ダンジョンでは防具を必ず着けましょう。
広い森での記憶。親友達と遊んでいた楽しい思い出、そして僕を絶望に追い込んだ忌まわしき記憶。
子供の頃に起きたあの出来事は、僕を冒険者にさせた一番の理由だ。あの出来事がなければ僕は冒険者ではなかったかもしれない。いや、確実に冒険者ではなかっただろう。そう、あの出来事がなければ。
「わかりました。パーティーを組みましょう。」
「やっとそういってくれた。」
そういって彼女、『レノン』さんは、広場のベンチに腰掛けた。そのあとレノンさんは、パーティーの正式な申請書を書かせてきた。ギルドなみにめんどくさい。
「じゃあ正式にパーティーを組んだわけだし、何か必要な物は無い?あったら買いにいきましょう。」
「何か必要な物· · · 」
少し考えたが特に必要な物はなかった。しかし、必要かもしれない物はあった。
「· · · 防具· · · ですかね· · · 」
「防具?」
「はい。」
「今まで着けていたのは?壊れたの?」
「いえ、防具は持っていないので買いたいな~とおもいまして· · · · · 」
正直に答えた。だが、そう答えた直後、
「あ、あなた今まで防具も着けずにダンジョンで戦っていたの!?」
その後レノンさんに広場のベンチの上で正座をさせられて説教までされた。防具は着けろって言われても· · ·
僕· · · お金無いんだよ· · · 。