年の差ひとつの幼馴染
ついったーで、ふぉろわーさんと一緒に考えた創作キャラ使って、自分のキャラを固める為に書いたお話。年の差1つの幼馴染みの話。
別名義でぴくしぶにあげてあるやつに、そっちよりはちょっと加筆&直したもの。
突然始まり、終わります。ほんと、現代物ムズイっす……
本当は、単なる我がままだってわかってる。
どう頑張っても、この些細な差は埋められものじゃないってことぐらい。
そして、私は……きっと――――
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「……失礼、しましたぁー」
ガラガラと音を立てながら、職員室の扉を閉めた。と同時に、大きくため息をつく。
もの凄く疲れた。職員室という場所は、何だが居心地が悪くて、身体に変に力が入る。
だから、職員室は嫌いだ。そして、自分の手に握られている数枚の解答用紙を見て、さらにため息が出た。
「……今回は、自力で頑張ったんだけどなぁ」
解答用紙に書かれている数字は、あまりにも悲惨な点数でこれを見た瞬間、もうショックを通り越して笑ってしまった。ぶっちゃけ現実逃避だ。
そして、担任にものすごく怒られたのは言うまでもない。
今回は自力で頑張った……つもりだった。けれど結果はこの有様で、赤点のオンパレード。
はてさて、親にはどう説明したら良いのやら……そう考えると頭が痛い。とても憂鬱だ。私の頭の悪さについては、もうどこか諦めてるようだが、頭ごなしに怒られはしないにしても、凄く切なそうな…残念そうな顔はされるだろ。そう思うと更にため息が出てきた。
「……やっぱり、教えてもらった方が……いや、でも、頼らないって決めたんだし……」
ふと、憎たらしいぐらい勉強のできる1つ上の幼馴染みの顔が過ったが、頭を振って忘れることにした。思わず恨みがましく呟いてしまったのは、不可抗力だ。
今回は自力で頑張ると決めたのは自分だ。だから最後まで頑張ると決めたが……
「追試、か……」
ははっ、ため息しかでない。ほんと現実逃避したい。
今までは友達や幼馴染みの手助けもあり、何とかギリギリのところで、赤点を免れていたから追試を受けたことはなかった。
だがしかし、今回は別だ。渡された解答用紙と共に担任から『追試のお知らせ』という、とてもありがたくないものを頂いてしまっている。
とりあえず、今の自分に出来ることは、さっさと家に帰って勉強することだろうが、あまり気分が乗らない。
「うぅー……面倒くさい……」
「……茜?」
「うげっ……」
思わず唸っていると、嫌という程聞き慣れた声で名前を呼ばれた。反射的に振り返り……思いっきり嫌そうな顔をしてしまった。
そこに居たのは、一瞬頼ってしまおうかと思ってしまった相手で、そして、今一番会いたくないと思ってる相手でもあったりして……。
ああ、振り返らなきゃよかった…本当に。
あからさまに嫌そうな顔をした私の態度に、彼はちょっとムッとした表情をする。
「ちょっと、茜。何その反応」
「……別に、翼には関係ないでしょ」
そう言ってそっぽを向いた。本当、タイミングがいいんだが悪いんだが……相手に聞こえないように小さくため息をつく。
なんでここに居るんだろう……本当ついてない。
そう言って私は目の前の相手……もとい、幼馴染みの翼をちょっと睨みつけるように見た。そんな私の視線など敢えて無視して翼が言う。
「なんでそういうこというかなぁ……って、その手に持ってるの何?」
「だから!翼には、関係ないって!」
指摘され、慌てて手に持っていた紙を後ろに隠す。これだけは絶対に、何があっても絶対翼にだけは見られてはいけない。そう思ったのだが、慌てすぎたせいでひらりと一枚だけ手から紙が滑り落ちた。
ヒラリと、これまた運が悪く翼の足下へ落ちる。しかも、落ちた紙はあの「追試のお知らせ」で……私、今日は厄日か。
「ん? 茜、落ちたぞ……って、お前、これ……」
自分の足下に落ちた紙を拾い、内容を確認した翼が凄い顔でこちらを見てくる。その顔は色々ともの言いたげで……これは、確実に小言を言われるだろう。そう思うと、思いっきりため息が出てきた。
「あのなぁ………お前、今回は自力でやるっていうから手伝わなかったけど、これだったらやっぱり俺が手伝った方がよかったんじゃないのか? 流石に追試はヤバいだろ…お前……。それに、おばさんもこれだと流石に心配するんじゃないのか? あ、追試の勉強するんだったら、俺、手伝うけど……」
心配するようにそう言う翼に、イラっとした。だから、思わずいつもの台詞を大声で叫ぶ。
「だから!! 翼には関係ない、っていってるでしょ!?」
「えっ、ちょ……茜!?」
「ほっといてよ! 翼には関係ないんだからっ!!」
そして、翼から逃げるように、背を向け走り出した。
後ろで驚いた声で翼が私の名前を呼んでいたけど、聞こえないフリをした。
分かってる、こんなのただの八つ当たりだ。なんで私は、こんなにも子供なんだろう……
