幽霊声
この声じゃ伝わらない
むせる雨の音が聞こえる最中
狂いそうな時間の流れのなか
裸足で歩いてゆく
雫の冷たさに違和感が無くて
この体は何を知らないでいる?
無数の線が見える光景
今日も置いてけぼりにされたまま
この涙じゃ伝わらない
感情をむき出しにしてしまった
夢の中でさえもなぜか
彷徨い続けている
何を考えているのかさえつかめない
自分のあやふやな心は
今日も一人歩きをし始めて
どこにも行けない、この感覚が
白く薄い服だけで構成している
私は今も罰を受け続けている
この体はただの道具だと
思っていないと耐え切れないの
掻きむしった手が血で染まっても
何も始まらないんだ
この声じゃ伝わらない
何を教えたいのかさえも
私の中から消え去ってゆくんだ
安い音が反響して戻らない
この腕じゃ何もつかめない
少しずつ霞んでゆく姿では
誰の目にさえ止まらないよ
今日も息を潜める日々が手を振っている
雨上がりのこの街は
空虚で表面的な優しさを纏っている
だからかな、痛いんだよ
苦しいんだよ
このモノクロで笑えない世界を
真っ黒な眼で見据えている
きっと罰がいつの日か終わっても
何の価値もありゃしないよ
どれだけ声を枯らしても
誰も聞こえやしない
何を忘れているのかさえ
分からないまま彷徨う
私は幽霊