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主人公はゲスの極みである

今回はいつもののほほんとした感じはないです。

ちょっと流血表現があります。ですがさほどグロくないです。

主人公の黒須が悪役っぽくなっていたりキャラがブレブレだったりします。ご注意を。

魔素の森についたので探索している。なんとも形容しがたいな、何か如何にも出てきますーって感じがする。でもこの魔素の空気は好きだ。やっぱり魔族だからか?。魔素っていいもんだなぁ…。

「いけません黒須様。魔素の森の空気に魅入られてしまいます。」

「うぉ!?…急に心を読むなソフィア。で、何で魅入られるといけないんだ?」

「魔素というものは一般的に魔力の効率を上げるためにとてもいいものだと言われています。ですが、それは表向きの話です。魔素は濃ければ濃い程、人間には毒になります。魔族が好む魔素の濃さは人間が一瞬で死ぬくらいです。魔族は魔素を好み、純粋な空気を嫌います。しかし、その逆もまた然り。魔素が体質的に受け入れられない魔族や、魔素に適合している人間も存在します。極稀ですけれども。…ミールィ様は耐性がございますが、中身は黒須様、つまり人間です。魂が別物だと体もそれに伴い変化していくものです。ですから、今の黒須様は少しでも気を抜けば魔素に魅入られて壊れかねません。」

長々とソフィアが説明してくれたが要するに、今の俺じゃ耐えきれないからあまり気を抜くなと言いたいのだろう。俺はその気遣いは嬉しかったが、その反面なんだか腹立たしかった。

「へぇ、そうなのか。」

「ですから黒須様、あまり魅入られないようにお願いしま…」

「でもよぉ、ミールィにできて俺にできないなんて…誰が決めつけたんだ?」

「……はい?」

俺にはわかる。この体はミールィのものではあるが、俺が制御できないわけじゃない。流石に役立たず(神様)もその辺は考えてくれてるみたいだな。ミールィの魔力を思うがままに操れるし、耐性だってついてるんだから、俺にできねぇはずがねぇだろ?寧ろできなかったら腹立つな。

「見てろソフィア。…『我が魔力に順応せよ、我の体に耐性を授けよ。何にも負けぬ、最強の耐性を』!」

≪スキル:各種耐性EX(テレイオーシス)を獲得しました。≫

「お、できたできた。これでいいだろ、ソフィア!」

「…データベースから今の事例を検索…。結果、該当する物はなし。一般人でこの事例を起こせる確率…ほぼ0%。…黒須様、規格外すぎます。」

「は?できりゃなんだっていいだろ?」

俺はソフィアとの会話を打ち切ってズンズン歩いていく。ソフィアが呆れていたような、よくわからない表情をしていたが俺には何の関係もない。つか興味ない。規格外?褒め言葉だよありがとう!もうそう言われんのは慣れてんだよ。どうでもいいし、興味ない。
































そう思いながら歩く事、体感数時間。

「止まれ!!」

そう殺気と共に声がかかる。何だ、盗賊か?と思って神眼(カミノメ)を起動させる。隠蔽とかはぬかりなくやってるから心配ご無用だ。すると、鬼が見えた。魔法道具(マジックアイテム)とはまた違う、何やら武器のようなものを持っている奴もいれば、魔法をしかけようとしている奴もいる。俺を相手にいい度胸じゃねぇか。殺気を、敵意を向けたってことは自分がやられてもなんも言えねぇってことだよな?そう思って戦闘態勢に入ろうとしたが、ソフィアに止められた。

「いけません、此処は相手の用件を聞くものです、黒須様。」

「あぁ?何でだよ、問答無用で殺せばいいだろ。」

「それでもかまわないのですが、まだ魔力にムラがあるように思えます。その状態ではドラコスまで殺しかねません。あと、雑用を任せる手下はいくらいても困らないでしょう。」

