回はちょっと会話が多いです。
「なん、で…」
俺の言葉に絶句しているドラコス。何で驚いているのかが不思議で不思議で仕方なかった。何で俺が了承するのだと思っていたのだろうか。俺にはそれが不思議だよ、その自信がどっから出てきたのか知りたいくらいだね。ドラコスに冷たい視線を向けながら俺は答える。
「何を勘違いしているのかは知らないが、俺は受けるとは一言も言っていない。勘違いすんな、これは”お願い”でも”交渉”でもなく、”命令”だ。俺はお前に戻ってこいって言ってんだ。お前以外の奴に興味は微塵もないし、条件を呑んでまで俺はお前を部下にしたいわけじゃない。そもそも、それ以外にここから強行突破でお前を連れ去るのだって可能だ。…よぉく覚えておけ、俺とお前は対等じゃない。、あくまでも優位なのは俺だ。お前だって俺との実力の差が分からないわけじゃないだろ?」
俺はドラコスを見据えながら魔力を開放する。抑えられていたものが一気に飛び出したかのように周囲には濃くて有害な魔素が浮かぶ。ドラコスにとっては有害すぎるとも言える濃密な魔素だ。これで自分と俺との差がどれだけあるか思い知らされている事だろうよ。ドラコスは目を見開いて苦しそうにしている。それでいて俺からは目が離せないとでもいうかのようにしている。口からは血が滴り落ちているし、顔色も悪い。
「…もう一度聞こう、鬼人の長ドラコス。仲間になれ。賢明なお前なら、もうわかるだろ?」
俺がそう脅迫まがいにそう言えば、ドラコスは悔しそうにしつつも、俺に跪き、頭を垂れた。
…ただ仲間にしても意味はねぇんだよなぁ…。さっき言ってた人間の奴らの事も気になるな…。ソフィアと話すか、どうせもう勘づいてるんだろうけど。ソフィアに目線だけ向ければ頷かれた。ほんと怖いよな俺の従者。物わかり良すぎ…。
「…俺の忠誠を、貴方に全て捧げます。だから…どうか…!!俺の仲間を、救ってください…!!」
心からの言葉。わかりやすい位に不満が見え見えだ。でも、俺にしか縋れる相手がいないってのも理解してるみてーだな…。なら俺としちゃ構わねえし、コイツに恩を売っとくのもいいな。ソフィアは何も言わない。…つまり、俺の意見に賛成なんだろう。なら俺の好きにさせてもらうか。俺はドラコスが座っていた椅子に腰かけて、足を組み、上から見下すようにドラコスに告げた。
「いいだろう、お前の願いを聞き入れてやる。鬼人ドラコス、貴様は今日から俺の僕だ。その代わり、貴様の願いはサヴィルシェーンヌイ・ミールィ・イスキローテリの名にかけて叶えよう。」
俺のその言葉を聞いて、ドラコスは弾かれたように顔を上げてこっちを見てる。その目は驚きで見開かれている。…なんだよその目!俺が約束を守らない男だと思ってたのかよ!?…いや、今は女だから…違うのか?いやそんなのどうでもいいか。兎に角その目はウザい。思わず舌打ちをするとドラコスが慌てたように説明を始める。
「いや、アンタっていつも明確には答えない人だし…約束を真に受けるなんて馬鹿のする事でしょーって言う人だったから、つい…」
そこまで言いかけて、ドラコスは押し黙る。何故かと言えば、ソフィアが強烈な殺気とともに首元に刃物みてーな、ビームサーベルみてーなのを当ててたからだな。…そういや、ミールィを狂信的に崇めてたし…ミールィ狂信者なんだろうな…。怖い怖い。
「…ミールィ様を悪く言う事はこの私が許しません。次、同じ事を言ってみなさい。…その首、飛ぶわよ。」
うわぁ…ドラコス、顔面蒼白になって頷いてんな…かわいそ…。え?助けてやらないのか?んなのめんどいからパスに決まってんだろうが。俺が他人に手を貸すとか思うなよな。ははっ、俺は腐っても他力本願だからな!
