12.5話 運命分岐店
スレに乱入して満足した冬也は、食事を終え商談のある取引先に向かおうとしていた。今の世の中は、スマホさえあれば、大抵の場所で時間つぶしが出来る。特に昼食時、オーダーを終えてご飯が出てくるまでの時間が物凄く勿体無い感じがして冬也は嫌いだった。発売当初こそガラケーと人気を二分していたが、ここ10年でスマホ率100%なんて話になったぐらい利便性・中毒性に優れていた。
冬也もその恩恵を感じている一人であった。基本外食な為に、どうしても暇な時間が出来てしまう。
そこでスマホで色々なサイトを覗く訳だが、最近は多少マンネリ感を感じていた。暇つぶしで、良いサイトがないか僧侶の人に聞いたのもそんな事情もあった。
お客様の会社に向かうのに、駅に行こうとして道を歩いてた時の事であった。ふと空を見上げたら銀色の蝶が舞ってるのが見えた。幻覚かと思いきや、そう言う訳でもない。興味を引かれた俺は、その蝶を追いかけて見る事にした。
幸いな事に、約束の時間までかなり時間を潰さないといけなかった。良い時間つぶしになると、暫く追いかけていると、ある店の前で突然消滅する様に消えていった。(驚くべき事に、他の人には見えていないらしい。)そこは占いの店らしく《銀の魔女の館》と看板に書いてあった。
いかにも、中二病をくすぐるネーミングセンスだと思った。そういった事が嫌いにではない冬也は、1回2,500円と言うまぁまぁな値段設定もあり入って見る事にした。
中に入るとお約束の暗い部屋にテーブルがあり、テーブルの上には水晶が置かれてあった。
「いらっしゃいませ、ようこそおいで下さいました。」と一人の女性が姿を現した。この女性日本人ではないのだが、流暢な日本語を話す。
落ち着いた感じがする金髪美女だが、思ったよりも若そうだ。正直あと自分が20歳も若ければ、夢中になってアタックをかけていたであろう。(この人を見て、会話するだけで値段あたいある気がする。)
「私の名前は、リーチェと申します。以後お見知りおき下さい。」と言われ、席に着くよう促された。「さっそくですが、どういった占いを希望ですか?」と聞かれたので、特に考えていなかったが、無難なところで、仕事関係でお願いしますと言っておいた。
「では占って見ましょう」と言いリーチェさんは、水晶に手をかざしている。もっとオーバーに呪文を唱えたり、アクションをとったりするものだと思っていた。(ちょっと拍子抜けしたが・・・・・・)まぁ実際に占ってもらうのは初めてなので、先入観があったのかなと思う事にした。
「結果がでました。あなたは、これから仕事で成功します。しかし、それが良いこととは限りません。無論仕事で成功する事は良いことでしょうが、頑張り過ぎない様に気を付けて下さい。【お前らの頑張り過ぎだ!】と言われ、石ころの半分が地球に落ちたら元もこうもありません。この店に入ろうと思った貴方なら、意味はご理解頂けると思います。」
「何事も、ある程度で引く事も肝心ですよ。」と言われた。言いたい事は理解出来たが、何となく納得のいかない感を漂わせつつ店を後にした。
男を見送った後に、銀の魔女たるリーチェは「またのご来店をお待ちしております。・・・・来店出来ると良いですね。」とつぶやいていた。