「…まぁ、そういうなら仕方ねぇけどよ。じゃあ、裏切ったら?」

「問答無用で処します。拷問の実験にしても良いでしょう。黒須様がいたぶってもかまいませんよ。」

「うっしゃ、なら俺に異論はねぇ。…おい!!俺達に何の用だ、鬼!」

俺が鬼だと発言した瞬間、相手にざわつきと緊張と動揺が走っているのが分かった。まぁそうだろうな、肉眼では見えない遠さにいるし、透明になっているからな。俺が分かったのは究極能力(アルティメットスキル)である神眼(カミノメ)のおかげだ。相手はそれを知らなかったのだろう。だからこそ動揺して隙が生まれてしまっている。必死にリーダー格の奴が落ち着かせようとしてるのが見える。必死になってるって事はそこまで手馴れてる奴が少ないのかもしれないな。

「くっ…。…お前たちはこの先の我らの里に何か用があるのか!?」

なるほど、里があるのか。しかも手練れが少ないという事は襲われたのか?…ふぅん、ダッセーの。んでなんだっけ、用があるかないかだっけ。んなもん決まってるじゃんか。

「なかったらこんな辺鄙なとこまで来ねぇよ。頭使えバーカ。」

「ば…ッ!?き、貴様…!」

「頭に血が上りやすい奴だな。そんなんじゃいつ殺されても可笑しくねぇぞ。今度は俺達から質問だ。この里にドラコスという鬼人はいるか?」

「誰が答えるか!!」

そう言って新参だろう奴が俺に向けて矢を放ってきた。あんなに遠くからでもスキルのおかげか威力が強い。俺はそれを素手で掴む。余計な事をされてもめんどくせぇし…と思い、俺は殺気にも似た威圧を鬼どもにかける。濃密な魔力は、とても強い力を誇る。それと共に、魔族でさえ毒になりうるのだ。濃密であればあるほど魔族にも害が出やすい。だからこそ俺は濃密で純粋な魔力で威圧する。ソフィアには効かない。だってゴーレムだし。この情報はミールィの記憶から引っ張り出してきた。便利だなー。

「…もう一度だけ言うぞ。この里にドラコスという鬼人はいるか?」

返答がなかった。答えられないだけだろうが、俺は知らん。興味ないしどうでもいい。質問への返答がない事が腹立つんだよ、さっさと答えてくんねぇかな…。

俺が不機嫌になったのを察したのか、震えている情けない声で「い、いる…」と告げた。

「だってと、ソフィア。行くぞ。」

「…仰せのままに。」

「ッおい!!止まれ、まだ話は終わってない!!」

「うるせぇ。それに答える義理はねぇだろ?最初に答えたのは俺も質問があったからだよ。」

「だから、この里に何の用があって来たのだ!?」

…あれ、そんなの質問されたっけ。ソフィアに視線を向ければ呆れたような顔をしている。真顔なのに感情が分かるってすげーな俺。というかミールィがだけど。この里に用があって来たけど、ドラコスを仲間に入れに来ただけなんだよなぁ。此処で長とかやってようが関係ねぇし、俺の勝手で連れ戻す。どんな手を使ってでもな。

「ドラコスを手下にするために来た…で、宜しいのですよね。」

「あぁ。それで合ってる。お前らの都合は聞かない。何があろうが連れてく。誘拐だろうと何であろうと絶対にな。」

「なんて横暴なんだ!!」

あ、思わず突っ込んだな。独裁主義のミールィちゃんですとか言ったらまたつっこんでくれねぇかな…っじゃなくて。いいからもうとっとと連れてこ、めんどくせぇし。俺は里の方へと歩いていく。ドラコスがどんなのかは記憶でわかるしソフィアもいるし大丈夫だろ。

「せめて!里を傷つけないでくれ!!」

俺は思わず足を止める。やはりこの里は俺が来る前に襲われているようだ。まぁ予想はついていたから別に驚きもしないけどな。俺は里を傷つけるなと言った奴と目を合わせてニヤリと笑う。相手は目が合った事に驚いて目を見開いて固まっていた。俺はそんな事を無視してソイツに声をかけた。

