assault
大の大人が雄に五人は横になれるであろう大きな天蓋付きのベットの上で一人の男が三人の女を侍らせていた。
男は身長180cmそこそこで金髪に赤い瞳、まあなかなかのイケメンだった。しかし残念だったのはそのなんとも非力そうな体つき。いままで剣の一本も握ったこともないのではないのかと疑いたくなる細い腕は、しかし、侍らせている女達の豊かな胸をまさぐっていた。
男の指が敏感なところに触れる度、女達は甘い声を部屋中に響かせる。
いつものように楽しい夜のひと時を過ごしていると
ドンドンドンドン
突如として部屋の扉を鋭く叩く音がした。
「アレク様大変です!!」
入室の許可を出す前に一人の男が部屋に飛び込んでくる。
「貴様!この私の楽しみを邪魔するとは、死罪に値するぞ!!」
アレクと呼ばれた男が入ってきた男に対して怒鳴る。
「侵入者です!」
アレクは眉をひそめた。命を狙われるようなことをしている自覚は多分にある。しかしこの三年間、不満の声や行き過ぎた言動を控えるように言われたことは何度もあっても直接屋敷に乗り込んでくるものは一人もいなかった。
それはアレクが強かったからだ。
三年前、アレクは目下人類最大の敵と言われていた魔族の王を倒すことに成功した。その恩賞としてかつて魔族が支配していた広大な土地を、特権貴族として有する権利を得たのだ。
そしてそれから三年間好き放題やってきた。
「それで、侵入者はどんな奴なんだ」
「はい、それがフードを深くかぶっているため顔はわかりません。身長は180cm前後で全身黒ずくめの男です。それから」
言いかけた男の右肩に誰かの右手がポンと置かれる。男の後ろには今話題になっていた黒ずくめの男が立っていたのである。
男は慌てて飛び退り抜剣する。一方アレクは悠然と構えていた。しかも全裸である。
「なんだ、まだ子供ではないか」
あなどるような言葉を吐きつつも侵入者を注意深く観察する。
この広大な屋敷を警備している人間はおよそ1500人弱。すべてとはいかないまでも何割かは無力化してきたはずである。でなければこの最奥の部屋にたどり着けるはずがないのだ。しかも黒ずくめは血に濡れた様子はない。フードが目深なので鼻先から下はみえないが口元はなんの感情もたたえていなかった。
「アレクさまぁー。はやくこの男を始末しちゃってください」
いつの間にか下着を身に付けた女の一人がアレクにしなだれかかるようにして言う。
「まったくミレアはほんとに好きだな。まっ、はやく終わらせて続きをするのはやぶさかじゃないしな」
「もうアレク様のエッチ」
ミレアと呼ばれた女性がアレクの鼻をつんつんする。
「元勇者アレク、お前に殺害依頼が来ている。この依頼を果たすためにここにきた」
「ははははははは」
アレクが急に笑いだし、それに合わせて女達も笑いだす。
「俺を倒すか。いいぞやって見せろ」
「剣を抜け。勇者にしか使えないという宝剣があるだろう」
「いいだろう。後悔するなよ」
アレクはそういうと壁に掛けてあった純白の鞘の剣をとり。振り抜きざまに斬りかかる。
しかし侵入者はそれを片手で掴み、刃を粉々に砕いてしまった。
「馬鹿な!魔を祓い、恵みをもたらすと言われている宝剣だぞ!握りつぶされるわけが!」
アレクは目に見えて狼狽し、オタオタと後ろにさがる。
「抜剣速度、太刀筋、なによりその見え見えの魂胆。本当に堕ちるところまで堕ちたんだな。吟遊詩人が謡う勇者とは果たして誰のことなのか」
侵入者はどこからともなく漆黒の剣を取り出すと、アレクに向かって振り下ろす。
アレクは綺麗に二等分された。