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気がつくと職員室から、中庭まで一気に走ってきていた。足を止め、俯きながら小さくため息をついた。
「……なに、やってんだろ……私」
翼は私のことを心配してそう言ってくれたって事ぐらい、ちゃんと分かってる。分かっているつもりだが、頭で分かっていても心がついていかない。別に翼に心配されるのは、いつものことだし、本音を言うと嫌じゃない。
けれど、最近は彼に心配されるとイライラするのだ。何でそうなるのか…心当たりはある。それを素直に認めたくない自分がいるのも、また事実で………。
自分自身が凄く情けなくて、子供っぽくて、悔しくて……色んな感情がごちゃ混ぜになってきた。泣きたくなって、俯きつつ唇を噛み締める。
「……ほんと、馬鹿みたい」
昔は身長も同じぐらいで、歳も1つしか違わなかったし、家も近かったからいつも一緒に遊んでいて……何より、お互いに対等だった。よく不器用な私の世話を焼いてくれてたところもあったけれど、それでも私と翼は対等だと思っていた。
それが違うと思い始めたのは、彼が中学に入学した頃からだ。
真新しい制服に身を包んだ翼は、今までとは違って凄く大人に見えたのを今でも鮮明に覚えている。
たった1つの歳の差。
今まで感じていなかったこの差を、現実を、この時、突きつけられたのだ。そして、その差は私が中学へ入学してからも埋まることはなくて、さらに広がっていった。
彼の背が伸び、徐々に大人の男性になっていく姿。同学年から聞く彼がカッコいいという話。色んな要因が相まって、誰よりも近いはずなのに、誰よりも遠く感じる……この距離がとても辛かった。
何より、翼の私に対する態度が昔といつまでも変わらないのが……一番、辛かった。
「……幼馴染み、なんて……ツライだけじゃない…気がつきたく、なかったな……」
思わず呟いた言葉。幼馴染み故に傍にいられるけど、それ以上は望めない。そう思うと小さく胸が痛んだ。こんな気持ちになるぐらいなら、気がつきたくなんてなかったのに。
きっと翼は、私のことを手間のかかる妹ぐらいにしか思ってないはずだ。彼から、好かれているとは思うし、大切にされてる自覚はある。私も翼のことは好きだし、大切だと思っているけど、私の翼に対する感情と彼が私に対する感情は似ているけど種類が違う。
そのことを最近気がついてしまって、他のことに対してあんまり集中出来なかった。
だから、今回の追試も少なからず、このことも原因してると思っている。
…………言い訳じゃないけど。
「って、なんで私、追試のこと考えてたのに、こんな気持ちにならなきゃ、ならないのよ…」
今までごちゃごちゃ考えてたことを忘れるかのように、小さくかぶりを振った。
とりあえず、今はそんな感傷に浸ってる場合じゃない。追試がある。私の進級がかかってる。色んな意味でヤバい状態だ。何としてでも、この追試は合格しなければならない。
「とりあえず、今は、家に帰って勉強しなきゃ……」
自分の教室に向かって歩き出す。あ、追試のお知らせ…翼が持ったままだ。そう思いだしたけど、今は会いたくないから気がつかないことにした。それに、世話焼き気質な幼馴染みのことだ、あとで家に届けてくれるだろう。このあとのことを色々と考えると、憂鬱過ぎるけれど頑張るしかない。
とりあえず、今は目の前のことに集中しよう。そうすればある程度は気がまぎれるはず……多分。
「さて……自力で、出来る範囲頑張るか……無理だったら……うん、その時は手伝ってもらうしかない…かな…うぅ…」
そして私は、本日何回目なのか、もう分からないため息をまた一つ、ついたのだ。
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本当は、こんなの、単なる我がままだって
……わかってる。
どう頑張っても、この些細な差は埋められものじゃないってことぐらい。
どうあがいても、自分は彼よりは大人になれない、ということも。
そして、私は……
置いてかれるのが、傍にいられなくなるかもしれないのが何よりも、怖くて、寂しいのだ。
ちょっとしたキャラ説明。
茜→一応主人公。高校一年生。頭は良くないけど運動神経はある。性格は明るくハキハキしてるので、異性受けは良かったりする。最近かっこよくなってモテてる幼馴染にやきもきして、可愛くない態度しか取れないのを気にしてるけど直せない自分が嫌。けど、なにかと困った時には一番頼っちゃうのは翼なんだよなぁ…って感じの子
翼→茜の一つ上の幼馴染。高校二年生。要領が良く成績優秀で弓道部のエース。顔も悪くないのでファンが多い。お家が隣同士で昔からなにかと茜の面倒を見てた世話焼きさん。高校でも同じように気にして構ってるけど茜が反抗期っぽい感じになってちょっと(´・ω・`)としてる
そのうちまたこの2人でお話書きたいなぁ