「そ、ソフィア、そんなつもりじゃなくてだな?あの人は我が道を行くって人だったよなって思って…」
「言い訳なんて聞きたくないわ。聞き苦しい。それ以上何か言うと…本気であなたの首を飛ばすわよ?」
「言い訳!?んなわけなっ…くもないのでそれしまってくれ!!」
見てて飽きないな。ていうか…ソフィア、あれ若干楽しんでね?気のせいか?いやでも…ミールィが見間違えるはずねェし。どっちでもいいか、とりあえずいい加減やめさせよ。
「ソフィア、それぐらいにしとけ。俺が怒るぞ。」
「…ですが…!…いえ、何でもございません。」
明らかに不満そうだったが、俺が威圧してやめさせた。ソフィアも聞き訳はいいけど…ミールィ愛が重すぎるんだよな。狂信してるのは怖すぎな。ソフィアは俺の後ろに控えさせておいた。ソフィアは俺を敬愛してるわけじゃないからなー、表面では取り繕ってても内心ではどう思ってるかわからないからなぁ…反乱には注意だな。ま、俺には勝てないだろうけどな。つーか勝たせねぇけど。ドラコスは完全に腰を抜かしてるなぁ。
「おい、平気かよ?そんなんで腰抜かしてたらこの先身が持たねぇんじゃねーの?」
「…そ、そう、ですね…は、ははは…」
もはや呆然としてたな。大丈夫かよコイツ。いや、手遅れになったんならいっそこの手で…
「変な事思うな!!」
「どいつもこいつも俺の心を読みやがって!!この世界は読心術が主流なのかァ!?」
「はぁ、んで。あの人間達は次いつ来るかわかるのか?」
「一応目星はつけてある。ただ、多少の差はあるかもしれないがな…。それ以前に、此処には来ないかもしれない可能性だってあるわけだからな。」
「いえ、来ないことは無いでしょう。」
そうやってソフィアが断言する。何故そう言い切れるのかは俺にはわからないが、とりあえず嘘は言ってなさそうだし、聞くだけ聞いてみる方がいいのか。
「根拠はございませんが、推測によれば此処に来る確率は80%を超えています。」
「…話してみろ。」
「御意に御座います。…その人間達はおそらくですが魔素に魅了されているのでしょう。魔素に魅了された人間は正気を失い、所謂発狂状態となります。魔素による圧倒的な魔の力に溺れて、気の済むまで破壊し続けるという何とも面倒くさい状態になるのです。魔素に魅了された人間は魔素なしでは生きていけません。」
ええと、つまりは…魔素に魅了された奴は人間じゃなくなるのか?魔物と同じ扱いか?そうじゃないのか。…いろんな疑問は出てくるが、それを抑えて要点のみを洗い出す。
「つまり、魔素なしでは生きてけねぇから、此処に来るって事か?」
「そういう事になります。」
「…そうか、どうりであんなに様子が可笑しかったのか!狂気と魔素の影響であんな事になってたんだな…」
彼奴らは此処を低回している。ならいつ此処に来ても不思議じゃない。備えあればなんちゃららとも言うしちゃちゃっと準備するか。必要な物なんてねぇけど。戦闘するためには俺も調整しねーとだしなぁ。
「ミールィ様、対策は如何なさいますか?」
「あ?決まってんだろ?
俺がぶっ飛ばす。それでいい。」
ド「ソフィア怖い…」
黒「右に同じく」
ソ「…私が怖い?御冗談を。」
ド「ひぇっ、な、何でもありません…」
黒「左に同じく」
ド「…って、ミールィ様何も聞いてませんよね!?」
黒「真ん中に同じく」
ド「何ですか真ん中に同じくって!」
ソ「ああそんなミールィ様も可愛らしいです…」
ド「もうヤダこの空間」