「俺達に危害さえ加えなきゃ、安全は保障してやるよ。」

そう言い残して俺達は里の中へと足を踏み入れた。里は酷いものだった。家のようなものが半壊しているものもあれば焼けた跡のようになっているものもあった。これは酷いと俺でも思った。そこら中に血の匂いがする。魔族の血は人間とは違うようだ。人間よりも赤黒い感じだ。魔力が濃ければ濃い程真っ黒なのかと思ったが違うらしい。種族によって異なるようだ。吸血鬼は人間の血の色に近いらしい。正直どうでもいいな。ってそうじゃない、ドラコスを探さねぇといけねえじゃん。そう思って探していると一際でかい建物が見えてきた。あそこにいるかもしれない。

「邪魔するぜ。」

ドアを蹴り飛ばして中に入る。流石にこのでかい音がすれば視線が集まるのも無理はねぇわな。そう思いながら見渡すと、此処はどうやら怪我人の治療をする、救護室のような部屋らしい。此方を見る人物のほとんどが怪我をしている。中には怪我をしていないが看病していたり介護していたりする奴もいる。女が少ないな~。怪我してるのは衛兵みたいな役割をしていた奴だろう。俺は怪我をしている奴らを放置して記憶にあるドラコスの魔力を頼りに歩きだす。それを辿ればドラコスに行きつく。呆気にとられている鬼も、俺がドラコスを探しているとわかったからか声をあげて「何者だ!?」だのなんだの言ってくるが全て無視だ。すると俺の前に立ちはだかった子供がいた。そいつは俺に刃物を向けている。これ以上先にはいかせない、ドラコスに会わせないとしているようだ。

「お前なんか…!お前なんか、僕が倒してやる!!ドラコス様の前に何て行かせない!」

その言葉に過剰反応するソフィア。子供を見る目に殺意が宿っている。そんなソフィアを見て足が震えて涙目になっている。…がそれでも俺に刃物を向けたままだ。意志は固いらしい。俺はこの少年に親近感を覚えた。子供に歩み寄り、殺そうとするソフィアを手で制す。ソフィアは驚きつつも俺が言う事に異論を唱えも何もせずに下がった。俺の機嫌を損ねるとどうなるかわからないからだろう。そんな呑み込みの早い従者を褒めたくなるがそれは後にしておこう。俺はツカツカと少年に歩み寄る。子供は俺が近寄る度にビクリとする。カタカタと俺に向ける刃物が揺れる。此奴の母親らしき女の声が聞こえる。「やめなさい!」というような声が。俺が殺すとでも思っているのだろう。子供の目の前に来て俺は冷たく子供を見下ろす。

そして俺はその刃物を躊躇なく握った。

「!?」

「黒須様!!」

「黙れソフィア。お前は下がっていろ。」

「ッ…御意に、御座います。」

少年は俺がこんな行動に出るとは思っていなかったらしくて、驚いて固まっている。俺の手から滴り落ちる血を見て青ざめている。…流石に俺を殺そうとするほどの度胸はなかったようで、若干残念だな。俺を心配してくれたソフィアには悪いが、俺は此奴の根性を気に入ったのだ。ソフィアにも口を挟ませる気はない。俺は俺のやり方があるし、こういう奴を見るのは楽しいのだ。俺が他人を気に入るなんてことはほとんどないからな。前世では自分が殺されるかもしれないのに、絶対に敵わない相手に挑むなんて奴はいなかった。魔族は仲間意識が高いのかもしれないな。なんて思いながら俺は真顔で少年の顔に自分の顔を近づける。

「殺す意思も持てない奴が他人に刃先を向けるな、軟弱者が。…だが、良い度胸だ。その度胸に免じて俺に刃物を向けた事は許してやる。次はないがな。」

「…う、ぅ…!」

「悔しいか。敵に情けをかけられる自分が恨めしいか、小僧。…なら強くなれ!その悔しさを掃えるほどに!何事にも負けねぇようにな!!」

俺は不気味に口角を上げる。此奴はきっと強くなる。他人の為に身を挺してでも守ろうとする強さを手に入れる。そういう奴は嫌いじゃない。口だけは「お前を守るよ」なんて言って、本当に危険が訪れた時には見捨てて自分だけ助かろうとする、そんな薄汚い奴じゃない。そういう奴には好感が持てる。目の前の此奴は俺が憎いだろう、今はとても悔しいだろう。だからこそ、努力するだろう。俺はそれだけ言って刃物を奪い取り投げ捨てる。手のひらから溢れ出る血はそのままにしている。此処で治すのは悪目立ちしすぎる。

