4話 話しかけて見よう♪
最低限聞かなくてはならない情報があったのだが、あの騒ぎで抜落ちている事に気がついた。アンナを質問攻め&交渉を行い、情報と物資・装備一式をちゃっかり獲得してやった。
① 本来であればプレイ初期はもちろん初期装備なのだが、交渉(脅迫ではない)を行い、そこそこ良い装備をもらった。そこに急遽デザインしてもらった、アバターをくっつけた物(本来この機能は課金制らしい)を一式プレゼントしてもらった。
・鎧は中盤ぐらいまで使える物をもらい、姿は着物風アバターにしてもらった。
・武器はやはり中盤ぐらいまで使える斧に、大形の斧のアバターを被せてもらった。
契約的な兼ね合い(ある程度の見た目の維持)があるが、何とか蛮族プレイが出来ないものかと思い、苦肉の策的なアバターチョイスをしてみた。
② 現在地だがバロック王国で始める際の、初期村から南に2キロぐらいの所に出現したらしい。
回復ポーション類は通常より多めに支給してもらったので、装備と合わせある程度のパワープレイが可能だと想定される。
『さて、実際に冒険をするわけだが、まずはステータスの確認だな』
一度は言って見たいセリフだった『ステータス・オープン』とつぶやいてみた。若干のタイムラグの後に、空中にディスプレイが表示されステータスが写しだされた。
名前 トール
所属国 バロック王国(獣人族)
職業 戦士
称号 公式イメージキャラ(獣人族)
スキル なし
装備
クラッシャーズアックス+7☆
ハーフプレート+5☆
☆はアバター装備中
LV: 1
体力:
知力:
素早さ:
器用:
HP:
MP:
そう言えばこの世界、能力値って鑑定スキルがないと表示出来ない仕組みらしい。(本人にも見えないなんて何てクソゲーだ。)
強いのか弱いのかもさっぱり分かんないけど、悩んでても仕方がないので村に向かって歩きだした。
初期村の名前はパルシェと言うらしい。
この村で装備品を整えて、《戦闘の仕方を覚える。》基礎を固めると言うのが本来の目的となる。
少し歩くと周りを柵に囲まれた、村っぽいものが見えてきた。
さらに近付いてざっと見渡すと、門と門番らしき人が見えた。
『さてと《レッスン 1 》第1村人との遭遇&会話と、しゃれこみますか。 』なんだかんだ言ってもようやっと始まった感に、トールのテンションもうなぎ登りだった。
とりあえず話しかけないと始まらないので、門番の犬耳のおじさん(見た目50代ぐらい)に話しかけて見た。『やぁやぁやぁ』とあいさつをして見たら「やぁやぁやぁ」と返されてしまった。(こやつなかなかやるなと、AIに対する評価を上げた。)
「姉さん、こっちの方向から来るって事はあんた《異邦人》だね。」とおじさんに言われたので心当たりありまくりだが、話の展開をし易くする為、あえて異邦人?と聞き返して見た。
「別の世界から飛ばされて来る、旅人の総称だ。どうやら異世界からの出口がこっちの門の方向にあるらしく、結構な数のやつがこの村にやってくるのさ」と犬耳おじさんが教えてくれた。
おじさんに「見た所装備持ちの様だが、本当にめずらしいな」と言われた。『装備持ちはめずらしいのかい?』と聞いて見ると「俺はここの門番を20年やっているが、見たのは5人にも満たないな」と返された。(まぁこの村で揃えるのが正規だしなと心の中で納得したが、あえてあと何人か装備持ちがいた件に関しては、触れない事にした。)
「ところであんた、我が国の女王様に似てる気がするんだけど」などどおじさんが言ってきた。一瞬ドキっとしたが・・・・・・・・「まぁ異邦人なんだからそんな訳ないか。」と門番は一人で納得していた。しかし、トールには多少の心当たりがあった。
まさか運営め、さっそく変な設定作ってるんじゃないか?・・・・・・と思い背中に冷たい汗をかきながら『うち、来たばかりやし』などと思わずエセ大阪弁で返してしまった。
「まぁとりあえず気のせいって事で、ここは一つお約束の【パルシェの村にようこそ】と言う言葉を君に送ろうと思う。」こいつ本当にただの門番なのか?個性的すぎるぞ!!などと思いつつトールは村の門をくぐる事にした。