3話 さて、冒険を始めようか♪
入力を終了していざ冒険を開始しようとした時に、それが起こった。
唐突にアナウンスが流れ、けたたましいアラームが鳴り響き場が騒がしくなった。
緊急事態発生・・緊急事態です。 当メインコンピュータが、クラッキングを受けています。
該当エリアは、第13~第19メイキングサーバーとなっています。管理担当は速やかに作業を中断して、マニュアルに従って行動して下さい。
なんか物騒なアナウンスが流れてきたので、アンナに声を掛けてみた。
『おーいアンナさーん、俺はどおすればいいんだい?』返答に一瞬の間があったが、「今、冒険を開始すれば無事に済む可能性が高いと思います。どうやら影響は、この数エリアだけらしいので・・・・。冒険エリアは無事ですので、転送しますね。」と聞こえた瞬間にいきなり景色が変わり、どうやら何処かの森に飛ばされた様だ。
『ふーう、なんかひどい目にあった気がする。なんか、ばんぞっくなのに視点が低い・・・・体が細いし、声も高いしかわいい??そしてなによりデカッ腹ではなく胸????がある。・・・・・・・・・むねぇっぇえーー!!』
都合よく近くに泉があったので姿を確認して見た。ばんぞっくプレイを目指していたいた筈が、獣人族の美女にジョブチェンジしてしまったらしい。
獣人族ってことは、ここはバロック王国のどっかって所かぁ・・・まずはどうする俺?冷静になれ冷静に・・・・・・・。
気を取り直して、まずはヘルプ画面でも開いて運営に相談してみっか(今、流行のデスゲームって事はないよね・・ガクガクブルブル)
ではさっそく、ヘルプボタンをぽちっとな・・・・・・・・・・・・・繋がるかな??
約10秒ぐらいで女性の声が聞こえてきた。
「こちらは、オルタナティブヘルプセンターです。・・・プレイアクセスコード確認致しました。」
「トール様ご用件を賜ります。」と返答があった。
デスゲームでは無かった事に、一安心した冬也は現状の確認をする事にした。
かくかくしかじかと先程の説明をした所、担当に変わりますとの返答があった。
30秒ぐらいした所で聞き覚えある声が聞こえてきた。「葉月冬也様、昨日は大変ご迷惑をお掛けしました。」思わず『アンナ??』と呟いてしまった。
「申し遅れましたが、柚木安奈と申します。案内妖精担当プログラマー兼、アンナの声当てを担当しています。」
『まず最初に、君の事を何て呼べば良いんだい?、アンナ?はなんか気安すぎ気がするし・・・・・・ 柚木さん?が妥当な所か・・・・・・なんて呼べば良い?』
「そうですね・・・ではアンナでお願いします。」幾分考える時間があった気がするが、まぁ堅苦しくないし良しとしておこう。
『じゃぁアンナ、あんまり難しい事は抜きで現状を説明してくれないか?』
俺がそう言うとちょっと考えた風な感じはあったが、簡潔に説明してくれた。
説明された内容は、こんな感じだった。
① 犯人の目的は隣のサーバーでキャラを作っていた男に依頼され、金で雇われ男のキャラをチートキャラにする事だった。
② クラッキングしたは良いが、犯人の技術が中途半端(進入は出来たが、気づかれた)為、依頼主のデータを書き換える前に捕まえる事が出来た。
③ その際に企業側のトラップに引っかかり、かなり強引な方法で脱出しようとした。その副作用で俺のキャラデータがバグったらしい。
④ 相当変なバグリ方をしてしまった為、企業側でも復旧するのに1年を要するとの事らしい。
以上の点から、出来ればそのままキャラを使用してもらってほしいとの事。
条件を飲んでくれるのであれば、オルタナティブ公式イメージキャラの一人として任命して(ヴィジュアル的には問題ないらしい)今回の迷惑料を報酬に上乗せして、広告喧伝費として(ここ重要)払いたいと言うのが企業側の見解だとの事。
まぁキャラについては、経験値を1Pも稼いでるわけでもないし。さらに遊んでお金も貰えるなんて、うまうまな話になってきたなぁと思った。暫く悩んだ末に(結局マネーパワーに負けたのだが)、アンナと必要事項を取り決めをした後に引き受ける事にした。
「最後に女性の姿でプレイする事ですし、管理者権限でネームの変更が可能ですが如何しますか?」
少し悩んだが『ばんぞっくプレイの名残に、名前だけはそのままにしておくよ』と言うと、アンナも別段なにも言わず「了解しました。」とだけ返答があった。
この瞬間にオルタナティブ公式イメージキャラ獣人族のトール(女)が誕生した。
ちなみに各種族ごとに、イメージキャラが存在するとアンアが言っていた。(まさか全員同じパターン??とは怖くて聞けなかった。)
密かに気になっていたのだが、姿を変えてしまうと悪影響がでるかもしれないと言う話が最初にあった。実際はものすごい低確率な話らしいとの事なので、本人・企業側の同意の元に問題としないことが決定された。