俺はドラコスのいるその部屋へと足を踏み入れた。
























































その部屋にドラコスはいた。俺達を見てかなり驚いていた。そりゃそうだろうな、昔の上司的な奴が今更になって出てきたんだし。だけど俺はドラコスの心情を察するつもりは全くもって無い。俺は一方的に突き付けた。

「ドラコス、俺の仲間になれ。お前に拒否権はない。」

「…いや横暴すぎな?」

「知ったこっちゃねぇよ。いいから行くぞ、この後もつっかえてんだから。」

俺の言葉に苦笑するドラコス。返事はノーだった。勿論予想はついていたんだが、条件次第で俺の仲間に戻ってくれるらしい。一つ、今起きている事件っぽいものを解決する事。二つ、此処の長をしているため他の仲間も一緒に連れて行く事。この二つがメインだった。とりあえず話を聞かせてもらった。

「んで、今ここでは何が起こってるんだよ。見た所、建物はぶっ壊されてるし女がすくねぇし…。人間か?」

「…察しいいな。そうだ、俺達は人間の被害に遭っている。本来なら、魔素の森に人間が来ることはまずまずない。それこそ、魔素に適応しているわけではない限りな。でも何でか人間が来たんだ。魔法道具(マジックアイテム)の一種かもしれないが、それらしきものは身に付けてなかった。それに、有り得ないくらいに強かったから…もしかしたら何かの強化魔法がかかっているのかもしれねぇ。…長である俺が対処してやっと互角だった。里はやりたい放題荒らされて、見目のいい女たちは攫われてった。…俺がもっと強けりゃ、こんな事にはならなかったのに…!!」

「お前の懺悔を聞く気はねぇ。その人間達はどんな様子だった?連れ去られた女どもの共通点はあるのか?どんな攻撃手段を使ってきたんだ?」

俺がそう捲し立てるとドラコスは目を丸くしたが答えてくれた。何でも操られている様子はなかったらしくて、共通のアイテムを持っていた訳じゃないので全員が魔素の耐性持ちだと考えていいだろう。連れ去られた女の共通点は皆若いという事だ。人間でいう18歳ぐらいか、それより少し若いかなって思うくらいの女がほぼ全員連れ去らわれたらしい。人間はパーティーのようなものを組んでいて、一人は剣を巧みに扱っていて容赦なく鬼を切り倒したらしい。後は、強力な魔法を使う魔法使い、武闘家、僧侶がいたらしい。魔法使いは無詠唱で雷や火を起こして襲ってきたらしい。後、自分に心酔している様子だったそうだ。武闘家はとても強く物理攻撃の威力が半端なく重くて、受け止めるだけで骨が折れたとのことだ。…敵を笑いながら倒していったらしい。僧侶は拷問のような事を繰り返していたという。物理攻撃で殺した後、生き返らせてはまた殺して。という事を繰り返していたらしい。聞いているだけで胸糞が悪くなる。

「…とりあえず俺が教えられるのはこれだけだ。頼む、俺の里を救ってくれ。」























































「断る。」

俺がそう言った瞬間、ドラコスが凍り付いたように固まった。

ドラコス「そういやアンタってそんな性格だったっけ?」

黒須「ああ、そうだが?(此奴は俺がミールィじゃないって知らねぇのか…)」

ドラコス「…何か男っぽくていいな!前より話しやすい!」

ソフィア「前であろうとなかろうとミールィ様への文句は許しません。」

ドラコス「は!?ちがっ…ぁああああぁあぁぁ!!」

黒須「(ミールィ狂信者…)」


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